米国のトランプ大統領は10月、韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領と首脳会談を行った後、「韓国がフィラデルフィア造船所で原子力潜水艦を建造できるよう承認したい」と表明した。その後、「政府関係者の後続措置や発言がなく、もっと明確な説明が必要」だと、国務省およびホワイトハウスの幹部を歴任した元当局者が述べ、韓国へ警告している。韓国は、その後に事務手続きをしていないようなのだ。
『朝鮮日報』(11月4日付)は、「韓国原潜建造承認巡り米国の元高官『米政府内で後続措置や言及一切なし、もっと明確な説明必要』」と題する記事を掲載した。
米国の元当局者は、「韓国人は誰よりも優れた造船能力を保有しているが、初期段階における産業的難関を過小評価してはならない。技術的・政治的側面から、さらなる議論が必要な事項」と指摘した。この元当局者は、3日午前にワシントンで韓国・日本メディアなどを対象として開催されたブリーフィングで、トランプ大統領が韓国の原潜を承認したことを「今回のアジア歴訪における最も興味深い部分の一つ」に挙げつつ、このように述べた。
(1)「トランプ大統領は10月30日、自身が立ち上げたSNS(交流サイト)「トゥルース・ソーシャル」に「韓国の原潜建造を承認した」と書き込んで大きな波紋を起こした。その上で、建造は米国のフィラデルフィア造船所で行われるべきだと述べており、これは、原潜の動力源である低濃縮ウランを米国から供給してもらって韓国国内で建造したいという李在明大統領の構想とは差がある」
在米韓国大使館がその後、国務省はホワイトハウスへ連絡を取っていないのだろ。トランプ発言で、すっかり安心しきっていたのだろう。
(2)「ハンファオーシャンが2023年に買収したフィラデルフィア造船所は、厳密にいえば米国企業でもあり、造船所内に潜水艦を建造するインフラは備えていない。この人物は「大統領の発言と関連して、(まだ)何も後続措置がないという点が興味深い」「もっと明確な説明が必要。はるかに多くの作業が必要な分野」と語った。国務省は伝統的に不拡散を重視してきており、エネルギー省も、韓国政府が「核主権拡大」を主張することに対して極めてデリケートな反応を示してきた」
エネルギー省は、韓国にかなり不振の念を持っているという。過去、秘かに核開発していたことが露見して、すっかり信用を失っている。
(3)「この元当局者は「原潜導入の初期段階で直面する相当な産業的難関を過小評価してはならない」とし、「韓国人は卓越した造船能力を備えていると言えるが、技術的・政治的側面から、さらなる議論が必要な事項があるだろう」と述べた。トランプ大統領の「原潜承認」の約束を文書化することが必要で、韓国側の構想通りに濃縮ウランだけを供給してもらうとしても、核燃料の軍事的利用を禁じた韓米原子力協定の改訂が必要だ」
韓国は先ず、核燃料の軍事的利用を禁じた韓米原子力協定の改訂が必要である。こういう基本的手続きが始まっていないのだ。
(4)「オーストラリアの場合、2021年9月に豪・英・米の安全保障協議体「オーカス(AUKUS)」を結成し、米国から原潜の提供を受けることになったが、トランプ政権になった後、この件について再検討に着手した。いわゆるMAGA(米国を再び偉大に)陣営では「米国も潜水艦が足りないのに、なぜ外国に与えなければならないのか」という論理が有力だ。ただし、この当局者は「困難はあるが、過去5年間(AUKUS)の成果は驚くべきもの」だとし「トランプ大統領も強力な支持を表明した。オーストラリアの原潜計画の進展については、もっと楽観的かつ前向き」と語った」。
豪州の原潜は、英国が技術供与することになっている。ただ、豪州が自前の原潜を保有する前に、米国保有の原潜を2隻貸与する形になっている。米国は、原潜建艦でてんてこ舞いである。韓国への建艦は、「余計な仕事」とみているのかも知れない。


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