フィリピンとアラブ首長国連邦(UAE)が、環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を申請した。韓国も申請の検討に入った。トランプ米政権による関税引き上げや米中対立で保護主義が世界に広がる中、日本などのTPP加盟各国は欧州と並び自由貿易を守る砦になりつつある。
欧州連合(EU)が、TPPへ急接近している。11月29日に予定される、豪州の首都メルボルンでのTPP参加国閣僚級会合に、EUの通産相であるマロシュ・シェフチョビッチ欧州委員会上級副委員長が出席する予定である。自由貿易を求めてTPPが,新たな「埠頭」になりそうだ。
『日本経済新聞 電子版』(11月3日付)は、「TPPにフィリピン・UAEが加盟申請 トランプ関税に対抗、自由貿易推進」と題する記事を掲載した。
フィリピンとアラブ首長国連邦(UAE)が環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を申請していたことが分かった。韓国も申請の検討に入った。トランプ米政権による関税引き上げや米中対立で保護主義が世界に広がる中、日本などのTPP加盟各国は欧州と並び自由貿易を守るとりでになりつつある。フィリピンとUAEは、8月に事務局機能を担うニュージーランドに申請書類を提出した。日本政府関係者が明らかにした。新たな申請は24年9月のインドネシア以来、約1年ぶり。
(1)「TPPは多くの品目の関税を撤廃し、知的財産などのルールを統一する枠組みだ。日本を含む12カ国が加盟しており、コスタリカは加盟交渉を進めている。そのほか申請を済ませて交渉開始を待っているのがフィリピン・UAEを含めて8カ国・地域ある。申請国が交渉に入るには加盟12カ国すべての同意が必要になる。最も早ければ、年内にも開催するTPP閣僚会合で新たな交渉参加国が決まる。どこまで関税を撤廃できるかなどを協議して、すべての加盟国が同意すれば新規加盟が決まる。英国の場合は、申請から加盟議定書に署名するまで2年余りかかっている」
TPPは、自由化率が最も高い経済連携協定である。加盟国は、相当の「市場開放」を決意しないと参加できない。それだけでなく、中国のような国有企業のウエイトの高い産業構造も障害になる。それにもかかわらず、中国はTPPへ加盟申請している。「ダメ元」で台湾の加盟阻止が目的とされる。
(2)「今回、申請したフィリピンでは、トランプ米関税を受けて経済界からTPP参加を求める声が出ていた。フィリピン商工会議所はこのほど、「TPPは世界的な貿易の分断が進むなかで、経済のために極めて重要だ」とする声明を出した。フィリピンは日本とも経済連携協定(EPA)を結ぶなど貿易自由化を進めている。TPPの交渉入りも経済・外交政策の面で「有望な候補」(日本の交渉関係者)と見られている。日本などとの関係を経済面でも深める狙いもある。安全保障面では25年に日本との間で部隊間の相互往来をしやすくする「円滑化協定(RAA)」が発効した。日本にとっては、フィリピンとの関係を英国やオーストラリアに次ぐ「準同盟」級に引き上げたことになる。TPPへ参加すれば価値観を共有する同志国との協力が重層的になる」
フィリピンは、防衛面でも日本との関係強化に務めている国だ。名実ともに、日本と「親戚付き合い」したいというあらわれでもあろう。
(3)「UAEは、中東で初の申請。石油収入への依存を脱する経済改革の一環でもある。貿易や海外からの直接投資を拡大するために自由貿易協定(FTA)やEPAの締結を進めている。10月にはオーストラリア、マレーシアそれぞれとの間で包括的経済連携協定(CEPA)が発効した。日本ともEPA交渉を続けている。米国による関税引き上げは結果的に、TPPによる自由貿易の枠組みに加わる魅力を高めている。韓国は9月、4加盟の検討を表明した。韓国は対米関税交渉が日本よりも遅れている。トランプ政権は韓国車に25%の関税を課しており、10月末にようやく15%への引き下げの首脳間合意にこぎ着けた」
UAEは、アラブで初めての申請国になる。10月に、オーストラリア、マレーシアそれぞれとの間で包括的経済連携協定(CEPA)が発効した。市場開放に積極的である。
(4)「TPPの拡大は、日本経済の後押しにもつながる。政府は17年、TPPは日本の実質GDP(国内総生産)を約1.5%押し上げると試算した。米国を除く11カ国の前提で、貿易自由化を通じて国内の個人消費、設備投資などが押し上げられる。加盟国が増えれば、押し上げ効果はさらに高まると見られる。TPP加盟12カ国のGDPは世界全体の約15%を占める。TPPは、米国を含めた12カ国が2016年に署名したが、17年に第1次トランプ政権が脱退を表明して発効できなくなった。日本が主導する形で残る11カ国が再交渉し、名称を包括的・先進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)と改めて署名。18年に発効した。24年には欧州連合(EU)を脱退した英国が加入した」
TPP加盟国の増加は、日本経済にとっても輸出増加となるのでプラスだ。日本は、TPPの核であるだけに恩恵が大きくなる。


コメント
TPP加盟12か国、イギリスとその植民地だった国で6か国!!!!
戦前のイギリスのブロック経済復活になったりして。UAE?太平洋はどこにある
戦前の大恐慌で、ブロック経済から締め出された教訓の「TPP」、自由貿易の砦
イギリス組がいるから、企業への補助金漬け、国有企業優先の国はブロックしてね。
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