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独創性なき中国製品

日本が6Gでトップ

ワット・ビット結合

応用研究重視の限界

 

習近平中国国家主席は、2049年の新中国建国100年を目標にして、世界技術を制覇する大計画を立てている。だが、世界の技術頂点に立つには、今や世界通信網を支配しなければならない時代になった。すべての機器が、通信によって有機的に結合して初めて機能を発揮する作業環境になるからだ。習氏には、ここまで緻密な計算をしている訳でない。ただ、「進め」という号令を掛けているだけだ。

 

世界通信網の5Gでは、中国のファーウェイが脚光を浴びたものの、目的を果すことができなかった。豪州によって、「バックドア」が仕掛けられていることを発見されたからだ。これを、トランプ1期政権が大々的に「宣伝して」ファーウェイ5Gは、西側諸国から排除された経緯がある。こういう事情もあって、次世代通信網(6G)ではファーウェイの影は国際的にも薄いのが現実だ。

 

なぜ、世界通信網が技術覇権の「王様」になるのか。その理由は今後、すべての先端技術が通信に依存する時代を迎えることだ。AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、量子技術(量子コンピュータなど)、ロボティクス(ロボット工学)などの先端技術が、超高速・低遅延・高信頼の通信インフラがなければ成立しない時代になる。通信インフラが、まさに「技術文明の血流」の役割を果すのである。それは、6Gが技術覇権の要になるという意味だ。

 

中国は、AI・量子技術・ロボティクスで世界中へ製品を輸出できれば、それが世界の技術覇権に繋がるという極めて安易な考え方をしている。これまで、EV(電気自動車)で世界中へダンピング輸出したので、これをみならってAIなども世界中へばら撒こうという戦略だ。しかし、単体の先端製品だけの高シェアだけでは、総合的な技術覇権と呼ぶことができない時代になる。これらの単体の先端技術は、ネットワークでつなぐ通信網が存在してこそ有機的に結合できるのだ。その点で、次世代通信網(6G)が不可欠になる。

 

独創性なき中国製品

中国は、6Gで世界を支配できるだろうか。冒頭に挙げた理由で、西側諸国は一様に中国製5Gを拒否した。中国が、すでに世界の信頼を失ったので、6Gはさらに窮地に立たされることが目にみえている。不思議なことに、中国には自国技術が西側諸国から、胡散臭い目でみられていることの自覚が乏しいのだ。「唯我独尊」的な振舞によって、製品のパフォーマンスさえ良ければ問題ないという感覚である。低コスト・低価格が、製品普及の生命線という単純な理解だ。現実には、6Gに繋がらない製品は売れなくなる時代がくる。

 

中国が、こういう前提に疎いのは、技術開発に対する独創性という視点を無視し、模倣を優先させる形で進んできた結果である。2049年の世界技術制覇論の前提には、技術の「リープフロッグ」(蛙の三段跳び)によって、基礎技術の脆弱性を飛越えて、応用技術で果実を得るという戦術を採用しようとしている点に現れている。

 

リープフロッグ戦略とは、次のようなものだ。中国は、既存の技術インフラを持たない分野では、一気に次世代技術へ飛躍する「リープフロッグ」戦略を採用してきた。これは、5Gやモバイル決済、AI監視技術などで実際に成果を上げた手法である。この手法を使って、6Gや量子通信、AIでも同様の飛躍を狙っている。しかし、ここに想定外のことが起こったのだ。

 

米中対立によって、西側の最新技術研究を利用できなくなった点である。リープフロッグの「踏み切り板」が、強制的に取り上げられてしまったことだ。これでは、得意の三段跳びも不可能になる。2049年の世界技術制覇論への目論見で、大きな狂いが生じたはずだ。ファーウェイの5G技術も、大半は米国企業が支援したとされている。こうなると、正味の中国技術はいったい、どれだけの力量なのか実態は不明である。

 

世間では、中国の特許申請件数が桁外れに多いことをもって、「中国技術は凄い」という評価を与えている。それは、多分に外面的な「賑わい」である。中国では、特許を申請すると補助金が与えられるので、意味のない特許も申請されている。ニュースに登場するのは、中国の「特許申請件数」の多さだ。外部の者は、一様に「ビックリした」という印象だが、特許当局の査定によってふるい落とされ、実際の特許数はぐっと減る。次は、この特許が有効期限を迎えて更新されるかどうか、だ。実益のない特許は、更新されず消えていく。

 

こうして、特許申請件数→受理件数→更新件数という過程を経て、初めて特許が有益であったかどうかが、最終的に判定されるはずだ。ここで、特許申請件数の多い5ヶ国を例にして、本当の開発力の「優劣」をみておきたい。(表は省略)

 

中国の国際特許状況は、「量」が最大で「質」は最低。これが実態だ。中国の特許申請件数は、上位5ヶ国中で最大である。だが、その中身は最低である。つまり、査定率は55%に過ぎない。申請件数は、特許を申請しても半分弱が実現せずに却下されているのだ。さらに、平均更新率が6.3年と最も短い。特許が成立しても、更新されずに放棄されている。中国は、「枯れ木も山の賑わい」という甚だ不名誉なのが実態だ。中国当局も、質の悪い特許が多くて「国辱」と感じたのか、26年から国際特許の事前審査を行う予定である。(つづく)

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