中国政府は、レアアース(希土類)の主権を宣言して、製品に中国産レアアースが0.1%含まれていても、中国へ報告する義務があると高姿勢をみせている。実施は、来年11月へと延期したが、EU(欧州連合)は中国への不信感を強めている。EUのステファン・セジュルネ欧州委員会上級副委員長(繁栄・産業戦略担当)は、中国の動きを「恐喝」と称して加盟国に対策強化を強く求め行動計画を発表した。
在中国EU商工会議所は12月1日、会員企業の3割が中国以外からの調達増を検討しているとする調査結果を発表した。米中対立で中国政府がレアアースなどの輸出管理を強めており、供給網の脱中国依存を急ぐ欧州企業の実態が浮き彫りとなった。EU企業は、中国への信頼感が急速に低下していることを窺わせている。
『レコードチャイナ』(12月4日付)は、「中国へのレアアース依存低減へ、EUが行動計画を発表―独メディア」と題する記事を掲載した。
独国際放送局『ドイチェ・ヴェレ・中国語版サイト』(12月3日付)は、欧州連合(EU)が中国のレアアースへの依存を低減するための行動計画を策定したと報じた。
(1)「記事は、EUが3日に中国へのレアアース依存を解消するための新たな行動計画を発表したと紹介。その背景には、中国によるレアアース輸出規制の強化があり、中国が4月から特定の輸出に対して許可を義務付け、10月には新たな規制を発表したことを伝えた。また、EUのステファン・セジュルネ欧州委員会上級副委員長(繁栄・産業戦略担当)は、中国の動きを「恐喝」と称して加盟国に対策強化を強く求めたとし、新たな行動計画ではレアアースを含む重要原材料の共同購入をEU主導で促進すること、欧州内での生産とリサイクルを加速させるための措置を講じること、信頼できるパートナー国との連携を深め、サプライチェーンを多角化することが盛り込まれたと紹介している」
在中国EU商工会議所調査によると、中国によるレアアース規制などの輸出管理が実施されれば、62%が「重度」または「中程度」の混乱が生じると回答した。そのうち13%は生産停止や減産に追い込まれるとの懸念を示した。こうなると、企業にとっては死活問題になる。中国のレアアースを求めて進出したEU企業が、レアアースの規制を受けるとは、EUのステファン・セジュルネ欧州委員会上級副委員長でなくとも、「恐喝」と叫びたいであろう。信頼関係を頭から断ち切られた形だ。
(2)「さらに、EUが来週には日本の独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)をモデルとし、地域の重要資源供給ハブとしての役割を担う「欧州重要原材料センター」の設立も提案する予定だと伝えた。記事は、在中国EU商工会議所が今週月曜日に発表した調査によると、回答した会員企業の6割が、中国政府による制限措置の結果、サプライチェーンが混乱すると予測し、13%の企業が生産の中断や減速につながることを懸念していると紹介。欧州の鉱業ロビー団体「Euromines」の幹部が、「状況は極めて緊急性が高い。今はスピードが最も重要だ」と語ったことを伝えている」
EUは、日本の独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)をモデルとして、「欧州重要原材料センター」の設立を検討している。日本は、2012年に中国からレアアース輸出規制を受けた。この経験でその後、日本はレアアースの在庫を手厚くしている。中国が、今回の高市発言に抗議し中国人の訪日観光自粛令を出す一方、レアアース輸出禁止を躊躇している裏に、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構のレアアース在庫が大きな要因である。
今回のEUの動きは、日本の制度を明確に意識したものである。EUは、「信頼できるパートナー国との連携を深め、サプライチェーンを多角化することが盛り込まれている」。日本との連携を想定しているものであろう。


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