検察庁解体して超長期政権
反日から一転して日本接近
中国への「朝貢外交」誤り
放漫財政で経済破綻が目前
韓国李在明政権は、国会で与党の絶対多数を背景に「ソフト革命」を推進している。民主主義の原則である多数決制度を悪用し、あたかも民主的制度改革を装いながら、左派による独裁体制の確立である。その第一歩が、検察庁の解体である。検察は、「重大犯罪捜査庁」と「公訴庁」に分割された。これにより、検察の捜査権と起訴権が分離され、行政機関の傘下に移されることになった。つまり、行政府トップの大統領が犯罪捜査や起訴の最終決定権を持つという、制度改革に乗り出している。
周知のように、李大統領は5つの罪名で起訴され裁判が進行していた。それが、大統領当選によってすべての審理が止まっている。被告の身である李氏は、自らを起訴した検察庁を解体して報復した形である。誰が、みても「私怨」を晴らした制度改革に対して、正義論にやかましい左派陣営から異論の出ない「お手盛り」ぶりに、さらに驚かされるのだ。こうなると、韓国の民主主義はどうなっているのか。隣国の日本としては、深い関心を寄せざるを得ない事態である。
韓国は今でも、日本の植民地支配に対して「謝罪せよ」が常套句になっている。それは、他民族支配への反省を求めるものである。時代を超えた「正義」の主張だ。こういう要求の先頭に立っている左派陣営が、国内では民主主義の原則である多数決によって、犯罪捜査や起訴の重大権限を行政府に取り込み、正義を踏みにじる行為を平然と行なっているのだ。「右手で正義を、左手でお手盛り」というダブル・スタンダードの振舞は、韓国の未来に大きな不安を呼ぶのである。
韓国左派が、執拗なまでに右派潰しに動いているのは、左派の長期政権維持が目的である。李氏は、憲法を改正して大統領任期5年を4年に縮めて再選可能性を提案している。これは、李氏が実質8年間の大統領就任へ道を開こうとしている準備であろう。それには、検察による捜査が入って中断されないよう、事前に「防御策」を講じておかなければならないのだ。検察庁解体には、こういう自らの政治的思惑が絡んでいる。
検察庁解体して超長期政権
韓国では今、民主主義による民主主義破壊が行なわれている。多数決の横暴である。検察庁解体は、政治の思惑によって正義を抹殺するという高度の危険行為である。事件の捜査や起訴を行政権限に委ねることは、時の権力が正義を抹殺する危険性を示している。韓国左派は、こういう時代逆行の決定を国会で行なったのだ。
ここで韓国左派の実相をみておかなければならない。通常、左派といえばリベラリズムを指すであろう。韓国では、憲法が共産主義を禁じているので、左派政党は共産主義と民族主義が混在一体化しており、市場経済の原則であるリベラリズムを拒否している。右派が逆に、このリベラリズムを包含する不思議な組み合わせだ。
こうして、韓国左派は、民族主義色が極めて強い政党活動を行なっている。李氏の政治活動の原点はこれだ。李大統領は10月9日、「ハングルの日」にあたり、「偉大なハングルこそ文化強国・大韓民国の源泉」とし、「世界の文化を先導する文化強国・大韓民国の中心には常にハングルがある」と強調した。漢字抹殺の勢いである。
民族主義とはなにか。冒頭から、いささか小難しい問題を取り上げたのは、李氏の政治行動の原点に色濃い民族主義が流れているからだ。この点をハッキリと掴まないと、韓国左派の行動を理解できないであろう。この問題について、今少し辛抱していただきたい。
民族主義(民族ナショナリズム)は、特定の民族を中心とするため、「共通の言語、共通の宗教、共通の祖先を持つ民族による国家」という認識である。李氏は、野党時代に福島原発処理水放水反対で、駐韓中国大使館まで出向き「反日発言」を繰返した。これは、民族主義の表れであり、儒教という共通の倫理観を持っていることが背景にある。韓国左派は、中国との強い「同調性」を持っている。切っても切れない「連帯感」だ。
この民族主義は、一般的に「狭隘さ」という大きな限界を抱えている。民族主義は、国家主義(自国第一主義)と結び付くことで、歴史的に民族的共同体結成に動く例が多いのだ。ドイツのナチスがその好例である。最近では、ロシアのプーチン大統領がウクライナへ侵攻している。これらは、悪しき民族主義の事例だ。
韓国左派には、前述のように強烈な「民族主義」が内包されている。韓国左派が検察庁を解体した以上、次に憲法改正案を出してくれば、李大統領「8年間統治」によって、韓国の位置づけを大きく変えようと動き始めるに違いない。それは、中国へ接近して北朝鮮との関係を緩和させる動きだ。朝鮮民族の「経済的再興」を旗印にしてくるであろう。
民族主義の悪しき例では、ドイツのナチズムが上げられる。ナチスが、いかにして合法的に権力を独占したかを振り返れば、韓国左派にもそれが当てはまる、注意すべき段階にきている。ナチズムは、国会で多数決を占めてから「急旋回」して独裁政権となった。
韓国はすでに、検察庁を解体したことで与党が法的に追及さえる危険性から免除された。最高裁は、左派好みの人選で判事を決めれば、最終的にすべてが合法化される。そういう意味で、検察庁解体は左派にとって大きなスプリングボードを得たに等しい「大勝利」である。ナチズムと変らぬ、制度面からの「突撃体制」が完了したのだ。(つづく)


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