中国の地方政府は、不動産バブルによる地価上昇を満喫した。だが、現在の地価下落は逆に、地方政府の財政を圧迫事態となっている。それでも企業への補助金は、雇用維持目的で継続されており、そのしわ寄せが民間保育園へ向けられている。
『日本経済新聞 電子版』(12月4日付)は、「中国の幼稚園、無償教育が経営難に拍車 地方財政難で補助金出せず」
中国で民間幼稚園の経営難が深刻になってきた。中央政府は今秋から幼稚園の最終学年の教育費を無償にする制度を始めたものの、一部の園は現在も補助金を受け取れずにいる。地方政府の財政難が主な理由で、少子化に加わる新たなリスクが幼稚園の厳しい運営に拍車をかける。
(1)「中国メディアによると四川省成都市のある民間幼稚園は10月、「今学期分の補助金は次の学期に支給する」と、地元当局から無償教育に関する補助が遅れるとの通知を受けた。9月に始まった今学期中に補助金が届く見込みはなく、当面は手元資金でのやりくりを迫られる。中国政府は今秋から公立幼稚園や政府が認可する民間幼稚園の最終学年を対象に教育費を減免する制度を始めた。子育て世帯の負担を軽減して少子化に歯止めをかけるためで、費用は中央政府と地方政府による補助でまかなう」
中国は、今秋から公立幼稚園や政府が認可する民間幼稚園の最終学年を対象に教育費を減免する制度を始めた。だが、最初から資金が足りず躓いた。
(2)「現時点で、多くの幼稚園に補助金が行き渡っていない。中国メディアの『財新』が紹介した奕陽教育研究院の調査によると、全国300市のうち2割超の自治体が補助金を出しておらず、一部地区への支給にとどまる市も4割に上る。補助金がなく苦境に陥る幼稚園は経済規模が比較的大きい江蘇省や山東省にもある。補助を受けるための中央政府への申請手続きが煩雑で、審査が停滞している問題がある。地方政府が公立幼稚園への補助を優先して民間を後回しにしているとの見方もあるが、補助金の拠出に向けた最大の重荷となっているのが地方の深刻な財政難だ」
全国300市のうち2割超の自治体が、補助金制度を採用できないほど財政がひっ迫している。一部地区への支給にとどまる市も4割に上る。中国では、中央政府が税収を集め、行政は地方政府に任せている。財源の足りない地方政府は、てんてこ舞いさせられている。
(3)「地方政府は、不動産開発会社に土地使用権を売って収入としてきたが、新たな住宅建設は不動産不況で低迷する。土地使用権の売却収入はピークの21年から6割減った。傘下の投資会社の融資平台が抱える「隠れ債務」がデフォルト(債務不履行)する懸念も高まっている。市によっては幼稚園が保護者に学費の先払いを要求するのを禁じる。園は保護者からお金を集めることもできず、運営コストを切り詰めたり職員らの給与を減らしたりして当面の運転資金の確保にあたっている」
補助金ストップで、職員らの給与が減らされている。幼稚園だけでなく、他の分野でも補助金支給が遅れているであろう。
(4)「中国では、少子化が急速に進み子どもが減った結果、幼稚園の経営状況が悪化して閉園に追い込まれる例が相次ぐ。教育省によると幼稚園数は24年に25万3300カ所と、3年連続で前年を下回った。なかでも民間幼稚園は24年だけで1万4000カ所減った。資金不足の状況が続けば閉園が急増しかねない。奕陽教育研究院の調査では、補助を受けていない幼稚園の37%が「3カ月しか持ちこたえられず、閉園リスクがある」と回答した。経営維持の期間を「半年から1年」と答えた園も33%に上った。
補助金を支給されていない幼稚園の33%が、経営維持の期間を「半年から1年」とみている。地価上昇はあり得ず、いずれこれら幼稚園は閉園の危機に直面する。
(5)「閉園が増えると、近隣の園に子どもを通わせられなくなり、通学の手間など親の負担が大きくなる。学費を上げる園が続出すれば養育費の高さを理由に出産をためらう人が増えるおそれもある。幼稚園は園で働く人を解雇せざるをえず、雇用面での影響も大きい」
幼稚園の閉園は、その波及が多方面へ及ぶ。出産忌避や職員の解雇など不可避である。中国経済は、ガタガタである。


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