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中国の住宅不況は深刻である。不動産上位100社合計の2025年の販売額は1兆6189億元(約36兆7000億円)と、前年比2割減だった。ピークの21年に比べて6割も減っており、市況の低迷が鮮明になっている。こうした中で、地方政府は新築と売れ残りで在庫の中古住宅に補助金を出して住宅需要を支える苦肉の策にでている。

 

『日本経済新聞 電子版』(1月22日付)は、「中国、マンション購入に補助金 地方政府が不動産不況対策」と題する記事を掲載した。

 

中国の不動産不況が長期化し、地方政府が独自のてこ入れ策を打ち出している。マンション購入に補助金を出したり、住宅ローンの利子補給をしたりする。不動産の販売は地方政府の重要な財源だ。2026年以降も市況低迷は続く見通しで、住宅需要の下支えを狙う。

 

(1)「江蘇省常州市はマンション購入の補助制度を拡充する。25年4月から売れ残りの在庫物件を対象に補助金の支給を始めており、26年からは新築と中古も対象に加える。補助金は新築が購入額の15%で20万元(約4400万円)、中古は15%で18万元を上限とする。市政府によると25年11月末までに約4800世帯が補助金を使って在庫物件を買った」

 

ビジネスの常道から言えば、先ず住宅在庫の一掃である。価格を下げて売り切ることが先決である補助金を出す目的は、さらなる地価下落を恐れている結果だ。地価下落が進めば地方政府に土地売却益が減って地方政府の歳入減が起ることを恐れているのであろう。こうした微温的政策が、在庫整理の進まない理由である。土地国有制がもたらした、大きな矛盾だ。

 

(2)「地元の官製メディアは、「斬新な方法で69億元の経済効果をもたらした」と成果を報じている。補助金は需要の刺激に一定の効果があると見て補助金の対象を拡大する。湖北省武漢市は同年10月から12月まで、一部地区で住宅ローンの利子補給の申し込みを受け付けた。ローンを組んだ元本の1%2万元を上限に今後2年補助する。利子補給は、江蘇省南京市や浙江省杭州市なども実施したことがある」

 

湖北省武漢市は、ローン元本の1%2万元を上限に今後2年補助するという。こういう「雀の涙」のような補助金では意味はない。

 

(3)「優秀な人材を呼び込むため、学歴に応じて支援策に差を付けるケースもある。山西省運城市は博士後期課程の学位を持つ人は、15年間にわたり30万元を低利で融資し利息の50%を市が補助する。博士だと11年間、20万元を融資し利息の40%を補助する。こうした対策をするのは財政に余裕がある地方政府が多い。常州市は25年の歳入に占める税収が86%と省内で最も高く、財政の健全度が高い。自動車大手の比亜迪(BYD)などの工場があり、製造業を中心に安定した法人税がある。武漢も車や電子製品の有力企業が拠点を構える」

 

地方政府は、人材確保目的で低利融資を行っている。先行投資ができる地方政府は限られている。日本では、地方自治体は政府の「交付金」で最低限の行政費が保証されているのそれほど凸凹はないが、中国では、その差が大きい。

 

(3)「財政の厳しい地方政府はじり貧だ。中国国家統計局の調査によると河北省唐山市は1〜11月の平均住宅価格が新築は前年同期比7%、中古は10%それぞれ下落した。過剰供給による消耗戦にさらされている鉄鋼産業が集積し、税収が減っている。不動産対策に回す財源がなく、販売も減り財源が細る負のスパイラルに陥っている。中国は土地の私有が認められておらず、かつて地方政府は使用権を不動産会社に販売して巨額の収入を得てきた。しかし現在は状況が一変。販売に四苦八苦している。24年から地方政府が在庫住宅を購入し、「保障性住宅」として中低所得者向けに安く貸し出す制度が始まった。しかし財政難の地方政府が多く対応は遅れている。

 

地方政府によっては、財政状態が厳しく住宅購入補助金を出す余裕がない。そういう地域の住宅値下がりは、他地域よりも大幅だ。

 

(4)「ニッセイ基礎研究所の三浦祐介主任研究員は、「不動産政策は26年以降も在庫住宅の買い取りや購入支援などの微調整型が中心になる」とみる。ただ、市況低迷の長期化を受けて「国が本格介入する可能性も高まってきた」(三浦氏)。不動産会社の経営環境は厳しさが増す。調査会社の中国指数研究院によると26年に始まる中国政府の第15次5カ年計画の期間中、国内の住宅販売面積は年7億〜8億平方メートルになる見通しだ。ピークの21年に比べてほぼ半分に落ち込む」。

 

第15次5カ年計画(2026~30年)期間中、国内の住宅販売面積は年7億〜8億平方メートルになる見通しだ。ピークの21年に比べてほぼ半分に落ち込という。これから5年間も住宅不況が続くという想定だ。不動産上位100社合計の2025年の販売額は、21年に比べて6割も減っている。これから5年間にさらに半分も減れば、21年比で8割減となる。このような長期低迷を前提にするなら、補助金政策も業者「延命型」ではなく、企業「転換型」にシフトすべき時期に来ている。つまり、多くは廃業すべきである。