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中国経済は、「張り子の虎」ならない「張り子の龍」という見方が提示されている。それは、中国に独自技術がないことだ。中国は、ハイテク製品を生産しているが、その基本技術はほとんど米国生まれである。要するに、米国技術の下請けに過ぎないのだ。中国は、こうした事情にもかかわらず「世界の大国」として振る舞っている。米国トランプ大統領が最近、中国無視のベネズエラ大統領拘束など、大胆な戦術を取っている裏には、中国の弱みを見抜いているのかも知れない。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(1月15日付)は、「中国は巨人ではない:その経済力を読み解く」と題する記事を掲載した。

 

(1)「長年にわたり、中国をめぐる地政学的な議論は極端な見方の間で揺れ動いてきた。中国は西側諸国を追い越す運命にある「12フィート(約3.7メートル)の巨人」のような経済大国か、それとも崩壊寸前の「張り子の竜」かのどちらかだと。オックスフォード大学出版局から出版された「Command of Commerce: Americas Enduring Economic Advantage over China」の中で、スティーブン・ブルックス氏とベン・ベーゲル氏の研究で最も重要な発見は、世界市場における力の非対称性だ。従来のGDPや貿易統計は、製品が最終的にどこで組み立てられたかを測定するが、誰が設計図を所有し、価値を手にしているかを考慮していない」

 

中国は、米国企業のIT製品を生産しているが、すべて米国企業の「設計図」(特許)に従っている。中国は、厳密に言えば米企業の下請けである。これを逆転させて「工業大国」を宣伝して舞い上がっている。

 

(2)「iPhone(アイフォーン)を例に取ろう。確かに、中国で組み立てられ、箱詰めされている。しかし、これは米国製品であり、カリフォルニア州クパチーノで設計され、米国企業の利益を生み出している。ダートマス大学の政治学教授であるブルックス氏とスタンフォード大学の政治学博士号候補者であるベーゲル氏の調査によると、米国企業は世界のハイテク関連利益の55%を生み出しているのに対し、中国企業はわずか6%にとどまっている」

 

米国企業は、世界のハイテク関連利益の55%を生み出している。中国企業は、わずか6%に過ぎないという。圧倒的な格差である。

 

(3)「最近では、複雑なものが一つの国で作られることはない。ASMLの極端紫外線(EUV)リソグラフィー装置を見てみよう。これらは半導体チップ製造の「エベレスト」だ。中国はこの装置を欲しがっているが、同社はオランダ企業であるにもかかわらず、部品のわずか15%しか実際にはオランダで製造されていない。残りの85%は主に米国とその同盟国から来ている。中国は大量の中間投入物を輸入し、何かを加工して送り出しているが、西側諸国の技術なしに効率的かつ競争力のある方法で製造できるものはほとんどないと、ブルックス氏とベーゲル氏は述べている」

 

最先端半導体製造に不可欠なオランダASMLの極端紫外線(EUV)は、オランダ企業であるにもかかわらず、部品のわずか15%しかオランダで製造されていない。残りの85%は、主に米国とその同盟国から来ている。EUVの基本特許が米国にある。

 

(4)「彼らは著書で、中国経済の規模そのものに疑問を呈し、公式GDPは約3分の1過大評価されているとも述べている。この過大評価の主な要因として、政治的インセンティブと過剰投資の二つを挙げている。地方の省レベルの指導者らは昇進を確保するためにしばしばデータを操作し、中央政府は何十年にもわたって、成長率を押し上げるが大きな収益を生み出さない大規模で不必要な投資を行ってきた。両氏は、夜間の光の集中度を測定するために衛星画像を利用した。この分析に基づいて、中国のGDPは公式統計が示唆する米国の3分の2ではなく、おそらく米国の約半分の規模であると両氏は結論付けている」

 

中国経済は、3分の1が過大評価(水増し)されている。地方政府の嘘データと、中央政府の過剰投資が生んだ結果である。客観的データとして、夜間の光の集中度を測定するために衛星画像を分析すれば、中国GDPが水増しされている、としている。

 

(5)「米国の政策立案者にとって最も重要なポイントは、台湾をめぐる潜在的な紛争における経済的武器の使用に関するものだろう。この研究は、多国間協力に依存する明確な「痛み比率」を明らかにしている。米国が一方的に中国との貿易を遮断した場合、分析によると、米国は中国に与える痛みの約70%に相当する負担を被る。しかし、米国が同盟国と共に行動すれば、その比率は劇的に変化し、中国は米国の5倍から7倍の痛手を受ける。米国主導の海上封鎖が全ての海上貿易を遮断した場合、中国は米国の最大11倍の打撃を受ける可能性があると両氏は述べている」

 

米国が、台湾有事の際に同盟国と一緒に中国を海上封鎖すれば、中国は米国の5倍から7倍の痛手を受ける。米国主導の海上封鎖が、全ての海上貿易を遮断した場合、中国は米国の最大11倍の打撃を受けるという。中国が、高市首相の「台湾有事発言」に神経質になっているのは、日本が海上封鎖に参加することを最も恐れているからだ。