あじさいのたまご
   

韓国の李大統領は29日、米国トランプ大統領との首脳会談で、韓国内での原子力潜水艦建艦希望を提示した。「燃料供給を許可していただければ、韓国の技術で通常兵器を搭載した潜水艦を複数隻建造する」と述べたのだ。これに対し、トランプ氏は「米国内での建艦を許可する」とする一方で、韓国国内での建艦を認めず、韓国には「トンビに油揚げ」という結果になった。米国は、自国内で原潜を建艦できることで大きな「需要」が舞い込んだ形となった。

 

この問題には、「核拡散防止条約」が大きく関わっている。原潜といえども、韓国内での建艦が不可能であることを認識していなかった韓国側のミスである。仮に、日本が原潜保有を決定しても、日本国内での原潜建艦は不可能である。

 

『ロイター』(10月30日付)は、「トランプ氏、韓国の原子力潜水艦建造を承認 米フィラデルフィアで」と題する記事を掲載した。

 

訪韓中のトランプ米大統領は30日、韓国による原子力潜水艦の建造を承認したと発表した。韓国企業が投資を拡大している米東部ペンシルベニア州フィラデルフィアの造船所で建造されるという。李氏は会談で、北朝鮮や中国の船舶をより長時間追跡できるよう、韓国が原子力潜水艦用の燃料を持つことを認めるようトランプ氏に求めていた。両国間の協定により、韓国は米国の同意なしに使用済み核燃料の再処理を行うことを禁じられている。

 

(1)「トランプ氏は、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」で、「私は彼らに原子力潜水艦の建造を承認した。彼らが現在保有する旧式の、はるかに機動性に欠けるディーゼルエンジン搭載潜水艦ではなく(原潜だ)」と述べた。韓国産業通商資源省は、フィラデルフィアでの潜水艦建造に関する詳細な議論には関与していないと述べた」

 

韓国は、核拡散防止条約の存在を認識していなかったのだろう。韓国国内で、原潜建艦が可能とみていたのだ。

 

(2)「韓国には高度な造船産業があるが、トランプ氏は現在ごく少数の国しか保有していない原潜の推進技術をどこから採用するかについては明言しなかった。米国はオーストラリアと英国とともに、米国からの技術移転を伴う原潜をオーストラリアが取得するプロジェクトに取り組んでいる。米国が、原潜技術を共有したのはこれまで1950年代の英国との例にとどまる」

 

豪州は、英国の原潜技術で原潜を保有する計画である。核拡散防止条約によって、豪州も英国での原潜建艦となる。

 

(3)「ワシントンに本部を置く軍備管理協会のダリル・キンボール事務局長は、韓国がこのような潜水艦を取得するという問題は「あらゆる種類の疑問を提起する」と指摘。「AUKUS(米英豪3カ国による安全保障枠組み)の取引と同様に、(韓国は)おそらく燃料を含め、潜水艦に適した核推進サービスを米国から求めているのだろう」と述べた」

 

米国は、核拡散防止条約によって、韓国国内での原潜建艦を認めない代わりに、米国内で建艦する。これが、国際的取り決めに対応した現実的対応である。

 

(4)「このような潜水艦は通常、高濃縮ウランの使用を伴い、核拡散防止条約(NPT)の履行において重要な役割を担っている国際原子力機関(IAEA)による「非常に複雑な保障措置の新体制を必要とする」とし、「使用済み核燃料から兵器用プルトニウムを抽出する技術や、核兵器製造にも使用できるウラン濃縮能力を韓国が獲得することは、技術的にも軍事的にも不必要だ」と指摘。「米国が、世界的な核兵器の拡散を防ごうとするのであれば、トランプ政権は敵対国がこれらのデュアルユース技術にアクセスすることを拒否するのと同様に、同盟国からのこのような誘いかけに強く抵抗すべきだ」と述べた」

 

国際原子力機関(IAEA)は、韓国がウラン濃縮能力を獲得することは、技術的にも軍事的にも不必要だとしている。米国が、イラン核実験施設を急襲したのは、ウラン濃縮能力獲得を阻止するためだった。米国が、「イランは駄目でも韓国はOK」というダブルスタンダードは不可能である。韓国の核拡散防止条約についての無自覚が、米国に「トンビに油揚げ」という事態を生んだ背景である。