自民党新総裁の高市氏は、石破政権の基盤脆弱を反面教師として、強力な政権の後ろ盾に麻生太郎氏を頼ったが、この判断を誤ったようだ。「公明党嫌い」を見落としていたのだ。これが導火線となりついに、公明党が政権離脱へ踏み切った。この穴埋めをしない限り、「高市政権」誕生は不可能な状況である。
『時事通信』(10月10日付)は、「日本政治、深まる混迷 自公連立解消」と題する記事を掲載した。
公明党が自民党とたもとを分かち、政権離脱する決断を下した。少数与党の基盤がさらに揺らぐだけでなく、次期臨時国会で自民党の高市早苗総裁が首相に選出されるハードルも上がった。今後の展開は不透明で、政治は混迷を深めている。比較第一党である自民は安定した政治を取り戻すため手を尽くすべきだ。
(1)「自民が公明の出方を見誤ったというほかない。自民と比べて少数議席の公明はこれまで「げたの雪」とやゆされてきた。意見対立する政策課題を巡り、最初は強い態度を見せても最後は自民に従った例は少なくなく、四半世紀を超える協力関係の中で「今回も折れる」との甘えが高市氏にあったのではないか。一方、「政治とカネ」の問題は石破政権でも課題としてあったはずだ。それを公明がこのタイミングで持ち出し、自民が受け入れにくい要求を突き付けたのは、単なる政策調整の動きではなく、仮に発足した場合の「高市政権」への拒否反応と言えるだろう」
日本政治は、欧米と異なって与野党ともに「中道」志向である。自民党も立憲民主党も、それほど大きな思想的な差があるわけでない。こういう状況下で、高市氏は飛び抜けた保守志向である。教育勅語を賛美するなど、ビックリするほどの「右寄り」だ。この高市自民党は、公明党というバッファーが消えて、野党で新たに「連立」を組むことに二の足を踏む事態になっている。
自民党は、明らかに苦境に立たされている。「政治とカネ」の問題にケリを付けて、公明党との「復縁」を図らない限り、政権維持の可能性が極めて低くなっている。
(2)「保守強硬派の高市氏とリベラル寄りの公明には思想・信条的に決定的な違いがある。高市氏と同じ保守層を支持基盤にした安倍政権では、当時の菅義偉官房長官が公明・創価学会との調整役として機能した。だが、高市執行部を眺めても、公明とのパイプ役は見当たらない。むしろ、公明嫌いで知られる麻生太郎副総裁や「裏金」問題の中心人物だった旧安倍派元幹部の萩生田光一幹事長代行が存在感を増しそうな布陣で、「公明軽視」は明らかだ。自民内からは「今起きていることは高市氏が全部自分で呼び込んでいる」(幹部)との声も聞こえてくる。高市氏は重い結果責任を負っている」
高市氏は、麻生氏に全面的な依存をしたことが大失策であった。「全党一丸」という総裁就任時の約束は、反故になったからだ。人事面での配慮の足りない点は、政策面にも現れてくるだろう。日本経済が、インフレに直面しているにもかかわらず、「デフレ脱却」とはナンセンスである。「積極財政で金利抑制」とは、驚くほど感覚が鈍っている。
『時事通信』(10月11日付)は、「高市自民、戦略練り直し 首相指名、各党駆け引き本格化」と題する記事を掲載した。
自民党の高市早苗総裁は公明党の連立政権からの離脱決定を受け、今後の戦略の練り直しに入った。公明の協力を失うことで、首相の座に就いても厳しい政権運営を強いられるのは確実。臨時国会冒頭の首相指名選挙を見据え、立憲民主党は他党の党首を野党統一候補に擁立する構えも見せ、各党の駆け引きが本格化している。
(3)「自民は衆参両院とも比較第1党。首相指名選挙で野党がまとまらなければ、決選投票を経て「高市首相」が誕生する可能性が高い。しかし、公明が野党サイドに移ったことで、国会の勢力図は大きく変わっている。立民は、組み合わせ次第で「政権交代」の可能性も否定できないと判断し、野党候補一本化の働き掛けを強める」
公明党の連立離脱は、政権交代の現実味を突きつけている。自民党が、「政治とカネ」で決断しない限り政権党を名乗ることはできなくなろう。
(4)「国民民主党の玉木雄一郎代表は大阪市内で記者団に、「政策が一致する政党となら組めるが、現在の立民とは組めない。基本政策、特に安全保障に関する考え方が異なる」との認識を示した。首相指名選挙については「現時点では1回目も2回目も『玉木雄一郎』と書く」と従来の方針を繰り返した。これに対し、立民の安住淳幹事長は仙台市内で記者団に、連合と立民、国民民主両党が憲法や外交・安保など基本政策に関して今年4月に交わした合意に言及。「(国民民主とは)十分やれる」と語った」
維新や国民民主党は、立憲民主党との路線の違いを強調している。自民党は、野党が対立し続けるという「僥倖」を待つ身とは、情けない存在に成り下がったものである。


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