日本は、中国による対日レアアース輸出規制へ対抗し、あらゆる手を打っている。南鳥島のレアアース採掘という「世紀の大事業」は別格として、化学的精錬の普及や調達先の拡大。さらにはレアアースそのものを使わない製品開発や、資源循環などと総力戦を展開している。
『日本経済新聞 電子版』(1月21日付)は、「レアアースの中国依存軽減 日本企業、調達先確保や技術革新に動く」と題する記事を掲載した。
日本企業がレアアース(希土類)の確保に向けて様々な備えを進めている。2010年、尖閣諸島問題を巡り中国が輸出を規制したことをきっかけに取組みが加速した。JX金属や大手商社などは中国以外の海外からの調達ルート確保に動く。プロテリアル(旧日立金属)などはレアアースを使わない技術の開発に力を注ぐ。
(1)「JX金属の林陽一社長は、「南米とオセアニア、南アフリカに資源担当者を配置し、開発できるような場所がないか常にウオッチしている」と、レアアースの確保に向けた取り組みをこう話す。JX金属は25年6月、オーストラリアのレアメタル(希少金属)やレアアースの鉱床に5%出資すると発表した。追加出資も検討している。同じ鉱床には丸紅も同年11月に出資すると表明し、日本勢の比率が高まる」
JX金属や丸紅は、海外鉱山へ出資して権益を確保している。
(2)「JX金属の林氏は、豪州に続くレアアース権益の確保についても「当然探っている」と語る。同社は半導体の材料にレアアースを使っており、調達先には中国も含まれる。安定的に必要な量を確保するのは喫緊の課題となっている。国内商社もレアアースの確保に動く。双日は25年10月、希少性の高い「重希土類」のレアアースを豪州から初めて輸入した。25年にはエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と岩谷産業の共同出資会社もレアアース精錬を手掛けるフランス企業に出資した。豊田通商や住友商事も調達先の多角化に動いている」
双日は、豪州で積極的にレアアース確保へ動いている。23年、豪州大手レアアース企業ライナスに約2億豪ドル(180億円)を出資し、同社が生産するジスプロシウムとテルビウムの最大65%を日本に供給する契約を結んでいる。豊田通商や住友商事も調達先の多角化に動いている。
(3)「レアアースは、1980年代まで米国などが主な生産地だった。その後中国で鉱山開発企業が乱立し、低価格での輸出が広がった。当時の中国は環境規制がゆるかった。採掘や精錬の過程で生じる放射性廃棄物や、レアアース抽出に使う酸性液の処理が不十分でも許された。中国は環境対策費用が安い分、生産コストを米国などに比べて圧倒的に下げられる「メリット」を生かした。結果、中国の生産量は伸びレアアース大国となった。仮に日本企業が権益を確保しても、コスト面で圧倒する中国にどう対抗するかという課題は残る」
日本が開発したレアアースの化学的精錬法は、常温・常圧の精錬が可能で放射性物質も出ないという環境親和的である。モジュール型の小型設備で移転も可能である。当然、コストは安くなる。小鉱山で、これまで開発を見捨てられているレアアース鉱石に焦点が当る。
(4)「レアアースの必要性を技術革新で乗り越える取り組みも進む。プロテリアルは電気自動車(EV)の駆動用モーター向けに、重希土類のレアアースを使わない磁石を開発した。2025年4月に米国の相互関税への報復の一環で中国政府が7種類のレアアースの輸出規制に踏み切った際には、日本の自動車大手が生産の一時停止に追い込まれた。重希土類なしでEVモーターにも使える磁石が実現すれば、こうした供給不安を軽減できる」
レアアースを使わない磁石も開発されている。科学の進歩が、「省レアアース」へ向わせている。
(5)「リサイクルの技術開発も進む。ネオジム磁石大手の信越化学工業は、日本とベトナムにリサイクルの拠点を持つ。使用済みレアアース製品や製造工程で出てきた端材などを回収し、循環させる。トヨタ自動車と組み、ハイブリッド車(HV)のモーターに使われる資源の再利用もしている。日本企業は過去の教訓を生かし、省レアアースのネオジム磁石や代替技術の開発、リサイクルなどに取り組んできた。ただ安い中国製ネオジム磁石の優位を崩すまでには至らず、導入は広がっていない。レアアースの安定確保という世界的な課題の解決に寄与するため、これまでの取り組みをどう生かすか。官民が連携し知恵を絞る必要がある」
信越化学工業は、使用済みレアアース製品や製造工程で出てきた端材などを回収し、循環させている。資源が乏しければ、それに応じた経済行動が取られるのだ。


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