ロシアは、ウクライナ侵攻で停戦気配をみせないどころか、さらに欧州へ戦線拡大を危惧される事態を迎えている。欧州の盟主であるドイツは、ロシア侵攻への備えとして、26年から18歳男子すべての身体検査を行うことになった。ドイツ連邦軍は当面、現在の18万2000人から2035年までに26万人へ増やす必要があるしている。ドイツは、2011年に徴兵制を停止したが、志願兵への兵役制度を復活させることになった。
『フィナンシャル・タイムズ』(11月13日付)は、「ドイツ連立与党、新たな兵役制度で決着 18歳男性全員に身体検査」と題する記事を掲載した。
ドイツの連立与党間で合意された軍事力増強政策に基づき、今後18歳の全ドイツ人男性は兵役適性を確認するための身体検査が義務付けられることになる。
(1)「欧州連合(EU)最大の経済国であるドイツは、ロシアの侵略に対する北大西洋条約機構(NATO)の懸念を受け、軍を拡大しようとしている。新しい形の兵役制度については、当初は志願者のみを募集する。新たな兵役制度の詳細をめぐる数カ月の政治的駆け引きの末、ピストリウス独国防相は募集活動の進捗状況について6ヶ月ごとに独連邦議会(下院)に報告することに同意した。もし志願兵を十分に確保できなかった場合、議員らは強制兵役の対象者を無作為に抽選で選ぶ案など、他の選択肢の検討を求められることになる」
当初は志願制であるが、募集が定数に満たない場合、徴兵となる。
(2)「合意を発表したピストリウス氏は、欧州諸国がドイツに注目しているのは、今後数年にわたってドイツが軍の装備刷新に数千億ユーロを投じるだけでなく、兵員の拡充に取り組んでいるからだと強調した。「これらすべてが成功すると強く確信している」と述べた。メルツ独首相は5月に就任した際、ドイツ軍を欧州で最も強力な通常戦力にすることを約束していた。軍当局は、ドイツ連邦軍の規模を現在の18万2000人から2035年までに26万人に増やす必要があると述べている。また、危機時に招集可能な予備役も6万人から20万人へ拡大する必要がある」
現在の定員18万2000人が、2035年までに26万人に増える。予備役も6万人から20万人へ拡大する必要があるという。
(3)「ドイツは11年に徴兵制を停止した。メルツ氏率いる中道右派キリスト教民主同盟(CDU)と連立相手の中道左派ドイツ社会民主党(SPD)が結んだ連立協定は、新たな志願制の兵役制度の導入を約束していた。しかし、新たな兵役制度の法制化は難航してきた。CDU内には、欧州の緊迫した安全保障状況を考えると、志願制だけでは不十分だと警告する声が多い。一方、平和主義が根強いSPDは徴兵制の導入を求める声に抵抗してきた。両党は10月に合意に達したかに見えたが、ピストリウス氏が合意内容のいくつかの要素に不満を示したため合意は頓挫していた」
連立政権のCDUとSPDでは、徴兵制への意見が食い違っている。CDUは、徴兵制やむなしであるが、SPDが徴兵制へ抵抗してきた。それがようやく合意した。
(4)「11月12日夜に取りまとめられた新たな合意によれば、26年1月から18歳全員に対して、身体・精神の健康状態や従軍の意欲および能力についての詳細を尋ねる質問票が送付されることになる。男性は、法律により回答が義務付けられる。女性は任意となる。これは以前の兵役制度が男性のみに適用されていた名残である。性別に関する規定を撤廃するには憲法改正が必要で、連邦議会で3分の2の賛成が必要となるが、現在の連立政権ではその確保は困難だろう。質問票に回答した後、若年男性全員は、たとえ従軍する意思がなくても身体検査を受ける必要がある」
26年1月から18歳全員の男女に対して、身体・精神の健康状態や従軍の意欲および能力についての詳細を尋ねる質問票が送付される。男性は回答を義務づけるが、女性は任意となる。女性の徴兵は憲法改正が必要。若年男性全員は、身体検査を受ける義務がある。
(5)「ピストリウス氏は、能力がある若者全員の招集が必要となりうる危機に備えるために、こうした検査が重要だと強調した。同氏は13日、検査によりドイツの若い男性の「全体像を把握」することができ、これは「防衛能力を評価する上で不可欠だ」と述べた。ドイツ軍は、魅力的な給与や運転免許取得費用を安くする補助などの福利厚生で新兵を勧誘しようとしている」
ドイツ軍は、魅力的な給与や運転免許取得費用を安くするなどの福利厚生で新兵を勧誘しようとしている。


コメント
コメントする