日本は、東京から1800キロ余り離れた南鳥島海底6000メートルで、レアアース(希土類)を含む泥の試験掘削に成功した。埋蔵量1600万トンで世界3位の規模であるが、韓国は否定的ニュアンスで報じている。商業生産が始まれば、その恩恵を受けるはずである。だが、羨望が先立っているようだ。中国は、商業生産困難と「完全否定」の報道である。中韓2国が、それぞれ複雑な表情をみせている。
『朝鮮日報』(2月4日付)は、「中国の輸出規制に対抗する日本、海底5700メートルで『レアアース泥』採取に成功」と題する記事を掲載した。
日本政府が、日本列島南東にある南鳥島周辺の深海からレアアースを含む泥の試験採取に成功した。読売新聞が2日に報じた。同紙は「中国はレアアースの輸出規制強化を他国に外交的・政治的な圧力をかけるカードとしている」とした上で「今回の成功は(レアアース)国産化に向けた大きな一歩」と評した。
(1)「日本の内閣府が、2010年から推進してきた「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」が16年掛けて目に見える成果を出した形だ。2010年に尖閣諸島の領有権を巡って中国がレアアースの輸出規制に乗り出したことを受け、日本はこれを安全保障上のリスクと認識しレアアース採掘事業を進めてきた」
南鳥島のレアアース採掘は、2010年から16年という長い歳月を準備期間に当ててきた。6000メートルのパイプは、日鉄の高張力鋼である。世界一の高品質の折り紙が付いている。深海で600気圧に耐えたのは、日本技術の成果である。
(2)「およそ400億円を投入して泥を破砕する「採鉱装置」と回収用の特殊パイプを開発し、2022年に水深2400メートルの茨城県沖合で泥の吸入に成功した。今回はその2倍以上に達する深海で極度に高い水圧の中でもこれらの装置が正常に作動することを確認した。読売新聞によると、石油や天然ガスの採掘技術を応用し、堆積物を探査船で引き上げるのは世界初の試みだという。2013年に東京大学の研究グループはこの海域で高濃度のレアアースが含まれた泥を発見した。その埋蔵量は少なくとも1600万トンに達するとも試算されている。これは埋蔵量としては中国とブラジルに続く世界第3位で、この試算が公表されてから同海域は日本の経済安全保障上の最前線と見なされるようになった」
日本は、これまで2022年に水深2400メートルの茨城県沖合で泥の吸入に成功するなど、手堅い準備を重ねてきた。
(3)「採算性が立証されれば、南鳥島沖合のレアアースは中国と日本の関係のゲームチェンジャーになるとみられる。ただし日本政府は2月8日に衆議院選挙の投開票を控えており、その結果が出る前から「日本産レアアース」への期待を膨らませているとの見方もある。中国との関係悪化で日本経済への悪影響に対する懸念が浮上したため、中国への依存度が低いサプライチェーン構築が可能との希望を示す狙いということだ。また強い日本を掲げる高市政権には中国に強硬な対応を示すことが選挙にプラスになるとの判断もあるようだ」
世界は、6000メートルの深海からの吸い上げという難事業だけに「高コスト」という先入観で判断している。だが、方法はいたってシンプルである。吸い上げパイプが、600気圧に耐えられるかが勝負だ。その点で、日本の世界最高の製鉄技術が、この壁を乗り越えたのだ。
選挙目当てという評価は、技術評価に対する見識のなさを示している。今年初めの採掘作業スケージュールは、前々から決定済みである。選挙日程に合わせて大急ぎで試掘するような作業レベルではない。
『中央日報』(2月2日付)は、「日本、海底レアアースの試験掘削に成功…東京大『1600万トンと推計、埋蔵量世界3位』」と題する記事を掲載した。
(4)「日本のレアアース独自確保の試みが成功するには、難関も少なくないとの指摘も出ている。米国地質調査所(USGS)によると、ブラジル(2100万トン)のレアアース埋蔵量は中国の半分程度だが、実際の生産量は年間1万トン未満で、年間20万トン以上を生産する中国の10%にも満たない。埋蔵量6位の豪州(340万トン)が生産する年間1万8000〜2万4000トンよりも少ない。それだけレアアースの採掘のみならず、精錬インフラを整えることが容易ではないということだ」
ブラジルや豪州の生産レベルが低いのは、精錬過程における環境破壊という問題が起るからだ。その点で、日本が開発した「化学的精錬法」は、常温・常圧で作業が可能。しかも低コストである。現在、インドで試験しており28年に成果が出る見込みだ。これを機に、他国へ広げる計画だ。
(5)「海底6000メートルから引き上げるという高難度の作業が要求される日本のレアアースが、商業性や競争力を備えるのは難しいという指摘もある。中国の環球時報は1月11日、「商業的な成功の可能性が低いプロジェクト」と切り捨てた。その上で、レアアース産業の専門家の言葉を引用し、「日本は中国への依存度を下げようとしているが、技術的難関と費用の問題から、短期間で代替供給網を構築するのは難しいだろう」と見通した」
中国は、南鳥島のレアアースが商業生産に入れば、ゲームチェンジャーが現れることになるので神経質になっている。南鳥島のレアアースの品位は、中国鉱山の20倍以上とされる。この高品位が武器であり、コスト的に十分に対抗可能とされている。化学的精錬法は、中国の物理的精錬法に比べ、環境破壊にならない強みも持っている。中国には「脅威」となるはずだ。


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