2025年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は、6四半期ぶりにマイナスとなった。年率換算で1.8%減だ。高関税による輸出の低迷が響いた。一時的な結果とみられ。10~12月期には、回復予想が一般的である。10月以降は、企業の底堅い設備投資などでプラス成長へ戻ると見込まれるからだ。ただ、日中摩擦の深刻化や円安進行によるインフレ加速などのリスクがある。
『日本経済新聞 電子版』(11月17日付)は、「国内景気、米関税で一時減速 回復見込むも日中摩擦と円安にリスク」と題する記事を掲載した。
7〜9月期は物価変動の影響を除いた実質が前期比で0.4%減、年率換算は1.8%減だった。
(1)「GDP全体を押し下げた要因の一つが輸出である。前期比で1.2%も落ち込んだ。マツダの世界販売の3割を占める米国販売は、日本などからの輸出比率が8割と高い。同社は米国の高関税を回避するため、収益性の低い小型車の輸出を抑える対応をとった。日本から米国・カナダへの輸出台数は、7〜9月で前年同期比10%減った。GDP統計でみた住宅投資も前期比9.4%減と落ち込んだ。4月からの省エネルギー基準の厳格化で3月までに駆け込み需要があり、その反動が出た」
ここでは、マツダの対米輸出が取り上げられている。日本などからの輸出比率が8割と高いので、トランプ関税の圧力で米国・カナダへの輸出台数は、7〜9月で前年同期比10%も減った。住宅投資も3月までの駆け込み需要の反動が出ている。
(2)「落ち込みは一時的なものにとどまり、10〜12月期の日本経済はプラス成長に戻るとの見方がエコノミストの間では優勢だ。予測を手掛ける10人に見通しを聞いたところ、10〜12月期の実質GDPは平均で前期比年率0.6%増だった。予測平均について項目別にみると、個人消費は前期比0.2%増と増加が続く。設備投資も0.3%増とプラスの伸びを維持する。輸出については0.3%減とマイナスにとどまり景気を下押しする」
10〜12月期は、プラス成長に戻るとの見方が多数である。エコノミスト平均で、前期比年率0.6%増成長が予想されている。個人消費や設備投資もプラスの伸びが見込まれる。輸出は、未だ回復しない。
(3)「リスクもある。急浮上するのが今後の日中関係への懸念だ。高市早苗首相の台湾有事を巡る発言を受け、中国外務省は自国民に日本への渡航を当面控えるよう注意喚起した。日本に来る外国人観光客の中で中国からは全体の2割を占める。17日の東京株式市場ではインバウンド関連銘柄が急落した。百貨店大手の三越伊勢丹ホールディングスは前日比で一時12%安、高島屋は一時7%安に沈んだ。中国での売上高比率が高い銘柄に売りがかさみ、資生堂は11%安、ファーストリテイリングは7%安になる場面があった。この日の日経平均株価が続落する一因にもなった」
にわかに持ち上がった日中関係の悪化が今後、どのように展開するかだ。中国が,さらに対抗色を強めてくれば、日本も本格的に立ち向かわざるを得なくなる。
(4)「UBS証券の風早隆弘氏は、「市場では中国からの訪日客減少と、中国での日本企業に対する不買運動が懸念されている」と指摘する。尖閣諸島の領有権問題で反日デモが激化した2012年9月には、投資マネーが中国に進出する自動車や電機、小売りなどを避ける動きがあった。現時点では高島屋、大丸松坂屋百貨店いずれも「目立った影響は出ていない」といい、今後の動向を注視するとしている」
中国の訪日観光客には、リピーターが増えている。この層は、中国政府の「宣伝」に惑わされることがない。問題は、団体旅行である。
(5)「物価高を加速させる円安リスクも高まっている。足元で円相場は1ドル=150円台半ばで推移する。今夏は140円台だったが、高市政権の発足を契機に円安が進んだ。日銀は1月の利上げ以降、政策金利を据え置いている。円安や物価高に一定の歯止めとなりうる日銀の利上げが遅れれば、インフレを加速させ個人消費の回復を遅らせる可能性がある。高市政権は、国内経済の悪化リスクに対応するため、経済対策の規模を17兆円の方向で検討している。大和総研の熊谷亮丸氏は「大規模な経済対策の必要性は小さく、インフレを助長する恐れがある」と指摘する」
ここは、浮き足たたずに冷静な行動が必要だ。最大の「敵」は,円安である。これが輸入物価を押上げる。今回の大規模補正予算が、円安に繋がれば補正の意義が薄れる。


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