中国の10月固定資産投資が、前年同月比約11%もの急減になった。過剰生産に根を挙げた企業が、ついに設備投資を諦めたのか。あるいは、地方政府が財源難でインフラ投資を手控えているのか不明である。いずれにしても、GDPの42%(2023年)を占める総資本形成に異変が起こっている。仮に、実勢悪を示すものであれば、今後の中国経済は経済成長率が急低下する公算が強まるであろう。最終的には、今少し様子を見る必要があろう。
『ブルームバーグ』(11月17日付)は、「中国、異例の投資急減-他の指標と整合性欠き実体経済見えず」と題する記事を掲載した。
中国の投資が急激に落ち込んでいる。14日発表の公式統計に基づくと、10月の固定資産投資は前年同月比で11%余り減少したと推計され、新型コロナウイルス流行初期の2020年以来最悪の落ち込みとなった。国家統計局は固定資産投資について、年初来の累計のみを公表しており、月次データは開示していない。
(1)「このまま投資がさらに急減すれば、中国の国内総生産(GDP)のほぼ半分を占める活動が揺らぎ、輸出減速に苦しむ経済全体への下振れリスクを高めかねない。それにもかかわらず、エコノミストらはこの異例の投資急減を他の経済指標と整合的に説明できず、原因を把握しかねている。7月から始まった顕著な固定資産投資減少は、現時点では成長率を大きく押し下げる要因にはなっていない。別の投資指標である総資本形成は、7-9月(第3四半期)GDP成長率の約2割を押し上げた」
顕著な固定資産投資減少は、この7月から始まっているが、GDP成長率には表れていない。この点が、「なぜか」と疑問を呼んでいる。事実は一つで、固定資産投資が減っている点だ。増えてはいないのだ。
(2)「スタンダードチャータードの丁爽チーフエコノミスト(大中華圏・北アジア担当)は「投資減少には幾つか説明できる理由があるが、ここまで落ち込んだ理由は理解しがたい」と述べ、投資の重石は10~12月(第4四半期)にさらに大きくなり、「GDP成長鈍化の最も際立つ要因になる」と警告した。
固定資産投資の急減が事実であれば、今後のGDP低下要因となるのは確実である。
(3)「興味深いのは、投資の落ち込みが政府による反「内巻」キャンペーンの開始時期とほぼ一致している点だ。内巻とは、過剰な生産能力が激しい競争を引き起こし、企業の利益をむしばんでいく状況だ。反内巻政策は産業全体の過剰生産を抑える狙いがあるが、具体的な投資や生産能力の抑制目標は公表されておらず、その影響度は測りにくい。産業投資の抑制は過剰供給を抑える一方で、景気刺激策がない限り雇用や家計所得を圧迫する恐れもある」
興味深いのは、投資の落ち込みが政府による反「内巻」キャンペーンの開始時期とほぼ一致している点と指摘されている。となれば、固定資産投資の数字を操作し、地方政府が意図的に「減らした」とみられる。
(4)「国家統計局によれば、固定資産投資は物価下落に押し下げられたが、総資本形成は価格調整後の成長を反映している。統計局はブルームバーグ・ニュースに対し書面で、この2つのデータは対象範囲が異なり、固定資産投資には土地購入費や中古設備の取得費など、総資本形成に含まれない項目も入っていると伝えた」
国家統計局は、固定資産投資が企業報告の「生データ」という位置づけだ。GDPの総資本形成と概念が異なるとしている。それ故、固定資産投資の急減をGDP成長率へ直結させることは、「正しくない」という指摘である。これも、一理ある説明だ。日本でもよくある例だ。
(5)「ギャブカル・ドラゴノミクスの中国調査ディレクター、アンドリュー・バトソン氏は、実際の企業投資はすでに鈍化していて、今回の投資急減は実体経済へのショックではなく、報告方法の変更を反映したものかもしれないと分析している。不動産投資の悪化に加え、地方政府が隠れ債務返済や企業への未払い金の清算を優先したことで、インフラ投資も減速。さらに製造業投資の年初来伸び率は、5月時点の9%近くから10月には2.7%まで急低下した。 一方、減速の兆しがほとんど見られない反内巻政策の対象となった業種もある。例えば自動車業界では投資が18%近く急増した」
固定資産投資の急減の真相は、今のところ不明である。ただ、減っていることは事実であり、これが、中国経済のGDP減速へ反映されることは疑いない。落勢を強めているのだ。


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