日中関係は、「厳冬期」に入ったとの指摘が出てきた。12月6日には、中国軍機が航空自衛隊機にレーダー照射するなど緊張がエスカレートしているからだ。対立の長期化は、不可避とみられる。高市首相の在任中は、日中首脳会談が開かれる可能性がなく、外交だけでなく経済や文化交流面でも関係が「凍結」状態に入ったとみられる。日本は、冷静に対応することだ。
『レコードチャイナ』(12月9日付)は、「危機のサイクルが日中関係のニューノーマルと覚悟せよ、強硬姿勢背景には『超大国の弱国心理』」と題する記事を掲載した。筆者は、渡辺陽介氏である。元共同通信社中国総局長歴任。
現状のような危機を繰り返すのが、日中関係の「新常態(ニューノーマル)」ということを肝に銘じる必要がある。日本側には、いたずらにパニックに陥らずに冷静さを保ち、言葉やその他の挑発に乗る愚は避け、可能な限り正常な経済関係と民間交流を維持する「戦略的忍耐」と言うべき努力が求められている。
(1)「中国との関係で、同様の苦境に追い込まれた国は日本だけではない、という点を思い起こすべきだ。高市発言に対する中国側の反応は、近年、外国と対立した場合に中国が取る行動パターンにきれいに沿っているからだ。米国は除いて、いわゆる「ミドルパワー」と呼ばれるカナダやオーストラリアなども対中関係において苦汁をなめてきた。カナダは18年に中国通信機器大手幹部を拘束後、首相が交代するまで8年間、公式首脳会談を開けなかった。農産物輸出や中国人旅行者のカナダ観光も規制された」
カナダは、中国と8年間にわたり公式首脳会談を開けなかった。農産物輸出や中国人旅行者のカナダ観光も規制された。中国は、感情的に悪化すると、こういう事態を引き起する国である。
(2)「近年、中国からの圧力に最も悩んだ国の一つとして、オーストラリアがある。発端は、世界的に甚大な被害をもたらした新型コロナウイルスの発生源や感染拡大の経緯をめぐり、20年4月に当時のモリソン首相が「独立した調査が必要だ」と述べたことだ。中国は「政治攻撃だ」と猛反発し、オーストラリア産の食肉の輸入を停止、大麦への高関税、同国への留学への慎重な判断を呼びかけるなど矢継ぎ早に報復措置を打ち出した」
豪州も、中国との関係に悩んだ国である。今は、筋金入りの「反中姿勢」へ転じている。中国による不当な扱いが、豪州を反中姿勢へ転じさせた。
(3)「中国は、オーストラリアにとって最大の貿易相手国で、19年には大麦だけでも6億豪ドル(約600億円)を対中輸出していた。経済的にも大変な痛手だが、モリソン首相は「脅しには屈しない。強要されて価値観を売り払うことはしない」と突っぱねた。両国関係が改善の兆しを見せたのは、カナダと同様、22年に首相が交代、アルバニージー政権が誕生してからだ。首相は23年11月、7年ぶりに訪中し関係改善を確認した」
中国は、豪州とも7年間対立した。この結果、豪州は軍事同盟の「AUKUS」(米英豪)を結成して、中国へ対抗する姿勢へ転じている。
(4)「オーストラリアの例で注目されるのは新型コロナウイルスの「独立調査」要求という第3者的には至極まっとうに見える発言さえも、中豪関係を揺るがす大津波に発展したことだ。そして経済だけでなく、観光、教育、メディアなどあらゆる分野で対オーストラリア攻撃が展開された。カナダやオーストラリアの例をみれば、高市発言による対立を単に日中の2国間問題としてとらえるのは単純すぎることが分かる。日本だけでなく諸外国も、最大級の貿易相手である中国を重視する一方、中国と対立した際に、その経済関係、交流関係そのものが「武器化」される、という矛盾を抱えている。今回の日中対立は、独自の統治体制を持つ中国共産党と自由民主主義諸国群がどう関わっていくか、という視点が欠かせない」
カナダや豪州が、経験した中国との長期対立は、日本にも多くの点で示唆を与えている。経済関係や交流関係そのものが、中国によって「武器化」されることだ。中国は、関係がこじれれば何をするか分らない不気味さを持っている。最大の「防衛策」は、中国と関係を持たないことだ。
(5)「中国を代表する国際協調派の論客で、16年に死去した元外交官の呉建民氏の説明が腑に落ちる。同氏は中国の対外政策の背後にある心理を19世紀のアヘン戦争以来の「屈辱の歴史」による「弱国心理」と分析していた。生前、中国メディアに対し中国人は「自信がなく、己を客観視できず、批判されると『反中国』と決め付ける」「他国と平等に接することができず、不必要に対立を激化させる」などと説明した。平和的発展を中国が守るべき王道と訴えた氏は、「中国にとって最大の課題は中国人自身」が持論だった」
元外交官の呉建民氏は、中国人特有の「弱国心理」を指摘していた。中国人は、自信がなく、己を客観視できず、批判されると相手を「反中国」と決め付けるのだ。中国にとって最大の課題は、中国人自身が自国を客観視することができないことだという。今回の日中対立は、日本へ中国の本質をみせつけている。じっくりと観察する良い機会だ。


コメント
「弱い犬ほどよく吠える」とも言いますが、中国の現状そのもので成金根性丸出しです。
悪ガキの「コケ威し」モドキに対しては、「触らぬ神に祟り無し」で、右往左往しないことが最善です。
ただし、幾つもの前例を踏まえ、嘘に対しては徹底的に反論して世界中に知っておいてもらう必要があると思います。
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