トランプ米大統領は21日、デンマーク自治領グリーンランド領有に反対する欧州諸国に追加関税を課すとしていた方針を撤回するとともに、グリーンランドの取得に「武力は使わない」と言明し、同地の将来について北大西洋条約機構(NATO)と大枠の合意に達したと明らかにした。外電では、グリーンランドに米軍基地を増設することで合意した模様だ。将来、中ロのグリーンランド進出を阻止するというトランプ氏の願望が叶うようだ。
『ロイター』(1月22日付)は、「トランプ氏、グリーンランド『大枠合意』 武力行使否定・関税撤回」と題する記事を掲載した。
トランプ米大統領は21日、デンマーク自治領グリーンランド領有に反対する欧州諸国に追加関税を課すとしていた方針を撤回するとともに、グリーンランドの取得に「武力は使わない」と言明し、同地の将来について北大西洋条約機構(NATO)と大枠の合意に達したと明らかにした。
(1)「トランプ氏はスイスのダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)に出席。NATO同盟を揺るがし、新たな世界貿易戦争につながりかねないと懸念された過去数週間の強硬な姿勢を後退させた。トランプ氏はNATOが北極圏におけるロシアと中国の野望を阻止しながら、「ゴールデンドーム」ミサイル防衛システムと重要鉱物へのアクセスに関する自身の要求を満たす新たな協定を結ぶことができると述べた。ダボスでNATOのルッテ事務総長と会談後、記者団に対し、「誰もが満足する合意だ。これは長期的な合意、究極の長期合意だ。特に安全保障と鉱物資源に関して、誰もが非常に有利な立場になる」と語った」
「大山鳴動して鼠一匹」とは、今回のような騒ぎを表現するに相応しい諺だ。同じ仲間同士の揉め事は、話せば分るのだろう。互いに頭を冷やした結果だ。NATOが、米国の要求を受入れ、形式的には「名」を取り、米国が「実」を取る妥協の成果であろう。
(2)「NATOの報道官は、北極圏のNATO加盟7カ国が集団的な安全保障の確保に向けて協力すると明らかにした。「グリーンランドにロシアと中国が経済的にも軍事的にも足場を築くことがないよう、デンマーク、グリーンランド、米国の間で交渉が進められる」と語った。トランプ氏は自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に、グリーンランドの将来についてNATOと大枠の合意に達したと投稿。「この理解に基づき、2月1日に発効予定だった関税は発動しない」と述べた。ただ、合意内容の詳細は明らかにしていない」
トランプ外交には、「TACO」なる別名が付けられている。TACOとは、「Trump
Always Chickens Out」(トランプはいつも尻込みして退く)の4語の頭文字をとったもの。初めにハッタリを掛けて相手を驚かせ、その後に後退するというパターンである。それでも、しっかりと成果を握ることで、譲歩し側もなんとなく「得をした気持ちになる」不思議な交渉術である。
(3)「デンマークは、この問題はソーシャルメディア上ではなく、非公式の外交ルートを通じて処理されるべきだと指摘した。デンマークのラスムセン外相は公共放送DRに対し、「われわれにとって極めて重要なのは、(デンマーク)王国の一体性と主権、そしてグリーンランドの人々の自決権を尊重した上で、この問題を終わらせることだ」と述べた。ラスムセン氏は、ルッテ氏と協議したと述べたが、合意内容の詳細については明らかにしなかった」
デンマークもグリーンランドも、譲歩した割にはすべてを失わなかったという安堵感が窺える。
(4)「トランプ氏は、バンス副大統領、ルビオ国務長官、ウィットコフ特使にさらなる協議に参加するよう指示したと述べた。トランプ氏はダボス会議での演説で、グリーンランドの取得に「武力は使わない」と言明した。武力行使の可能性を金融市場が嫌気していたことを認め、姿勢を後退させた。「私が武力を行使すると考えられていたようだが、武力を行使する必要はない」とし、「武力は使いたくないし、使わない」と強調した。トランプ氏はこれまで度々、強硬な姿勢を打ち出した後に態度を軟化させてきた」
NATO同盟国同士が、武力を使うなど想像もできない事態だ。最初からトランプ氏の「脅し」であった。それは分っていながら、「ことによると」という危惧の念が晴れたことは良かった。内輪揉めしている時間はない。中ロが、何を仕掛けてくるか分らないだけに、付け入る余地を与えてはならないのだろう。


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