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高市政権の泣き所とされた積極財政は、補正予算を大型にしたがIMF(国際通貨基金)のゲオルギエワ専務理事が「心配していない」と発言。合格点を貰った形だ。財源の一部が、今年度増収額を当てられることで、財政膨脹に歯止めを掛けているようだ。さらに、日銀の植田総裁が、12月の利上げ含みの発言によって、海外では、ジャパンマネーが日本へ還流するとみていることで、円高に繋がるという見方が強まってきた。円高で物価抑制になれば、高市政権は滑り出しが上々となる。

 

『フィナンシャル・タイムズ』(12月1日付)は、「世界で債券売り広がる 日銀利上げ示唆で日本投資家の資金還流観測」と題する記事を掲載した。

 

日銀が近く利上げに踏み切る可能性を示したことを受け、2日の世界の債券市場は下落(利回りが上昇)し、ビットコインなど投機色の強い資産にも売りが広がった。

 

(1)「植田和男日銀総裁が利上げの可能性を示唆する発言をしたことを受け、日本の2年物国債利回りは2008年以来初めて1%を超えた。長期債も売られ、10年物国債利回りは0.07%上昇して1.87%となった。日本国債の利回り上昇は世界の債券市場にも波及し、米国やドイツなど主要国の国債価格が下落した」

 

植田総裁は、近来にない強気発言をしている。「利上げしても中立金利には余裕がある」とした。中立金利とは、景気に影響しない金利水準で、日本では1%~1.5%とみられている。ここまで利上げしてみ景気を冷やさないという意味だ。高市首相は、植田総裁からこの説明を聞いて、利上げを納得したのであろう。それだけ、日本経済の足腰が強くなってきた証拠だ。健康体に戻ってきた。

 

(2)「数兆ドル規模の世界の資産の指標となる米10年物国債利回りは0.08%上昇し4.09%となり、この1カ月で最大の上げ幅を記録した。ドイツの10年物国債利回りも0.06%高の2.75%となった。「日銀が12月の利上げを見据えたタカ派的なシグナルを発したことで、世界の債券市場では『バタフライ効果』が生じている」と、米マニュライフ・ジョン・ハンコック・インベストメンツの共同チーフ投資ストラテジスト、マット・ミスキン氏は述べた」

 

日銀利上げが、世界に債券市場を動かしている。ジャパンマネーが、日本での国債運用に転換するからだ。円債運用であれば、海外資金運用と異なり、為替ヘッジの必要がなくなり、その分が有利になる。

 

(3)「債券売りの動きはリスク資産にも及んだ。投資家が日米の国債のような安全資産でより高い利回りを得られる局面では、一般にリスク資産は売られやすい。ビットコインは5.5%急落し、この1カ月の下落率は20%を超えた。アナリストは、円などの低金利通貨で資金を調達し高金利通貨で運用する「キャリートレード」の巻き戻しも、リスク資産全般の売りを強めたとの見方を示す。暗号資産取引会社ウィンターミュートのジャスパー・デ・マーレ氏は「日本の低金利がキャリートレードを促してきたが、その取引がいま解消しつつあり、リスク資産が軒並み売られている」と語った」

 

日本の利上げは、暗号資産相場の下落を招いている。日本の低金利が是正されるので、円資金を使った暗号資産取引が縮小する結果だ。円キャリートレードの打切りは、日本経済に取って朗報である。

 

(4)「世界の債券安の背景には、日本の投資家が国内でより高利回りの債券を購入できるようになるため、資金を日本に還流させ、外国政府債への需要が低下するという見方がある。「日本の金利正常化が鮮明になるにつれて、日本の投資家が外債市場から資金を還流させる、あるいは外債購入を減らす可能性が高まる。各国が国債発行を増やす局面で、国際金融の主要な資金源を失いかねない」と、米ステート・ストリート・マーケッツのマクロ戦略責任者、マイケル・メトカーフ氏は指摘した」

 

日銀の利上げが、海外を浮遊していたジャパンマネーを日本へ還流させて円高になる。「親不孝息子」が、親孝行するために親元へ帰るようなものだ。ジャパンマネーは、日本国民が稼いだ貯蓄である。それが、国内で利用されずに海外へ出て円安をもたらしてきた。ようやく、その円資金が、帰るべき所へ落ち着く。日本経済、再スタートである。