a0960_008532_m
   


公明党は10日、自民党との連立政権から離脱することを決めた。一丁目一番地と据える「政治とカネ」の問題で自民の対応が不十分だと判断したためで、斉藤鉄夫代表が午後に自民の高市早苗総裁と会談して伝えた。公明は、近く行われる首相指名選挙で斉藤氏の名前を書く方針で、国政選挙での自民との協力も白紙とする。26年間続いた自公の協力体制は解消され、日本の政治は新たな局面を迎える。

 

『ロイター』(10月10日付)は、「公明が連立離脱、政界の勢力図激変 高市トレード『非常にマイナス』と専門家」と題する記事を掲載した。

 

公明党の斉藤鉄夫代表は10日、自民党の高市早苗総裁と会談し、自公連立政権から離脱する方針を伝えた。26年間続いた自公の枠組みが崩壊し、政界の勢力図は大きく変化する見通しだ。専門家は新総裁就任に沸いた市場の「高市トレード」にとって「非常にマイナスだ」と指摘している。一方、自民が高市氏の首相指名に向けて国民民主党や日本維新の会との距離をさらに詰めれば、政策面で積極財政の旗色がより鮮明になる可能性も出てくる。

 

(1)「注目は、連立離脱後の自民との距離感だ。斉藤氏は、今月後半にも予定される首相指名の投票先について「『斉藤鉄夫』に票を投じる」と説明。予算案や法案への賛否については「なんでも反対の敵方になるわけではない。政策ごとに賛成すべきものは賛成する」と語った。今後の選挙協力については「党同士の選挙協力はいったん白紙にするが、人物本位、政策本位で応援できる地域も少なくない」と含みを持たせつつ、「自民候補への推薦は行わない」と宣言した」

 

斉藤氏は記者会見で、「閣外協力もしない」と完全野党を宣言した。選挙協力はしないとしている。これによって、自民党は議席の2割減という推計も出ている。大きな影響が出る。自民党は、文字通り「解党的出直し」を迫られる。

 

(2)「公明が、首相指名で高市氏に投票しなければ、衆院の議席数では立憲民主党、国民民主党、日本維新の会の合計が自民を上回ることになる。現時点で野党がどこまでまとまるかは見通せないものの、高市氏の首相就任が不透明となることに変わりはない。1999年以来続いた関係崩壊の原因について、法政大大学院教授の白鳥浩氏(現代政治分析)は「高市氏は就任後、公明の支持母体・創価学会へのあいさつより先に国民民主の玉木雄一郎代表と面会したと報じられた。学会員にとっては『何様のつもりだ』となり忍耐の限界だったのだろう」と指摘した」

 

斉藤氏は、記者会見で末端の党員が選挙運動で「自民党支援」をお願いすることに疲れ果てているとも発言した。「政治とカネ」の問題である。自民党は、この問題について鈍感すぎた。

 

(3)「(白鳥氏は)幹事長代行に萩生田光一氏を起用した点も「(不記載問題で)秘書が在宅起訴された新しい問題を公明は重視している」と説明。「自民は今回、公明内の連立離脱論を甘くみていたところがある。高市氏は、慌てて(党役員人事などで)非主流派に追いやった菅義偉元首相らに頭を下げて公明との関係修復を模索し始めたようだが、時すでに遅しだった」と話した」

 

高市氏は、党運営をすべて麻生氏に「お任せ」姿勢で臨んだ。党内に強力な基盤を築く思惑である。85歳の麻生氏には、「怖いものなし」であるが、強烈な「反石破」という感情論の出過ぎは、高市総裁への逆風を招くだろう。やはり、挙党態勢を築くべきだった。

 

(4)「こうした状況の下、自民は多数派を確保するために国民民主や維新との連携を急ぐとみられる。特に、高市氏と政策的に近いとされるのが国民民主だ。玉木代表は連携の条件として、ガソリン暫定税率廃止、所得税非課税枠拡大を盛り込んだ昨年12月の3党幹事長合意を履行するよう求めている。高市氏はいずれも前向きとされ、両党の連携は進展する可能性もある。国民民主は、所得税非課税枠の178万円への拡大、企業に投資以上の償却を認める「ハイパー償却税制」の導入、「教育国債」を財源とする10兆円規模の教育・科学技術予算の確保を「新・三本の矢」として掲げている」

 

自民党は、政権維持のためには国民民主や維新との連携が不可欠である。財政拡大は、否応なく進む。物価高はいよいよ進んで、手がつけられなくなるリスクを抱える。

 

(5)「高市氏が、主張する「責任ある積極財政」と呼応し両党の連携がこうした政策にも及べば、更なる財政拡大は必至だ。ただ、自民、国民民主のみでは過半数に届かず、維新など他の野党を巻き込む必要もある。維新は副首都構想の実現や社会保障改革を強く打ち出しており、連携の枠組み次第で高市氏は政策面での更なる譲歩を迫られそうだ」

 

立憲民主党では、国民民主の玉木氏を首相候補に担ぐ案も出てきた。これに、公明党も加われば、野党政権樹立という構想も夢ではなくなる。玉木氏は、「総理大臣を務める覚悟はある」と述べた。「驕れる人も久しからず」という平家物語の冒頭一節が、生々しく蘇ってくるのだ。