中国は、15次5カ年計画(26~30年)で、経済成長率目標を打ち出せるかどうか、関心が集まっている。成長率目標にこだわって、もはや過剰生産を繰返す事態に耐えられないからだ。14次5カ年計画(21~25年)の株価は、通期でみれば横ばいにとどまる。実質的に成長しない経済であった。
『日本経済新聞 電子版』(10月18日付)は、「中国の未来は買えるのか 20日から次期5カ年計画を議論」と題する記事を掲載した。
中国の次期「5カ年計画」を議論する中国共産党の会議が20日開幕する。株式市場では計画のテーマを先取りする形で、半導体など主要な新興企業が多く含まれている上証科創板50成分指数と深圳創業板株価指数が年初から4割強上昇している。だが、5年前と比べると指数は小幅高にとどまり、時価総額上位には株価が何倍にもなった銘柄は多くはない。次の5年間で中国経済をけん引する成長企業は出てくるのだろうか。
(1)「中国に投資すれば未来に投資するのと同じだ」。中国共産党機関紙の人民日報には9月30日から習近平語録を交えた論文が大型連休のさなかに8日連続で掲載された。中国メディアの解説によると「2025年までの5カ年計画の実績を分析しつつ、26年から始まる次期計画の狙いを示す」ためとされた」
中国への投資は、結果的に過剰生産を促す無駄を生むだけである。中国経済は、自ら過剰生産を止める機能を放棄している。政府補助金が、無駄の再生産を促しているのだ。
(2)「論文では、「20年に100兆元(約2100兆円)の大台を突破した国内総生産(GDP)の25年予想は140兆元に達する公算」と5年間の成果を強調。中国経済が不振に陥っているとの指摘には「不動産業は雇用が縮小し給与が減少したが、人工知能(AI)関連の給与は通常2倍の速度で増加している。経済全体が悪いと言うのは木を見て森を見ず」と反論した」
人民日報論文こそ、「木を見て森を見ず」の議論を展開している。一国経済は、バランスを維持しなければ均衡ある成長は不可能だ。つまり、供給と需要のバランスである。AI関連の給与が2倍のスピードで増加しても、過剰在庫と高い失業率を抱えていては、なんら自慢に値しないのだ。
(3)「経済の体温計ともいえる株式相場の動向をみると、今の5カ年計画が議論された5年前の振り出しに戻ったにすぎない状況だ。AI技術の基盤を支える半導体や、習氏肝煎りの環境関連など新興企業の多くが上場する上海科創板と深圳創業板の株価指数はほとんど上昇していない。16日の科創板指数は1416.575と20年末比1.6%高、創業版指数も3037.442と2.3%高にとどまる。上昇率は、大型国有企業の比重が高い上海総合指数(12.7%高)を大きく下回る」
株価は正直である。新興企業の多くが、上場する上海科創板と深圳創業板の株価指数は、ほとんど上昇していないのだ。株価が上がらないのは、企業収益が伸びない結果である。
(4)「今の5カ年計画の間には、「中国式現代化」「新質生産力」「AIプラス」など新たな国家戦略が打ち出された。根本にあるのは西側諸国に依存せず、中国が独自にAIなど先端技術を活用して産業の高度化を図る内容だ。次の5カ年計画にも反映される見通しだ。もっとも、供給能力の強化ありきの5カ年計画は、これまで従来型の製造業から新規分野の電気自動車(EV)や電子部品、電池、太陽光パネルなどでも内需を上回る「過剰生産能力」を生み出し、不動産バブルの崩壊とともに深刻なデフレ圧力につながってきた」
中国は、補助金を付けて供給力をいくら増やしても、肝心の需要が増えないのだ。こういうアンバランスな政策は、いずれ破綻する。その誤りに気付かないのが、5カ年計画の抱える最大の矛盾点である。
(5)「今の5カ年計画は、これまで掲げていた経済成長率の目標を明示しなかった。次期についても「目標の記載はないのではないか。無理に成長を目指す弊害が大きい」(PwCコンサルティングの薗田直孝シニアエコノミスト)という見方が広がっている。もっとも、人民日報に連載された論文では「米国など西側は、中国が『過剰生産能力』を輸出し世界経済を不均衡にしたとか、国有企業に補助金を与えて海外事業を拡大し世界のサプライチェーン(供給網)の支配を狙っていると侮辱する。中国の産業競争力は制度や規模の優位性、人民の勤勉な努力が相互に作用した結果だ」と猛烈な反論ぶりだった」
中国は、自らの政策を合理的に判断する理性を失っている。なぜ、生産者物価指数が3年も下落し続けているか。その回答を聞いてみたい。理由は、過剰生産である。
(6)「東アジアの株式市場をみると、日本の日経平均株価、台湾の台湾加権指数、韓国の韓国総合指数はいずれも直近で過去最高値を大きく更新している。それに対して上海総合指数は3900前後で足踏みし、07年10月に付けた最高値(6092.057)には遠い。次の5年では中国の株価指数が最高値を更新する場面があるだろうか。それが見込めるのであれば、中国の未来に投資してもいいかもしれない」
中国近隣国の株価は、過去の高値を上まわり大きく上昇している。中国だけが、最高値に届かないで苦吟している。その理由を考えたことがあるだろうか。中国の経済政策が、失敗であることを示すのだ。


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