中国政府は、不動産開発企業の主要100社販売統計公表を中止させた模様だ。販売不振ぶりが覆いがたくなっており、国民の不安を煽る懸念であろう。「臭いものに蓋をする」方式だ。最大の問題は、習近平・国家主席が不動産不況への関心が極めて低い点にある。「新質生産力」と称する先端産業の育成をすれば、中国経済は回復可能と楽観視しているからだ。
事態は、一段の地価の下落によって経済全体を麻痺へ向わせている。地価下落が、地方政府の土地売却収入を下落させ歳入減に陥っているからだ。不動産不況が、地方政府の行政を麻痺させつつあり、中国の社会不安へと飛び火する最悪事態を想定するほかなくなってきた。
『日本経済新聞』(12月5日付)は、「碧桂園、清算回避の正念場 2兆円債務再編案を株主承認 中国不動産、再び不況懸念」と題する記事を掲載した。
経営不振に陥った中国不動産大手、碧桂園控股(カントリー・ガーデン・ホールディングス)が法的整理(清算)を回避できるか正念場を迎えている。株主から債務再編案の承認を得たが、不動産不況が深刻化しており、先行きは楽観できない。同業大手の万科企業も社債の償還期限が迫る。
(1)「碧桂園は3日夜、同日の臨時株主総会で約130億ドル(約2兆円)の新株予約権付社債(転換社債=CB)の発行案が承認されたと発表した。これを柱とした140億ドルあまりの海外債務の再編案を4日に香港の裁判所に提出すると公表していた。碧桂園は2022年に中国の不動産販売の契約額で首位だったが、不動産不況の影響で資金繰り難に陥った。米ドル債の利払い不履行に伴い、23年には国際金融団体からデフォルト(債務不履行)の認定を受けた。債権者からは法的整理を申し立てられている。26年1月5日には裁判所で審理が開かれる。申し立ては取り下げられておらず、法的整理の命令を受ける懸念は消えていない」
碧桂園は、マンションと学校をセットにして売上を急増させてきた。学校は、中国の一流大学進学への道を開くもので、これが受験熱とマッチして爆発的なマンション販売に繋がった。だが、政府がこういう販売方法は邪悪として禁止したので、碧桂園の経営基盤がヒビ割れして凋落した。
(2)「碧桂園の負債総額は、25年6月末時点で8854億元(約19兆5000億円)にのぼる。この2年半で4割弱減らしたが、なお巨額だ。デフォルトの総額も1861億元に達する。1~6月期の連結最終損益は190億元の赤字(前年同期は128億元の赤字)だった」
碧桂園の負債総額が、この6月で20兆円弱とは想像もできない規模だ。よくぞ、ここまで負債を膨らませたものと驚かされる。
(3)「肝心の不動産市況については再び深刻化の懸念が浮上している。市場は、調査会社の克而瑞研究センターが毎月、月末にまとめる不動産大手100社の月次販売額の動向を注視する。10月は前年同月比41.9%減と1年半ぶりの下落率を記録した。さらなる悪化が懸念された11月分については月末になっても発表されることなく、業界は騒然となった。米ブルームバーグ通信は関係者の話として「政府が公表しないよう指示した」と伝えており、悲観論が台頭している。新興の恒大、碧桂園と異なり「名門」として高いブランド力を保持してきた万科もデフォルトの瀬戸際に追い込まれている」
政府は、毎月、月末にまとめる不動産大手100社の月次販売額データの11月分発表を中止させたと報じられている。「臭いものに蓋をする」が、中国政府のやり方だから、「さもありなん」というところだ。これが、どれだけ不安感を煽るか、「二次被害」が懸念される。
(4)「不動産は、関連産業も含めれば中国の国内総生産(GDP)の3割を占めるとされる。住宅価格の低下で消費意欲が減退する「逆資産効果」の影響も大きい。大手企業の危機で消費者心理がさらに冷え込み、市況回復が遠のくリスクが高まる。英バークレイズは大都市を含めて不動産不況が悪化していると指摘。「中国のマクロ経済や労働市場、デフレの負の連鎖がさらに強化されかねない」とみている」
中国は、土地への執着が極めて強い社会である。農本社会であった影響だ。この残滓によって、不動産不況が中国経済を虫食い状態へ追い込んでいる。これが、中国のマクロ経済や労働市場、デフレの負の連鎖がさらに強めて「底なし」状態へ追い込む危険性が極めて強いのだ。


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