ベネズエラ政府が、米軍によるニコラス・マドゥロ大統領夫妻の逮捕作戦を事前に探知・対応できなかったことに関連し、中国政府に火の粉が降りかかった。ベネズエラに配備された中国製レーダーが決定的な瞬間にその役割を果たせなかったことで、中国の内外で中国製武器の実効性に対する疑問が提起されているからだ。中国は今回、米国の軍事力をみせつけられ、台湾問題で「しばらくおとなしくならざるを得ないのではないか」とする識者(中国出身・東京財団主席研究員柯隆氏)の見方も出てきた。
『中央日報』(1月9日付)は、「米国に突破された『ベネズエラ防空網』は中国製…技術流出の危機に中国『騒然』」と題する記事を掲載した。
7日(現地時間)、米時事週刊誌ニューズウィークは「3日の米軍によるマドゥロ逮捕作戦は、ベネズエラに販売された中国製レーダーが決定的な時点で早期警報に失敗した可能性があるという推測を呼んだ」とし、「中国の評判に打撃を与えかねない事件だ」と報じた。
(1)「これまで親中姿勢を見せてきたベネズエラは、ロシア製のS-300VM、ブークM2、パンツィリ-S1などで多層防空体系を運用しているが、これを補完するために中国製の長距離対ステルス監視レーダー「JY-27A」を配備してきた。中国は、このレーダーが米軍のF-22やF-35などの第5世代ステルス戦闘機を数百キロの距離から探知できると自慢してきた」
ベネズエラは、防空網をロシア製と中国製に依存してきた。特に、中国レーダーは数百キロの距離から探知できると豪語してきた。結果は、まんまと米空軍150機の侵入を許した。
(2)「米国は今回の作戦に、F-22ラプターとF-35ライトニングII、F/A-18スーパーホーネット、そして「死の白鳥」と呼ばれるB-1Bランサーなど、150機を超える戦闘機や爆撃機、偵察機を投入した。ところが外信報道によると、これらがベネズエラの首都カラカス上空を飛び回っている間、ベネズエラ軍の対応はほとんど目撃されなかった。迎撃どころか、ロシアの防空体系も中国のレーダーも、事前探知すらできなかったのだ。ニューズウィークは「JY-27Aをはじめとする中国製防空資産の実効性に疑問が提起されている理由だ」と分析した」
米軍機が、カラカス上空を飛行している間、目立った対空砲火を受けなかった。無抵抗であったのは、防空網を先制攻撃された結果であろう。レーダー機能が、全く働かなかったのだ。
(3)「ただ、『ニューヨーク・タイムズ』(NYT)が、ピート・ヘグセス米国防長官、ダン・ケイン米統合参謀本部議長ら軍関係者にインタビューした内容によると、マドゥロ大統領夫妻の逮捕作戦当時、デルタフォース(米特殊部隊員)が乗ったヘリが攻撃を受け、作戦の成否が危ぶまれる瞬間もあった。マドゥロ大統領の潜伏先に接近していた米軍のMH-47チヌークヘリ1機が攻撃を受けたのだ。これは、ロシアや中国の防空資産が完全に無用の長物ではなかったことを意味する。しかし、致命傷ではなかった。攻撃は受けたものの飛行は可能な状態だったこのヘリは、かろうじて空中に留まり安全に着陸し、デルタフォースの隊員たちもヘリから無事に降り、マドゥロ大統領夫妻の逮捕に成功した」
米軍のMH-47チヌークヘリ1機は、攻撃を受けたものの軽微で作戦計画を難なく遂行した。
(4)「中国は、努めて冷静さを保とうとしている様子だ。中国製の防空資産ではなく、ベネズエラ内部の分裂や武器の維持・補修の不備の問題だというのだ。中国現代国際関係研究院(CICIR)反テロ研究センター所長の李偉氏は、「ベネズエラの軍事力が米国に比べて著しく弱いために可能だった作戦だ」とし、「そのような作戦が世界中どこでも通じるわけではない」と中国製武器に関連する疑問を一蹴した。清華大学国家戦略研究院の謝茂松首席研究員もまた「中国は米国と軍事・防衛能力において極端な格差がある状態ではなく、首都と指導者の保護能力は世界最高水準だ」と強調した」
中国は、今回の一件で大きな衝撃を受けているという。だが、取り繕って冷静さを維持し、ベネズエラ側に責任を転嫁している。
(5)「内部には緊張感が漂っている。香港メディアの『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』(SCMP)は、「今回の作戦を機に、中国内部で警戒心が高まっている」と伝えた。インドのシンクタンク、タクシャシラ研究所のアヌシュカ・サクセナ氏は、「マドゥロ氏の逮捕後、中国内部ではベネズエラに配備された中国製武器に関する話はあえてしない雰囲気だ」とし、「中国政府が自国製品の品質について懸念していることを示唆する部分だ」と指摘した」
香港メディアによれば、中国内部で警戒心が高まっている。この一件については、話題にすることを避けているほどという。衝撃の深さを物語っている。これでは、台湾侵攻は困難であろう。敵機の大陸侵入を許し、台湾からのミサイル攻撃を防げないからだ。
(6)「これからも問題だ。ドナルド・トランプ米大統領が「ベネズエラの資源とインフラを米国が直接統制する」と明言したため、ベネズエラにある武器を通じて中国の機密技術などが露出する危機に直面したためだ。特に、ベネズエラにある中国の衛星追跡施設は、海外から衛星を運用・制御するために活用してきた場所であり、中国が戦略的な安保資産を喪失しかねないという懸念が出ている」
中国は、ベネズエラに置いている軍事施設が米国側に渡れば、軍事的実力が暴露されるリスクが高まる。中国が、米国へ強硬姿勢を取らない理由は、軍事秘密維持という切羽詰まった事情を抱えている結果であろう。


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