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米韓は、韓国の対米直接投資3500億ドルをめぐって紛糾してきたが、ようやく決着した。韓国は総額3500億ドルの対米投資をするが、うち2000億ドルは10年分割の現金投資。1500億ドルは造船業協力(MASGAプロジェクト)に充てられる。為替市場への配慮から、 年間投資額は200億ドルを上限とし、韓国の外貨市場への影響を最小限に抑えることになった。問題は、米国への投資によって韓国国内が空洞化すれば、雇用に大きな影響がでる。早くも先行きへの懸念が取り沙汰されている。

 

『ハンギョレ新聞』(11月2日日付)は、「『米国に3500億ドル、韓国国内への投資萎縮・雇用に悪影響…対応戦略を』」と題する記事を掲載した。

 

韓米関税交渉の妥結で、3500億ドル規模の対米投資の細部構成案が確定した。これによって、韓国国内への投資が萎縮し、雇用にも悪影響を及ぼしかねないという懸念が出ている。米国への投資拡大が、韓国の国内産業に及ぼす影響を分析し、対応戦略を立てなければならないという指摘だ

 

(1)「今回の交渉によって、韓国政府が主導して米国に約10年間にわたり毎年現金で投資しなければならない200億ドルは、昨年の対米海外直接投資(FDI)に匹敵する規模だ。海外直接投資とは、韓国企業が外国にある企業の経営権を獲得するために株などを取得することで、最近は半導体やバッテリーなどの先端産業を中心に投資が増えている傾向にある」

 

韓国が今後、10年間にわたり行なう毎年200億ドルの対米投資は、昨年の対米投資額200億ドルに匹敵する。無理して行なうという高いレベルではない。問題は、中身である。

 

(2)「2日、韓国企画財政部による海外直接投資の統計によれば、2020年に151億6000万ドルだった対米直接投資の規模は、昨年は220億8000万ドルで、5年で45.6%増加した。特に半導体などが含まれる電気装備・電子部品など製造業の米国投資額が39億2000ドルで、対米投資の総額の17%以上を占めるなど、先端産業への投資が総投資を牽引したことが分かった」

 

韓国の対米直接投資は、これまで半導体などが含まれる電気装備・電子部品などだ。この規模の投資を10年か行なうことになる。これは、国内でも行われる産業と競合する。

 

(3)「米国のハワード・ラトニック商務長官は、合意後に米国内の投資先として先端製造業、AIなどに言及し、韓国政府も半導体などの競争力のある分野に集中投資する方針だ。このため、米国に投資する産業と韓国への投資が必要な産業が重なる可能性が高い。国家データ処の統計によれば、今年19月の電気自動車への転換を含む自動車設備投資は前年同期に比べ15.6%、半導体製造用の機械投資は同じ期間に15.7%増加するなど、高付加価値産業を中心に設備投資が増えた」

 

問題は、米国に投資する産業と韓国への投資が必要な産業が重なる可能性である。米国への投資を優先すると、国内投資が空洞化する危険性が生じる。

 

(4)「西江大学経済学科のホ・ジョン教授(韓国国際通商学会長)はハンギョレに、「過去、中国への投資は低付加価値産業に多く行われ、韓国国内への投資は高付加価値産業に活性化されたことから、相互補完性があった」とし、「今、対米投資は電気自動車や半導体など先端産業を中心に進められているため、韓国に投資するものを米国に投資する状況が発生する可能性がある」と述べた」

 

米国へも先端部門の投資となるので、国内と重複する恐れが強くなる。これが、国内空洞化をもたらしかねない。

 

(5)「韓国国内への投資余力が減れば、結局は地域経済と雇用に打撃を与えるという指摘も出ている。韓国の市民団体「参与連帯」は、韓米関税交渉妥結後に論評を発表し「このような大規模な海外投資は国内の中小企業と地域産業の資金の流れを弱め、民生経済全般の投資の余力を縮小させる悪循環を招きかねない」とし、「製造業中心地域と中小都市の経済の萎縮、造船・鉄鋼・部品産業など主力の製造業の基盤弱化は、下請け・中小企業の経営難と地域の雇用縮小につながる可能性が大きい」と指摘した。ホ教授は、「米国への投資と雇用が増え、産業の構造調整が強制的に行われ、製造業分野が萎縮する産業空洞化が発生する可能性がある」とし、「今後、サービス産業の開発など産業の競争力を育てる大々的な方策を考えなければならない」と話した」

 

米国への投資が優先されると、韓国国内への投資余力が減る。こうなれば、地域経済と雇用に打撃を与える懸念が出てくる。韓国政府は、こうしたリスクをいかに防ぐかだ。