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高市政権が、始動開始である。長かった政治空白を埋めるべく、首相から各閣僚へ指示が出ている。これまでの慣例では、新政権発足後に解散総選挙を迎えた。今回は、公明党が連立を解消し、維新を新たな連立に迎えたものの、選挙面で公明党の代役は不可能とみられている。となれば、首相は難しい舵取りを迫られそうである。

 

『毎日新聞』(10月22日付)は、「高市首相が連立組む維新 『公明の代わりは困難』中北浩爾・中央大教授」と題する記事を掲載した。

 

高市早苗首相が誕生した。四半世紀にわたり連立政権を組んできた公明党が離脱し、新たに自民党が選んだパートナーは、日本維新の会だった。憲政史上初の女性宰相が率いる自維政権をどう見るのか。自民に詳しい政治学者の中北浩爾・中央大教授に聞いた。

 

(1)「(質問)高市首相は、公明の連立離脱という窮地を乗り越えて新政権を発足させました。維新は、これまでの公明とは違って、政権に閣僚を送りこまずに、政策協定に合意して、与党として政権に参画する「閣外協力」にとどめました。(答え)実は、これまで組んできた公明も、連立入りをする際、当時の神崎武法代表らは「閣外協力」を検討しましたが、腹を据えて「閣内協力」を選択しました。今回の維新は、完全に閣内に入りきっていない「半身」の状態です。自民が安定した政権の枠組みを作れたかといえば、流動的な要素が残り、不安定感があります」

 

公明は、最初から閣内協力という「運命共同体」を選んだ。維新は、閣外協力である。試運転期間を設けている感じだ。自民党を100%信頼していない証拠であろう。

 

(2)「(質問)女性初の首相は画期的なことです。自民と維新は憲法改正などを巡る考えが、比較的近いです。(答え)これにより、右寄りのスタンスが強まり、いわゆる自民の「岩盤保守層」の期待感は集まるかもしれません。それと、政権運営がうまく進むというのは別問題ではないでしょうか。「閣外協力」は、1997年に発足した第2次橋本龍太郎改造内閣における、社民党と新党さきがけ以来です。維新が「閣外協力」の形を取ったのは、掲げている国会議員定数の1割削減など、政策協議が万が一行き詰まった際に、いつでも連立を解消できるぞ、とプレッシャーをかける狙いがあるためでしょう」

 

岩盤保守層は公明離脱を歓迎しているが、選挙という「票集め」になると別問題になる。議席が減れば、自民党政権は窮地に立ち、やがては野党へ転じる危険性もあるからだ。問題は、自民党政権がいつまで続くかどうかが問われている。

 

(3)「(質問)これまで続いてきた自公政権は、99年に始まりました。(答え)自民にとって、維新との「閣外協力」は、何もないよりは安定性を確保したといえるでしょうが、流動的な要素が残っていると言わざるを得ないのです。参院選で過半数を割った橋本政権の後を受けて成立した小渕恵三政権が安定多数を求めて模索しました。しかし、それまで野党として自民と対峙(たいじ)してきた公明が、いきなり自民と連立を組むのは難しかった。水面下で交渉をしていたのは、官房長官だった野中広務氏です。自民時代に対立し、「悪魔」とまで呼んでいた自由党代表の小沢一郎氏に連立を持ちかけて組んだのは、自公間の「クッション」の役割を期待していたからです。こうした下準備は1年ほどかけて進め、ようやく自公政権が始まったのです。そのような経過に比べると、どうも首相指名選挙に向けた、急ごしらえ感は否めないと思います」

 

過去の自民党は、どれだけ苦労して政権をつないできたか。小渕恵三首相は、小沢一郎氏の連立離脱がショックで亡くなったとも言われる。そういう苦悩を忘れて、政権は天から降ってきたという感覚でいれば、再び政権を失うであろう。

 

(4)「衆院の選挙区の大半は自民が候補者を擁立します。その候補の多くが、支持者に「比例は公明」と訴えます。相互推薦・支援が実施され、組織票に基づく「ウィンウィン」の関係が築かれていました。維新は強固な地盤を持つ関西地方で圧倒的な強さを誇りますが、全国的な広がりには欠けます。維新と組織票の交換は難しく、選挙区の候補者調整が限度ではないでしょうか。現時点では、それも先送りされています。公明の代替になることは難しいと感じています」

 

維新は、関西の地域政党の域を出ていないのだ。組織票を持っている訳でない。過大評価していると、痛い目に遭うだろう。

 

(5)「(質問)残念ながら、高市政権が小泉純一郎政権のように、国民的な熱狂に迎えられてスタートした感じはありません。(答え)派閥パーティーの収入を政治資金収支報告書に不記載だった議員を要職に起用するなどしました。「政治とカネ」の問題の解決も先送り感は拭えません。支持率次第ですが、選挙協力で課題が残っている以上、簡単に解散・総選挙に打って出ることは難しいのではないでしょうか」

 

自民党は、いつまでも「政治とカネの問題」を棚上げしている訳に行かない。世論が納得しない限り、決着が付いたとはいえないのだ。自民党支持者だけが納得すれば、それで良いという問題ないところに厄介さがある。世論という浮動派が、最後の審判者である。