トランプ米大統領は16日、デンマーク自治領グリーンランドを米政府が取得する計画を支持しない国に追加関税を課す可能性に言及した。目標の実現へ関税引き上げをちらつかせ、経済力を武器に米国の領有に反対する欧州などに翻意を迫る狙いがある。
この戦略は昨年12月、米国が2025
年の国家安全保障戦略を発表したが、西半球(南北アメリカ)では、米国の最優先利益を貫くことを宣言した。そのためには、中ロの影響力を排除して、米国覇権を再構築するというもの。冷戦後最大級の戦略転換を意味している。突飛にみえるグリーンランド買収事案には、西半球からの中ロ勢力の一掃という地政学的意味合いが込められている。
『日本経済新聞 電子版』(1月17日付)は、「トランプ氏、グリーンランド取得『反対国に関税上げも』 欧州に圧力」と題する記事を掲載した。
(1)「トランプ米大統領は、ホワイトハウスでの会合で「(米国による)グリーンランドの提案に従わない国には関税を課すかもしれない。グリーンランドは国家安全保障のために必要だからだ」と述べた。その後、記者団に「北大西洋条約機構(NATO)とグリーンランド問題で協議中だ」と明かした。「我々が手に入れなければ、国家安保に大きな穴が開く」と語り、全米防衛システム「ゴールデンドーム」構想とも連動していると唱えた」
中国は、「近北極国家」を自称し、北極圏への影響力拡大を図っている。ロシアも北極圏における軍事・資源開発を強化中。米国はこれに対抗するため、グリーンランドを含む北極圏の支配権強化を模索していると考えられる。この米国の意図が、単なる領土拡張とみなされている。また、レアアース資源確保という説も流されている。トランプ氏は、全米防衛システム「ゴールデンドーム」構想と連動していると、安全保障政策を強調している。
(2)「トランプ氏は、領有へ軍事行動も選択肢だと主張するほか、グリーンランド取得の申し出をデンマークが拒めば、関税を課すと示唆したこともあった。米国の方針に賛同しない第三国にも圧力の対象を広げ、米国に同調するよう促した。デンマークのラスムセン外相、グリーンランド自治政府のモッツフェルト外相は14日、米ワシントンのホワイトハウスで米国のバンス副大統領、ルビオ国務長官と会談した。米国へのグリーンランド売却を拒否する考えを直接伝えた」
デンマーク政府とグリーンランド自治政府は、米国の買収提案を拒否する旨をホワイトハウスへ通告した。これで引き下がるトランプ氏ではない。これから、本格的な攻防戦が繰り広げられるであろう。純粋な意味での安全保障政策となれば、関連国が知恵を出すべき問題であろう。
(3)「デンマーク政府は14日、グリーンランドやその周辺に展開する部隊を増強し、演習も実施すると発表した。NATO加盟国とも調整を進めており、欧州ではデンマーク支援に回る国が目立つ。フランスはデンマークの要請を受けグリーンランドに仏軍を派遣するほか、2月にグリーンランドに領事館を新設する計画だ。スウェーデンも自国軍の将校らを送ると表明した。ドイツやノルウェーの軍関係者も加わる。米CNNテレビが9〜12日に全米で実施した世論調査によると、米国によるグリーンランド領有への賛成は25%だった。トランプ氏が率いる共和党の支持層に限っても賛否が5割で拮抗し、無党派層の8割が反対した」
NATO加盟国が、グリーンランドをめぐる管理で協議するという。グリーンランドの地政学的重要性から言って、当然であろう。円満解決を望みたいが、米国の世界覇権再構築という強烈な意図とNATOの意識をどのように調整するかだ。


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