公明党が自民党に求めた企業・団体献金の規制強化が野党協力の結節点になる可能性が出てきた。立憲民主党は、首相指名選挙で野党の統一候補を探っており、その説得材料になり得るからだ。自民党の高市早苗総裁が首相になった場合でも、実現を先延ばしするなら内閣不信任決議案を出す口実になる。政治献金規制問題は、政治の1丁目1番地になった。
『日本経済新聞』(10月14日付)は、「献金規制、非自民の結節点 首相指名、統一候補探る 高市政権なら追及材料に」と題する記事を掲載した。
(1)「公明党の斉藤鉄夫代表は13日のBS日テレ番組で、献金規制を強化する法案の早期成立に意欲を示した。「話がもう煮詰まってきた」と述べ「自民党も納得してもらって成立させるということが肝要だ」と語った。立憲民主党の野田佳彦代表も12日のフジテレビ番組で、規制強化法案は「まとまる可能性がある」との見方を示した。両氏が想定するのは、献金の受け皿を各政党の党本部と都道府県連に絞る案だ。国会議員や地方議員が代表を務める支部は献金を受け取れなくなる。公明党と国民民主党が3月にまとめた案で、斉藤氏が10日の高市氏との会談で受け入れを求めたのも同じ内容だった」
公明党が、自民党へ求めている政治献金規制問題は、立憲民主党も賛成している。両党が想定するのは、献金の受け皿を各政党の党本部と都道府県連に絞る案だ。国会議員や地方議員が代表を務める支部は献金を受け取れなくなる。
(2)「野党はこの案に収斂しつつある。もともと企業献金の禁止を主張していた立民は、公明・国民民主案を支持する方針に転換した。立民と同様に禁止を訴えてきた日本維新の会も軟化している。吉村洋文代表は10日の読売テレビ番組で「禁止したいが、今すぐは無理なら1歩でも2歩でも近づけた方がより良い政治の方向に向かっていく」と述べた。国民民主は、公明党が「政治とカネ」に関する自民党の姿勢を問題視して連立解消を決めたことに理解を示す。玉木雄一郎代表は10日、国会内で記者団に「国民の信頼回復につながっていない懸念を共有する」と話した」
企業献金の禁止を主張していた立民が、公明・国民民主案を支持する方針に転換した。立民と同様に禁止を訴えてきた日本維新の会も軟化している。こうなると、政治献金規制の流れが決定的になる。自民党は、もはやこの流れに逆らえなくなってきた以上、方向転換して賛成へ回る方が傷を浅くすることになろう。国会で絶対多数の議席を持たぬ以上、これ以上の抵抗は不可能だ。
(3)「献金規制は、首相指名選挙に向けて野党が統一候補を立てる理由になり得る。衆院会派は立民と維新、国民民主で合計210議席あり、自民党単独の196を上回る。立民は玉木氏を野党連合として推す方針を示す。玉木氏は立民が安全保障やエネルギー政策を修正するのが条件だと主張し、今のところ慎重だ。維新は、立民と国民民主が合意すれば「真剣に話は聞く」との構えをみせている。立民と国民民主の調整次第で野党連合が成立する。公明党や立民が献金規制を訴えるのは、自民党による国民民主や維新との連立協議を阻む意味合いもある。献金規制を棚上げして協力を深めれば、世論から批判を浴びるのは必至だ」
自民党が、あくまでも政治献金規制に反対すれば、首相指名選挙で野党が統一候補を立てる理由になる。高市氏の首相就任は、阻まれかねない状況になってきた。自民党は、ここで先手を打って政治献金規制に賛成すれば、政権継続へ流れを引き寄せられよう。
(4)「玉木氏が、野党統一候補になって首相に就いた場合、献金規制強化の関連法案が臨時国会で成立する機運は高まる。立維国3党に公明が加わると計234議席で、過半数の233議席を超える。参院では計107議席で過半数の125に届かないものの、「政治とカネ」への対応は他の野党から協力を得やすいとの期待がある。高市氏が首相に指名された場合、野党は献金問題を政権追及の材料にできる。新政権が規制強化に取り組まないことを理由に、内閣不信任案を提出する選択肢が出てくる。「自民党と敵対するわけではない」との立場を強調する公明党も、不信任案を否決しにくい状況に置かれる」
国民民主党代表の玉木氏は、首相就任へ意欲をみせ始めている。自民党は、同党との提携を視野に入れたスタンスをみせているが、事態は急変して高市氏の対抗馬になりかねない局面だ。政治献金規制を受入れる最後のチャンスとみるべきだろう。「政治は一寸先が闇」とされる。今まさに、その局面である。


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