a1180_012431_m
   

台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁を巡り、中国が日本に圧力を加えようと欧州にも外交戦を展開している。中国の王毅外相は27日、フランスのボンヌ大統領外交補佐官との電話協議で高市政権を批判し、フランス側の同調を呼びかけた。現実には、台湾問題を巡る溝は中国と欧州との間でも深まっている。事態が、習近平指導部の思惑通りに進むとは考えにくい。欧州は、G7で日本の「味方」なのだ。

 

『毎日新聞 電信版』(11月28日付)は、「台湾有事答弁巡り、中国が欧州にも外交戦 現実はあつれき絶えず」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国外務省によると、王氏はフランスのボンヌ大統領外交補佐官との電話協議で「日本の現職指導者は台湾に関して挑発的発言を行い、中国の主権と領土の一体性を侵害した」と主張。フランス側に「第二次世界大戦勝利の成果を共同で守り、互いの核心的利益に関わる問題で互いに支持すべきだ」と述べた。中国側の発表では、ボンヌ氏は「台湾問題での中国の正当な立場を理解する」と表明したという」

 

外交用語では、「理解」や「尊重」は、「承認」と違って法的意味のない言葉とみなされている。ボンヌ氏は「台湾問題での中国の正当な立場を理解する」と述べた。外交的には法的意味のない言葉を使っている点に注目すべきだ。「聞き及びました」という意味だ。

 

(2)「仏ルモンド紙によると、フランスは、マクロン大統領が12月3~5日の日程で訪中すると発表しており、今回の電話協議はそのための事前準備とみられる。これから年明けにかけて中国は欧州主要国の首脳を相次いで迎えようとしている。ロイター通信によると、1月にもドイツのメルツ首相が訪中する予定で、英メディアはイギリスのスターマー首相も1月の訪中を調整中と報じた」

 

王外相は、習国家主席の手前、日本へ強腰を見せている。日本留学経験のある王氏は辛い立場だ。

 

(3)「米国に対抗するため、中国は欧州との連携強化を望んでおり、トップ外交を重要な機会と位置づける。さらに、王氏とボンヌ氏の電話協議からは、この機に乗じて台湾問題で日本に圧力をかけようとする思惑も浮き彫りになった。しかし、中国側があえて触れようとしない不都合な現実がある。それは欧州諸国との間でも台湾問題を巡るあつれきが絶えないことだ。11月には、台湾の蕭美琴副総統がベルギー・ブリュッセルの欧州連合(EU)欧州議会で演説した。台湾の高官が欧州議会で演説したのは初めてという。同じ時期に蔡英文前総統もドイツ・ベルリンでのイベントで民主主義や自由の重要性を訴えた。蔡氏は昨年以降、チェコやデンマークを訪問した。度重なる台湾要人の訪欧に、中国側は神経をとがらせている」

 

台湾首脳や元首脳は、欧州を相次いで訪問している。EUは、台湾の立場に深い同情を寄せているのだ。それを知ってか知らずか、台湾と日本を非難している。

 

(4)「欧州が、台湾問題への関心を強めるのは、ウクライナに侵攻するロシアを経済面で支える中国に対し、安全保障上の警戒心が高まっていることが大きい。今年5月には、マクロン氏がシンガポールでのアジア安全保障会議で「ロシアがいかなる制約もなくウクライナ領土の一部を奪うことが許されると考えると、台湾では何が起きるだろうか」と問題提起した」

 

欧州からみる中国は、ウクライナ侵攻を背後から手助けする国と冷笑されている。自らの矛盾した立場を弁えない王氏は、さしずめピエロ役であろう。

 

(5)「中国が、意に沿わない国々への「威圧」を常とう手段としていることは、欧州が身をもって経験している。近年、習指導部は、台湾と交流を深めたリトアニアに経済的圧力を加えてきた。過去にはノーベル平和賞を中国の民主活動家、劉暁波氏が受賞したことで、ノルウェー産のサーモン輸入を差し止めたこともあった。欧州では、中国との間でレアアース(希土類)問題を含む貿易摩擦への懸念も深まっている。日中関係筋は、「中国の主張が国際社会に浸透しているとは思えない。中国のやり方に、閉口するような空気も感じられる」と明かした」

 

EUは心底、中国を「厄介者」扱いしている。ダンピング輸出や威圧で、どれだけ迷惑をかけているか、だ。そういう事実を忘れたような顔をしているのは、なんとももの悲しい話である。