トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は、貿易問題で新たな対立を抱え、ボールは今や相手側のコートにあると双方が主張する構図となっている。輸入関税率のさらなる引き上げに向けて刻一刻と時間が迫っている。だが、このまま突っ込めばそれぞれ自国の損害は明らかである。互いに、相手の動きを見ながら「落とし所」を探している構図だ。
『ブルームバーグ』(10月14付)は、「トランプ氏と習氏がにらみ合い-貿易対立どちらが先に譲歩か焦点」と題する記事を掲載した。
トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は貿易問題で新たな対立を抱え、ボールは今や相手側のコートにあると双方が主張する構図となっている。輸入関税率のさらなる引き上げに向けて刻一刻と時間が迫っている。
(1)「こうした中で、どちらが先に譲歩するかが今後の焦点だと言えそうだ。トランプ氏は10日、中国による最新のレアアース(希土類)輸出規制強化を理由に、11月1日から100%の対中追加関税を課すと警告した。その後、トランプ氏が中国とのディール(取引)に前向きな姿勢を示唆し、バンス副大統領は12日、結果は「中国の対応次第だ」と述べた。これに対し中国側は、今後は米国の出方を見極める方針を明確にした」
タヌキと狐の化かし合いの様相を呈している。米中ともに、やせ我慢しながら相手へ「実弾」を投げ込んでいる構図だ。
(2)「中国外務省の林剣報道官は13日の定例記者会見で、「米国が誤った道を進み続けるなら、中国は自国の正当な権利と利益を守るため、断固として必要な措置を講じる」と話した。混乱の中にあって中国市場は底堅さを示した。中国本土株の指標、CSI300指数は13日の取引を0.5%の小幅安で終了。投資家が今回の緊張再燃を戦略的な駆け引きとみなしていることが示唆された。また、トランプ氏が姿勢を和らげるとともに、米中が通商協議の継続に前向きな姿勢を示したことを受け、13日の米株式相場は反発。S&P500種株価指数は1.6%高と、5月以来の大幅上昇となった」
米中の株式市場は、互いに強く反応しなくなっている。「ディール」が始まるとみているからだ。
(3)「米中首脳は今月、韓国での会談実施が予定されている。ベッセント米財務長官は13日、トランプ氏と習氏の会談が「引き続き実施されるとみている」と語った。さらに、週末には米中の「実質的なコミュニケーション」があったことを明らかにするとともに、スタッフレベルの協議が今週行われるとの見通しを示した。ベッセント氏は他方で、トランプ政権が同盟国と連携して中国への圧力を強める動きに出ると予想。中国が打開に向けて行動を起こさない場合には「力ずくの対抗措置」を取るとも警告した」
米中は、互いに相手陣営へ実弾を撃ち込んでその反応を待っている。5月の米中会談と同様に、振り上げた拳を下ろすのであろう。
(4)「中国当局者は、貿易を円滑に進めるため、包括的なレアアース規制には「例外」を設ける可能性があるとしている。調査会社ギャブカル・ドラゴノミクスの中国調査担当副ディレクター、クリストファー・ベダー氏は、米中どちらに一段の交渉力があるか正確に見極めるのは難しいとしつつも、中国の輸出部門が約50%の関税にも耐えることができるのは明らかだと話す。ベダー氏は「関税率が100%を超えるようなら中国側は憂慮するだろうが、そうした事態にならない限り、関税は優先度の高い問題ではない」と分析。「レアアースを巡る措置は、米国のハイテク輸出規制で譲歩を引き出す狙いがあるが、交渉を完全に頓挫させることは双方の利益にならない」と語った」
中国の輸出部門が、約50%の関税にも耐えることができるとの見方は誤りだ。中国国内景気が急速に悪化しているからだ。関税分は、中国側の値引きとなっている。中国の対米輸出価格は、急激に低下している。権威主義国家であるので、企業の不満を押し潰しているに過ぎない。


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