サムスンは、半導体市況回復が業績回復のテコになった。8日発表の25年12月期の全社売上高は前の期比11%増。過去最高を記録した22年12月期を上回った。久しぶりに「サムスンが帰ってきた」という安堵感がみられる。今年、2ナノ最先端半導体は米国で生産開始予定だが、歩留まり率は30~40%とされている。正常歩留まり率の70%を大きく下回る。これが、26年業績の足を引っ張ることになりそうだ。
『日本経済新聞』(1月9日付)は、「好調サムスンに残る宿題 半導体、受託生産は苦戦 シェア低下、TSMCと差 立て直しへ対米投資」と題する記事を掲載した。
サムスン電子の業績が好調だ。メモリー半導体の価格上昇が寄与し、2025年12月期の売上高は過去最高を更新した。ただ人工知能(AI)ブームで注目される演算用ロジック半導体のファウンドリー(受託生産)事業は伸び悩む。北米への投資などに注力し、巻き返しを図る。
(1)「8日発表の25年12月期の全社売上高は前の期比11%増の332兆7700ウォン(約36兆円)だった。過去最高を記録した22年12月期(302兆ウォン)を上回った。営業利益も33%増の43兆5300億ウォンとなり、2期連続で増収増益だった。発表を受けてサムスンの株価は上昇し、一時は前日比2.5%高になった。「サムスンがようやく戻ってきた」。同社の幹部は胸をなで下ろす。好決算をけん引したのが半導体事業だ。23年12月期に同部門は過去最大の営業損失を計上し、25年上半期まで業績が伸び悩んだからだ」
半導体市況が、昨年後半から回復したので、業績回復に大きく貢献した。
(2)「潮目が大きく変わったのは25年10~12月期決算だ。世界的にサーバーの交換時期の到来や新規投資が相次いだ。主力の短期記憶用半導体メモリー、DRAMや、供給過剰が続いていた長期記憶用のNANDも値上がりするなど、市場好転の恩恵を受けた。ただ、こうした状況にサムスンは満足せず、市況の影響を受けにくいロジック半導体の受託生産事業に注力する姿勢を崩していない。長期契約を締結でき、安定収益が見込めるからだ。メモリー半導体よりも市場規模が大きいこともある」
業績を安定的に向上させるには,TSMCのようにロジック半導体の受託生産事業を軌道に乗せることだ。問題は、歩留まり率が極めて低い点である。技術的に未熟である証明だ。
(3)「ロジック半導体の受託生産事業は不振が続いている。香港の調査会社カウンターポイントによると、25年7~9月期のシェアは台湾積体電路製造(TSMC)が72%と1年で6ポイント増加した一方、サムスンは7%と2ポイント縮小した。同社は05年に受託生産事業に参入したが、技術水準などから顧客層の拡大は道半ばだ。複数の韓国の証券会社によると、受託生産事業について少なくとも26年12月期までは営業赤字が続くと予測する」
ロジック半導体の受託生産事業の世界シェアは、TSMCが72%であるのに対し、サムスンは7%と10分の1レベルである。技術の差によるものだ。サムスンは、30年までに世界の受託生産市場で1位を達成するとの目標を立てていた。あれから6年が経っているのだ。
(4)「サムスンも手をこまぬいているわけではない。「技術不足はあるものの、受託生産事業は本格的な跳躍の時期に入った」。26年の年頭所感で全永鉉(ジョン・ヨンヒョン)最高経営責任者(CEO)はこう抱負を語った。今後は、スマートフォンやパソコン向けのロジック半導体の受託生産よりも、成長性の高い自動運転やAIデータセンター向けを優先する。成長のカギとなるのが同社にとって海外で最大規模となる対米投資だ。25年7月にはテスラとの間でロジック半導体の納入契約を交わした。今後8年で22兆7647億ウォン分を供給する」
かつて、メモリー半導体で高利益が出たのでこれに安住した結果、ロジック半導体への研究を疎かにした報いである。
(5)「量産体制も整える。サムスンは米テキサス州テイラーで約370億ドル(約5兆7000億円)を投じ、最先端のロジック半導体の生産拠点を建設中だ。26年にも稼働できる見通し。最先端の回路線幅2ナノ(ナノは10億分の1)メートルを量産し、テスラなどのビッグテック企業に供給するとみられる」
この2ナノが難物である。一時は、米国での生産を諦めかけたこともあるほど、技術の壁が厚かった。現状は、少し前進している程度とされる。まだ、歩留まり率が正常時の70%を大きく下回り、30~40%とされている。当然、赤字である。


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