テイカカズラ
   


中国は、日本への威圧は度を過ぎたものだが、米国のベネズエラ急襲では形ばかりの抗議に止まった。中国は、高市発言とベネズエラ急襲に対して明らかに差を付けている。米国へ抗議すると、「トランプ逆襲」に遭うことを懸念しているのだ。やはり、米国の軍事力には脅威を感じているのであろう。ベネズエラの中国製防空網が、簡単に破られたことは、台湾侵攻で米軍の反撃力の大きさを予感させているに違いない。

 

『時事通信オンライン』(1月14日付)は、「ベネズエラ攻撃、習政権に大打撃◇メンツつぶれ、『台湾』でも懸念」と題する記事を掲載した。

 

米軍のベネズエラ攻撃は、同国のマドゥロ政権の後ろ盾となっていた中国のメンツをつぶし、習近平政権にとって大きな打撃となった。また、トランプ政権が中国の立場に全く配慮せず、堂々と武力を行使したことは、台湾有事に米国が介入する事態を恐れる中国側の懸念を増したとみられる。

 

(1)「マドゥロ大統領は1月2日、首都カラカスを訪れた中国政府の邱小琪中南米事務特別代表と会談した。その数時間後の3日未明、カラカスは米軍に急襲され、習近平国家主席の盟友であるマドゥロ氏は米国に連れ去られた。米国が、このタイミングでベネズエラに侵攻し、マドゥロ氏を拘束しようとしていたことを中国が全く察知できなかったのは明らかだった。中国とベネズエラは2023年の首脳会談を機に、「筋金入りの友情」を結んだとして、共同声明で「全天候型の戦略的パートナーシップ」の樹立を宣言し、「いかなる政治的いじめ行為にも反対し、軍事的干渉もしくは武力による威嚇に反対する」と強調。中国は政治、軍事、経済の各分野でベネズエラを大々的に支援した」

 

中国とベネズエラは、「全天候型の戦略的パートナーシップ」関係にある。その中国は、米軍の急襲も予知できずに大恥をかく結果となった。

 

(2)「昨年も、国家副主席と副大統領、首脳同士、外相同士が会談し、12月には外相電話会談で王毅外相が「中国側はあらゆる一方的いじめ行為に反対し、各国が自身の主権と民族の尊厳を守るのを支持する」とアピールしていた。しかし、実際には、中国は米軍のベネズエラ攻撃を止められず、マドゥロ氏に避難を勧告することすらできなかった。米軍は150機以上の航空機でカラカスを空爆したのに、ベネズエラ軍が中国から導入した防空用レーダーは役に立たなかったという説も広まった。ベネズエラ軍が米軍機を迎撃できなかったのは事実で、中国の対外軍事援助の有効性を疑う見方が増えるのは避けられないだろう」

 

中国軍と米軍では、戦闘能力に大きな差が生まれている。中国は、そういう格差を隠して勢力圏を広げてきた。今回のような「大失敗」は、中国陣営へ巻き込んだ諸国へ、不安の種を蒔いたことは否定できないであろう。

 

(3)「台湾有事への米軍事介入を恐れる中国にとって、第2次トランプ政権が相次いで外国に軍事介入して、武力行使のハードルが下がっているのは、憂慮すべき事態だ。しかも、介入対象がベネズエラのように中国と関係が深い国であっても、中国への配慮や遠慮は全くなかった。中国共産党機関紙・人民日報は1月8日、「米国の覇権と干渉主義が世界の動揺・衝突の重大な根源だ」と題する論評を掲載。第2次トランプ政権が1年未満の間にベネズエラ、イエメン、シリア、イラン、イラク、ソマリア、ナイジェリアの7カ国を攻撃したと批判した」

 

トランプ政権は、空爆によって反撃拠点へ打撃を与えてきた。「一点攻撃」で、米国の意図を知らしめるという戦術だ。陸上部隊を派遣する、本格的な攻撃ではない。

 

(4)「トランプ大統領が、「ドンロー主義」とかいう理屈に基づいて、西半球支配に集中し、それ以外の地域に強い関心を持たなくなれば、中国の台湾政策や東半球での影響力拡大には都合が良い。だが、人民日報が攻撃被害国として挙げた7カ国のうち、ベネズエラ以外の6カ国は西半球の国ではない。また、トランプ政権は昨年12月17日、台湾向けに総額111億ドル(約1兆7500億円)相当の武器を売却すると発表した。米台間の武器取引としては史上最大級の規模であり、米国の台湾問題に対する関心が薄れたとは、とても言えない状況だ」

 

ドンロー主義は、中国への警告であろう。西半球まで「出しゃばるな」という無言の警告だ。と言っても、「台湾はご自由」という意味ではない。要するに、本格的な米国の対中巻返し戦術の感じがする。これまで、歴代米国政権が中国の対外進出へブレーキを掛けなかったが、今後は見過ごさないという「サイン」に見える。中国の国力衰退を見透かした、米国の本格的な反撃であろう。

 

(5)「このような巨額の武器輸出は、高市早苗首相の台湾有事発言より、中国の台湾政策への悪影響がはるかに大きいにもかかわらず、中国政府は「断固反対し、強く非難する」と表明しただけで、高官交流停止や貿易制限などの実質的な報復措置を取らなかった。習氏は今年1月5日、北京を訪れたアイルランドのマーティン首相、韓国の李在明大統領と相次いで会談。李氏との会談で「日本軍国主義」に言及したが、マーティン氏に対して「一方的いじめ行為が国際秩序に重大な衝撃を与えている」と批判した際は名指しの米国批判を避けた」

 

米国は、過去にない規模で台湾へ武器を売却している。高市発言よりも深刻なはずだ。こちらは、大騒ぎしないのだ。高市発言の時よりも対応が異なる。こういう食い違いをみると、対日批判は強い中国を演出する「宣伝用」である。