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外交戦において、資源カードを切った瞬間に、その効果は落ちるとされている。相手国が、代替手段を模索して、カードを切った国に依存しなくなるからだ。日本は、中国からレアアース輸出規制を告げられた以降、G7(主要国首脳会議)の財政相会合で広範囲な対策を打っている。これこそ、資源カードを切った瞬間にその効果は落ちる、という典型例である。中国は、こういう素早い日本の動きを警戒して、対日レアアース輸出規制を長く続けられないという見方が出てきた。

 

『ロイター』(1月20日付)は、「中国の対日レアアース規制、長期化の可能性低い=日本総研・三浦氏」と題する記事を掲載した。

 

高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁を背景に、中国の対日レアアース(希土類)規制の強化が伝わってから2週間が経過した。輸出制限措置の行方について、日本総研の三浦有史・主席研究員に聞いた。日本貿易振興会(現日本貿易振興機構=ジェトロ)出身の三浦氏は中国経済を専門とし、『脱「中国依存」は可能か』などの著書を持つ。

 

三浦氏は、「あえて規制の運用をあいまいにし、日本側に『いつ供給が止まるかわからない』という不安を植え付けようとしている」と指摘した上で、「全面的な制限を続ければ、他国での鉱山開発や代替技術への投資が進み、レアアース分野でのシェア低下を招きかねない。対日規制が長期化する可能性は低く、中国側も早晩落としどころを探ってくるだろう」と話した。

 

(1)「1月6日に軍民両用品目における対日輸出管理の強化が発表されたが、詳細な内容はまだ明らかになっていない。中国当局が(レアアースの用途や最終販売先などに関する)書類の審査を厳格化しているとの報道があったが、もし全面的な輸出規制なら、様々な業界から悲鳴が上がっているはずだ。現時点では、物流を一部で停滞させている段階にとどまっているとみられる。中国側の狙いは明白だ。台湾問題という『核心中の核心』に触れた首相発言を巡り、産業界を通じて日本政府に揺さぶりをかけることにある。対米関税交渉でレアアースを外交カードに使った際、一定の対話を引き出せた成功体験もある。今回は供給を完全に断つのではなく、あえて規制の運用をあいまいにすることで、日本側に『いつ供給が止まるかわからない』という不安を植え付けようとしている」

 

中国は、対日「口撃」を主として行い、レアアースの輸出規制に本腰を入れていないという。仮に、対日輸出が減らされれば、日本の産業界から悲鳴が上がるはずとみている。中国は、高市首相の支持率を落とす目的で、騒ぎを広げている。

 

(2)「採掘による生産工程において、中国の世界シェアは徐々に低下している。それでも今なお約7割を占めるなど圧倒的な存在感だ。より顕著なのは精製工程で、国際エネルギー機関(IEA)によれば、中国のシェアは9割超に達する。レアアース鉱石の多くは精製時に大量の放射性廃棄物を出すが、中国は人件費が安く環境規制も緩いことから処理コストが低く済むため、各国が依存している。(かつてレアアース大国だった)米国も現在はわずか1%のシェアしか持たない」

 

日本の化学的精錬法が普及すれば、世界の小規模鉱山のレアアース精錬が可能になる。日本は、この技術をODA(政府開発援助)の資金でインドなどへ移転している。28年頃には成果が出ると期待される。中国の牙城崩しが始まっているのだ。

 

(3)「強力な支配力を持つとはいえ、対日規制が長期化する可能性は低いとみている。中国が全面的な制限を続ければ、他国での鉱山開発や代替技術への投資が世界的に進み、長期的に中国のシェア低下を招くためだ。レアアース分野での影響力を維持するには、物資を安価に提供し続ける必要がある。また、中国ではレアアースの密輸が以前から問題視されており、輸出規制によって一段と深刻化する恐れがある。実際、レアメタル(希少金属)のアンチモンの対米輸出を禁止した際は、タイなどの第三国を通じた迂回取引が活発になった」

 

日本は、着々と化学的精錬法の世界普及に乗り出している。中国はいずれ、対日虐めを悔いる時期が来るはずだ。南鳥島のレアアース採掘も、28年に商業生産へ入る。

 

(4)「レアアースの調達を巡っては、中国自身の状況も実は盤石ではない。特に(自動車用モーターなどに使われる)重レアアースに限っては、国内の電気自動車(EV)産業の拡大に伴って、輸入量が輸出量を上回る『純輸入国』に転じている。安定的な貿易体制を望んでいるのは彼らも同じだ。昨年春に米国による半導体規制への対抗措置としてのレアアースを活用した際も、実際に輸出量を大幅に減らしたのは3か月程度だった。早晩、日本政府に何らかの譲歩を引き出す形で落としどころを探ってくると予想する。中国の立場や戦略をふまえれば、日本にとって、備蓄の積み増しといった対策が有効だろう」

 

米国へのレアアース輸出規制は、3ヶ月程度であった。日本へも、何らかの譲歩を引き出す形で落としどころを探ってくるという。日本は、毅然と対応することだ。あれだけ、悪口雑言を並べた中国である。日本こそ一札取っておきたいほどだ。