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中国の対日威圧では、中国経済の苦しい事情を反映して、日系企業には「安心して事業を進めて欲しい」とニコニコ顔の対応をしていることが分った。製造業や小売業は、「厚遇組」である。一方、日本人の芸能活動では無慈悲そのものだ。舞台で唄っている歌手には、強引に止めさせるという想像もできないムチを当てている。この対日威圧の使い分けこそ、中国経済の苦境状態そのものを示している。 日本商品ボイコット運動や反日デモを起こせない事情が、これでよく分るのだ。

 

中国当局のこうした「使い分け状態」からみると、対日威圧はいつまで続くか。中国は、「持久戦」の構えである。現状のままで、日本国内の不満を高める戦術であろう。「高市辞めろ」コールの強まるのを待つ姿勢だ。だが、高市首相の高い支持率に陰りはみられない。習vs高市の睨み合いは、互いに半身の構えで長く続きそうだ。

 

『日本経済新聞』(12月2日付)は、「中国の対日威圧、製造業など抑制  高官が日系企業視察 内需伸びず、経済飛び火恐れ」と題する記事を掲載した。

 

中国による日系企業への経済的な威圧が及ぶ業種の違いが際立っている。音楽イベントなどが相次ぎ中止に追い込まれる一方、メーカーには政府高官が出向いて事業継続を求めた。低迷が続く自国経済を直撃しかねない製造業や小売業への威圧は抑えているとみられる。

 

(1)「中国外務省の劉勁松アジア局長は11月、日系大手メーカーの遼寧省大連市にある拠点を視察した。企業側に「中国で安心して事業活動をしてほしい」という趣旨を伝え、責任者と抱擁して友好ムードも演出したという。劉氏は大連を訪れる直前の18日、日本外務省の金井正彰アジア大洋州局長と北京市の中国外務省で協議した。高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁や、中国の薛剣・駐大阪総領事のSNS投稿を巡り応酬となった。劉氏が協議後、ポケットに手を入れて金井氏を見送る様子はSNSで拡散し、話題になった」

 

中国は、国民に向けては強気のポーズを取っている。中国外務省の劉勁松アジア局長の日系企業訪問によって、強気イメージを打消している。なかなかの「演技巧者」である。

 

(2)「首相答弁を問題視する中国政府は、対日威圧を強めてきた。自国民に日本への旅行自粛などを呼びかけた。国内の航空会社には日本への航空便を減らすよう要請した。日系企業の中国事業への影響が目立つのがエンターテインメント業界だ。バンダイナムコホールディングスは28日から3日間、上海市でイベントを開く予定だったが29日に中止を発表した。同日は人気アイドルグループ「ももいろクローバーZ」の出演が控えていた。29日の予定だった歌手の浜崎あゆみさんのコンサートも中止となった。一方、日系大手の製造業や小売業では日中対立の大きなしわ寄せは確認されていない。中国での生産販売活動や雇用への貢献度が大きく、政府が飛び火させないようにしている可能性がある」

 

イベントには、強気姿勢だ。中国国民に向けて政府は、日本を許さないという姿勢である。国民の目が届かない所では、「ニコニコ戦術」と使い分けている。

 

(3)「日本の大手自動車メーカーの広報は「具体的な影響は受けていない」と話す。販売イベントの取りやめや不買運動などは起きていないという。外食大手のFOOD&LIFE COMPANIES121日、上海市で回転ずし「スシロー」の新店舗の内覧会を開いた。同店を含め6日に上海市内で2店舗をオープンする予定だ。イオンも11月27日、湖南省長沙市にショッピングセンターを予定通り開業した。初日は想定を上回る14万人が来場した」

 

中国の威圧は、自動車や外食という消費に直結している分野には及んでいない。日常生活に混乱を持ち込まない方針であろう。弱り目の経済が、さらに苦境に立たされるからだ。

 

(4)「日系企業の間には、中国の内需不足に直面し、事業縮小の動きも広がる。キヤノンは21日、広東省中山市にあるレーザープリンターなどの製造拠点「キヤノン(中山)事務機」の稼働を停止した。市場の縮小などが理由という。中国政府の危機感は強い。李強(リー・チャン)首相は5日、上海市で開いた「中国国際輸入博覧会」で「外資企業が中国でより安心して自信を持って事業運営できるようにする」と強調した」

 

中国の内需不足から、日系企業では事業を縮小させるところも出ている。これが、雇用問題になるだけに、当局は対応に苦しむ。こういう例が出るだけに、日系企業を大事にせざるをえないのであろう。

 

(5)「香港『サウスチャイナ・モーニング・ポスト電子版』は26日、「経済的対抗措置に過度に依存すれば外国人投資家らを不安にさせる恐れがある」との専門家の分析を伝えた。製造業などへの影響が、軽微にとどまるかは予断を許さない。日本企業の幹部は「売れ行きは落ちていないが、表だった販促活動を控えており、今後影響が出る可能性もある」と話した」

 

日系企業は、現地の雰囲気に合わせて「目立たない」ビジネス姿勢という。これが、業績にどう影響するか。どう転んでも、対日威圧が中国経済にマイナスであることは間違いない。