a0960_008527_m
   


米連邦準備理事会(FRB)は29日、政策金利を0.25%引き下げた。利下げは2会合連続。米連邦政府の一部閉鎖で主要な経済統計が軒並み停止するなか、雇用の勢いが失速するリスク回避への対応を優先した形だ。一方、日銀は利上げに慎重姿勢である。植田日銀総裁は、10月30日の記者会見で、利上げ判断にあたり「来年の春季労使交渉(春闘)の初動のモメンタム(勢い)について情報を集めたい」と述べた。米国の関税政策の影響で輸出企業の収益が下押しされるなか、高水準の賃上げが途切れないか確認する意向を示した。

 

こうした日米金融当局の動きに対して、前日銀総裁の黒田東彦氏は年末までに日銀利上げの公算大とみている。2%の物価目標はすでに達成され、経済は名目1.%程度の成長となっていることを理由にあげている。日米金利差の縮小によって、円相場は円高方向と読む。1ドル==120~130円前後に向けて上昇する公算が大きいとの見解を示した。

 

『ブルームバーグ』(10月30日付)は、「黒田前日銀総裁、1ドル=120~130円前後に向けた円高進行見込む」と題する記事を掲載した。

 

黒田氏は、「現在の円・ドル相場は1ドル=153円程度だが、これは弱過ぎる」と述べた上で、「いずれ円・ドル相場は1ドル=120~130円程度に回復するだろう」と語った。シンガポールで開かれたバークレイズ・アジア・フォーラムの合間にブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じた。

 

(1)「日本時間30日午後2時ごろの時点で、ドル・円は152円80銭前後で取引された。黒田氏はまた、米国の利下げと日銀の逆方向の動きによって、日米の金利差が縮小し、円相場が2年余り前の水準に戻ることにとなるとの見方を示した。黒田氏との英語でのインタビューは、日銀の金融政策発表の30分ほど前に行われた。日銀は30日まで開いた金融政策決定会合で、広く予想されていた通り政策金利を0.%程度に据え置くことを決めた。政策維持は6会合連続。

 

米国財務長官も、日銀へ利上げを迫っている。FRBが利下げに踏み切っている以上、日米金利差縮小によりドル=円相場を反転させたいという希望を持っている。日本が、理由もなく利上げせずに見送っていると、米国の高関税相殺目的で円安による対米輸出増をねらっているのではないか。こういう、痛くもない腹を探られる危険性が出てきた。慎重な金融政策は大事だが、「臆病な」利上げ回避はかえって問題を起こす局面になっている。

 

(2)「黒田氏は、「2%の物価目標はすでに達成され、経済は(名目)1.%程度の成長となっている。失業率はわずか2.%程度だ」と指摘し、植田和男総裁率いる日銀が利上げを継続する環境が整っているとの認識を示唆した。このほか、日銀が9月までの5会合連続で政策維持を決めたことに関しては、トランプ米大統領による関税措置が日本経済に与える影響を見極めたい考えを反映したものだとの見方を示し、その影響は当初の想定よりも小さかったと黒田氏は述べた。黒田氏はさらに、年末までに日銀利上げが実施される公算が大きいとの見方を示した」

 

これまでの円安は、植田日銀総裁の「不用意発言」が災いしている。学者特有の「慎重発言」は重要だが、日銀総裁の重みを忘れてはならない。日銀総裁の発言では、内外の為替投機家が待ち構えている。それによって、円安が起こり国民生活に災難を及ぼしているからだ。高市首相の積極財政論による経済混乱を考えると、日銀総裁の責任は一層高まる。