大阪・関西万博が、半年間の会期を終えて10月13日閉幕した。事前の評判は芳しくなく、「無用論」まで出るほどだった。だが、日本の経済の次世代を牽引する技術やサービスが「山盛り」であることから、日に日に入場者も増える「ウナギ登り」の盛況となった。もっとも作家からは、「衰退する日本」と手厳しい批判も。理由は、大屋根に合成材が使われていたというのだ。環境にやさしい時代の今日、万博と言えども、むやみやたらと木を伐採して良いとはならいないのだ。
『日本経済新聞 電子版』(10月14日付)は、「大阪万博が閉幕、消費1兆円規模 空飛ぶクルマなど新技術の実装急務」と題する記事を掲載した。
13日に閉幕した大阪・関西万博は、ヒト・モノ・カネの流れを後押しした。東西の人流を活発にし、来場者消費は1兆円規模を見込む。会場内外では大規模なビジネスイベントが相次ぎ、出展パビリオンを起点に800億円規模の投資や契約を生んだ国もある。
(1)「万博は、関連インフラも含めた事業費が10兆円規模にのぼる。短期的成果だけでなく、空飛ぶクルマの実装など、次代に向けた中長期の取り組みも必須となる。民間シンクタンク、アジア太平洋研究所(APIR、大阪市)の推計によると、7月末までの会期前半の来場者(関係者含む)の消費額は3541億円。駆け込み需要の増加を踏まえると、会期全体では24年1月時点の推計値8913億円を上回る可能性がある」
日本の技術が、これから海を渡る機会が増える。こういう経済効果を含めれば、目先のソロバンとは、桁違いのメリットを享受できる。
(2)「東海道新幹線の4月1日〜9月24日の輸送量は前年同期比で1割超増加。JR東海は6月末時点までで「万博の効果が一定程度ある」と分析した。首都圏に偏重する傾向がある訪日外国人(インバウンド)も西を目指し、関西国際空港国際線の外国人旅客数は8月、成田国際空港を2万人上回る188万人と、同月の過去最高を記録。2019年2月以来の東西逆転となった」
東海道新幹線の4月1日〜9月24日の輸送量は、前年同期比で1割超も増加した。関西国際空港国際線の外国人旅客数は8月、成田国際空港を2万人上回る188万人と、2019年2月以来の東西逆転となった。
(3)「万博は、世界規模のビジネスイベント誘致にもつながった。万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」を踏まえ、医療機器・ヘルスケア分野の見本市「ジャパンヘルス」を6月、国内で初めて開催した。大阪市の会場には425社、1万人弱が集まった。9月には、会場内で「グローバル・スタートアップ・エキスポ」を開いた。社会課題の解決に挑む国内外のスタートアップ企業約150社が出展し、米国やフランスの有力ファンドやベンチャーキャピタル(VC)が日本への拠点設置や新たな投資を表明した」
米国やフランスの有力ファンドやベンチャーキャピタル(VC)が、日本への拠点設置や新たな投資を表明した。万博効果である。出品した日本技術への商談が始まる。
(4)「ベンチャーエンタープライズセンターによると、23年の日本のVC投資額は3000億円弱で米欧に大きく後れを取る。国内スタートアップの資金調達額も約8割が東京に集中する。万博を契機に三菱UFJ銀行は、スタートアップの支援団体を大阪市内に創設した。三井住友銀行も新興企業の支援拠点を市内に開いた。海外や国内大手金融機関の資金を呼び込めれば日本全体のスタートアップ市場の底上げにつながる可能性がある」
万博が契機で、海外や国内大手金融機関の資金を呼び込めれば、日本全体のスタートアップ市場の底上げにつながる。そいう可能性が出てきた。
(5)「屈指の人気パビリオンとなったイタリア館は、商工会議所などと協力して企業向けのビジネスイベントにも注力した。パビリオンが、関与した企業間の契約や投資の総計は、4億8600万ユーロ(約860億円)規模にのぼるという。荏原は、イタリア国内のポンプ工場への関連投資に600万ユーロを投じると発表した。ライフサイエンス分野では両国の産業クラスター間で覚書を締結した。イタリア館のマリオ・ヴァッターニ政府代表は「万博が企業間の議論を加速させた」と話す」
万博が、企業間の商談を大いに盛上げるきっかけになった。パビリオンが、関与した企業間の契約や投資の総計は、4億8600万ユーロ(約860億円)規模にのぼる。
(6)「大阪府・市は9月10日、日本航空(JAL)と住友商事の共同出資会社「ソラクル」(東京・中央)と空飛ぶクルマの商用化に向けた連携協定を結んだ。万博で空飛ぶクルマの商用飛行は実現できなかったが、府・市は離着陸ポートの整備推進や国への規制緩和の働きかけなどを通じて、実用化への道筋を全面的にバックアップする」
大阪府・市は9月10日、日本航空(JAL)と住友商事の共同出資会社「ソラクル」(東京・中央)と空飛ぶクルマの商用化に向けた連携協定を結んだ。
(8)「万博で示した先端技術の事業化を後押しするための枠組みも政府、経済界、大阪府・市などが立ち上げる方向で調整を進める。事業者の資金繰りは厳しくリスクマネーを供給する体制も課題だ。日本総合研究所の藤山光雄氏は運営収支で黒字を見込む230億〜280億円について「ヘルスケアや水素、電池といった成長分野に集中的に投下すべきだ」と提案している」
万博の黒字は、次世代技術の開発費用に充てるべきとしている。万博で、無駄になることは一つもなく、すべてプラスになった。


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