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米国は中国の脆弱性見抜く

中国没落は歴史的な大事件

チャイナ武器に固有の欠陥

人民解放軍は国内用の軍隊

 

26年の暦が動き始めた1月2日~3日にかけ、米軍特殊部隊がベネズエラ大統領を拘束する前代未聞の事件が持ち上がった。ベネズエラ大統領は、数時間前まで中国特使と会見していた。この席で、両国は永遠のパートナーシップを謳い上げる友好関係を誓い合っていたのだ。中国は、ベネズエラとの関係強化を通じ、中南米における強力な経済基盤構築の足がかりにする意図であった。

 

米国はなぜ、中国と特殊な関係にあるベネズエラへ特殊部隊を派遣したのか。直接的な理由は、米国への麻薬持ち込みを遮断することだったが、同時に西半球まで触手を伸してきた中国への警告であった。米国は昨年12月、2025 年の国家安全保障戦略を発表した。次のような「宣言」を発していたのだ。西半球(南北アメリカ)では、米国の国益最優先を貫くこと。そのためには、中ロの影響力を排除して、米国覇権を再構築する。こういう、冷戦後最大級になる米国の戦略転換を発表していたのである。

 

中国は、こうした米国の世界覇権再構築構想を甘くみていた。事前に、米軍のベネズエラ急襲情報を把握できなかっただけでなく、ベネズエラと永遠のパートナーシップを誓い合うミスまで冒してしまった。米国が、すでに西半球における米国益を中ロ勢力から守る姿勢を宣言していたのだ。それだけに、中国が米国の軍事行動を予測できなかったのは、国際情報戦での立後れをも示したと言えよう。

 

米国の世界覇権再構築構想はまた、インド太平洋おける地域覇権も維持する姿勢をハッキリさせている。台湾は、中国の設定する「第一列島線」の要と位置づけているからだ。中国国内では、米国が西半球の国益重視であれば、インド太平洋では米国益を中国へ「譲渡」するという淡い期待を寄せる者もいる。世界覇権の主要な舞台はインド太平洋にある。米国が、この肝心の地域を「手放す」ことなどあり得ない妄想である。そうでなければ、ネズエラを急襲して中国のメンツへ泥を塗る「荒技」を繰り出すはずもないのだ。

 

米国は中国の脆弱性見抜く

米国が、世界覇権再構築構想を樹立したのは、中国の経済力がもはや回復不能の重態にあることを強く認識した結果である。すでに、IMF(国際通貨基金)やOECD(経済協力開発機構)が、中国の潜在成長率はこれから「釣瓶落とし」の状況になると発表している。その要因は、「労働力減少・資本蓄積減少・生産性低下」にあることを明確にしている。同時に、生産性にからむ技術力の停滞が、軍事力の低迷に直結する視点から、米国は中国の軍事力が自国に遠く及ばないと自信を深めた結果と想像できるのだ。

 

米軍が、世界最強の軍隊として中国軍を抑制した最新実例は、中国製のベネズエラ防空網破壊である。米軍は、事前準備によって中国製防空網を無力化して制空権を100%確保した。米軍に一人の犠牲者も出なかったのは、米軍の「電子戦」が中国製の防空網の盲点を突いたからだ。電子戦は、一国の科学力の総合を意味している。中国が、いくら戦艦をつくっても「電子戦」という現代の「神経戦」では、米国にとうてい及ばないことを立証した。それが、ベネズエラ急襲の結果である。

 

以上、中国の潜在成長率見通しと中国軍の装備について概略をみてきたが、これから具体的に、先ず中国の長期潜在成長率見通しをみたい。OECDは次のように予測する。

 

年  代      潜 在 成 長 率

2020年代         3~4%台にとどまる

2030年代     2%台から1%台へ低下

2040年前後    1%割れ(0%台)

2050〜60年代  0%前後

2070年代     マイナス成長へ突入

 

上記のデータをみると、20年代はまだ現状よりも弱含んでいる感じに止まる。だが、30年代に入ると、2%台が1%台へ低下する。これは、現在の日本経済並みの成長率である。40年代へ入ると1%割れになる。50~60年代が0%前後。70年代にはついにマイナス成長へ落込むのだ。歴史上でも巨大経済が、マイナス成長を落込む姿はみたことがないほど希有な事態が到来する。これは、中国が権威主義政治体制を継続することの不可避的事態というべき現象である。「中華再興」どころか、「中華滅亡」である。

 

習近平氏は、「中国式社会主義」が中国の未来を約束するとしている。だが、結果は真逆になる。理由は、市場経済が原則の西側諸国の経済運営において「禁じ手」とされる政策が、中国では政府主導で率先して行われる結果だ。中国共産党は、指導力維持という政治目的を完遂すべく民間経済活動へ極度の干渉をしている。これが、経済活動を萎縮させるのだ。

 

中国共産党が信奉するマルクス経済学では、経済の「下部構造」が、政治の「上部構造」へ影響すると位置づけている。中国共産党はこの下部構造→上部構造という位置関係を強引に逆転させている。つまり、政治が経済を支配しているのである。習氏は、経済がもっとも発展成長しやすい状況にマッチした政治を容認しないのだ。こうして、習氏の強力な権威主義が経済を窒息させている。この被害が、国民へ幅広くしわ寄せされるのだ。(つづく)

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