日中間ではかつて、「一衣帯水」という美辞麗句が踊った時もあったが、それを期待することはもはやできない事態へと暗転している。中国経済が、不動産バブル崩壊後遺症に苦しみ、日本以上の急激な少子高齢化の大波に飲み込まれて、財政は急激な悪化に見舞われているからだ。経済実態は、「のたうち回る」ほどの苦境にある。巧妙に実態を隠し、ポーカーフェイスを装っているが、実態は財政が「火の車」である。こうした中で、国民の不満を外へ向けさせるには、「日本非難」が最適なのだ。日本は、中国の威圧に対して、「敬して遠ざける」という大人の対応求められている。
『ブルームバーグ』(1月9日付)は、「脱中国、冷静な日本こそ進めるべきだ」とする記事を掲載した。
日本政府はこの2カ月間、中国の激しい反発に直面しながらも称賛に値する自制を示してきた。中国が日本を訪れる中国人観光客を40%減らすシグナルを出した際、高市早苗首相は反論することもできたはずだ。2024年に合意された中国人旅行者向けのビザ(査証)要件緩和は日本国内で不評で、それを撤回する選択肢もあった。しかし、高市氏はそうしなかった。中国人民解放軍機が自衛隊機にレーダーを照射した際も、報復はせず、23年に設置されたホットラインを通じて協議を試みた。だが中国側は応答すらしなかった。
(1)「レアアース(希土類)を含む可能性があるデュアルユース(軍民両用)品への輸出規制実施を受け、日本も同様の対応を取るべきだと言いたくなるのも無理はない。中国が日本に求めているのは、高市氏が昨年11月に行った台湾有事を巡る国会答弁の撤回だ。貿易相手として日本はそれほど大きな存在ではないかもしれないが、選択肢を持たないわけではない。半導体の投入財や装置に対し、同等の制限を課すこともできる」
日本は、ここで中国と「喧嘩」しても意味はない。柳に風で行くしかない。それが、日本の国際的評価を上げるからだ。他国は,日本の反応をじっとみている。日本は黙って、次の対策を練った方が生産的である。
(2)「だが、感情的になる必要はない。高市氏は、15年以上にわたって日本が歩んできた道を引き続き進むべきだ。冷静さを保ちつつ、中国への依存を減らし続けることだ。2010年に海上保安庁の巡視船に衝突した中国漁船の船長が拘束された後、中国は同じようなレアアース輸出規制を導入した。大きな衝撃を受けた日本は当時9割ほどだったレアアース輸入の中国依存度を、現在では約6割にまで引き下げる取り組みを進めた。それでもなお高水準だが、中国がもっと協調的だった時期に積み上げた相当量の備蓄がある他、今はマレーシアで加工されたオーストラリア産の鉱物も輸入している」
レアアースは、南鳥島のレアアースの商業生産を前に着々と準備が進められ,28年商業生産の見込みだ。そうなれば、日中のレアアースにおける立場は逆転する。中国が、レアアース覇権を握ったと錯覚できる期間はあとわずかである。
(3)「日本が、長年にわたりリスク低減を図ってきたのは、これだけではない。中国各地で05年以降に反日暴動が起きたことを契機に、製造拠点としての対中依存を減らそうとしてきた。中国だけに頼らない「チャイナプラスワン」戦略を打ち出し、日本企業に東南アジアへの拠点分散と工場建設を促したが、浸透には時間を要した。新型コロナ大流行時の半導体不足はとりわけ自動車産業に打撃を与え、半導体製造能力を国内再建する野心的な取り組みとして、ラピダスを生み出すきっかけとなった」
中国の威圧は、これまで何回か行われてきた。韓国の反日騒ぎと同じタイプである。日本には、相当に免疫性ができているはずだ。
(4)「日本はまた、対中依存をこれ以上深めないよう意識的に行動している。環境保護派の反発を招くリスクを承知の上で、高市政権が太陽光発電容量の追加拡大に慎重な理由の一つも、中国が握る支配力だ。「美しい国土を外国製の太陽光パネルで埋め尽くす」ことを避けるためと昨年述べた高市氏は、国内資源を使える技術であるペロブスカイト太陽電池の開発を呼びかけており、その商業化を目指している。日本が電気自動車(EV)への全面移行に慎重なのも、同様の懸念が背景だ。中国はバッテリー技術で優位な立場にあり、新たに圧力を加えることもあり得る」
中国が、日本と対立してメリットにあることは一つもない。逆に、日本が対中依存関係を減らす方向へ動いている。
5)「今回の対立は、日本には考えを改めるべきことがまだ多く残っていることをはっきりさせた。まずは、貿易や経済の相互依存を武器化する中国の傾向がいずれ終わると期待するのをやめるべきだ。20年以上にわたる経験を経た今、これらが中国の戦力投射の特徴であり、一過性ではないことは明白だ。そうではないと期待するのは、中国が豊かになれば必然的に西側の民主主義へ移行するという前世紀の見方と同じくらい甘い考えだろう」
中国は、自意識が極めて強い国家である。もっとハッキリ言えば、自信過剰な国で「中華」がそれを表わしている。だが、制度的には秦の始皇帝時代と変らない中央集権国家だ。現代とは相容れない国家スタイルゆえに大きな矛盾を抱えている。その矛盾が、中国を蝕んでいるのだ。具体的には、財政悪化が致命傷になる。実質的に、どれだけの財政赤字があるのかその金額さえ不明という、近代国家としてありえない事態だ。これが、中国再起の障害になるのは確実である。時間の経過とともに「朽ち果てる」のだ。


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