中国EV(電気自動車)は、メーカーも消費者も政府補助金という大きな支えによって急成長してきた。だが、財政上の理由から両補助金は中止の方向である。これが、メーカーを直撃している。過剰生産による乱売合戦が、恒常化している上に、コストアップ要因がのし掛って生きたからだ。国内で、長期的に利益が出るか疑問視されるほど、過激な競争を繰り広げている。どれだけ、資源の無駄使いになっているか驚くほかない。
『ブルームバーグ』(2月6日付)は、「中、EV巡る投資家の不安裏付け-需要悪化とメモリー高騰で株価下落」と題する記事を掲載した。
中国で電気自動車(EV)セクターの利益見通しを巡る投資家の不安が、BYD(比亜迪)株の止まらない売りによって浮き彫りになっている。国内需要の冷え込みと原材料費の急騰が重なり、見通しの大幅見直しは必至だ。
(1)「BYDの香港上場株は今週、下落。期待外れの販売データが響き、昨年5月から時価総額を600億ドル(約9兆4000億円)余り押し下げてきた売り局面が続いている。この低迷は、他のEVメーカーにも波及し、税制を巡る新たな懸念や人工知能(AI)による事業混乱への不安に直面する株式相場の重石となっている。それでも、需要悪化のペースは多くの市場参加者の想定を超えている。加えて、電池材料や半導体メモリーのコスト高騰が、自動車メーカーの利益率をさらに圧迫する可能性が高い」
BYDは、政府から支払手形の短縮化という問題を突きつけられている。これまでの野放図な200日以上の手形期間が、60日に縮めるよう求められているもの。この結果、販売戦線の縮小を迫られている。これは、他の自動車メーカーも同じである。
(2)「CLSA香港の中国産業リサーチ共同責任者、シアオ・フォン氏は「投資家心理が極めてネガティブだ」と指摘。「より深刻なのは、今年に入って大規模な業績予想の下方修正が相次ぎ、中国国内市場でEVメーカーが長期的に利益を生み出せるのか疑問が高まることだ」と語った。輸出は引き続き明るい材料だが、中国の自動車メーカーは依然として競争の激しい国内市場への依存度が高く、消費者心理は慎重なままだ」
EV業界は、完全に成長企業ではなくなった。国内市場が、乱売戦の舞台であるからだ。これまでの過剰生産体制からの脱却が不可能になっている。
(3)「モルガン・スタンレーによると、多くの国内メーカーは今年1-3月期の販売台数が前期比で30~40%減少すると見込んでいる。1月の販売動向は、EV業界のトップ企業でさえ安泰ではないことを示した。BYDの国内出荷台数は、前年同月比で半減し10万9569台。小鵬汽車は総出荷台数が30%余り減少したと報告した。投資家にとってより大きな懸念は、原材料費の急騰が利益に与える影響だ。EVメーカーは、買い手を引き付けるための販売促進活動で依然として資金を消耗している」
今年1-3月期の販売台数が、前期比で30~40%減少すると見込まれている。これは、「急減」というべき現象である。この落ち込み分が、ダンピング輸出として海外へ押し出されることになろう。
(4)「EV用電池に使われるリチウムの価格は、ここ3ヶ月で倍以上に上昇し、銅やアルミニウムも高騰している。半導体メモリーの需給逼迫により、インテリジェント車両向け部品のコストも上がっている。アバディーン・インベストメンツで中国株の投資マネジャーを務めるジョアン・チェン氏は、「コストインフレが最大のリスクだ」と述べ、「競争が激しい中で、自動車OEM(相手先ブランドによる生産)がコストを小売価格に転嫁できるかどうかが問われている」との見方を示した」
EVの部品コストが軒並み上がっている。リチウム・銅・アルミニウム・半導体がコストアップ要因だ。販売台数が減る一方で、コストアップが直撃するので、利益など出るはずがない。
(5)「市場予想では、車両1台当たりの追加コストは一部の高級モデルで約1000ドル、あるいはそれ以上に達する可能性がある。バーンスタインの調査によれば、利益率の低い量販ブランドである小鵬汽車と理想汽車、蔚来汽車(NIO)は影響を受けやすいが、BYDは部品の内製化により相対的に有利な立場にある。業界には前向きな動きもある。カナダや欧州連合(EU)と中国の通商関係改善が進むとの兆しは、輸出の勢いが続くとの期待を高めている。自動車メーカーはAIや人型ロボット、ロボタクシーといった新興テクノロジー分野にも進出しており、これも株価の押し上げ要因となり得る」
車両1台当たりの追加コストは、一部の高級モデルで約1000ドル、あるいはそれ以上に達するという。これでは、作れば作るほど赤字になりかねない。乱売合戦は、こういう形で終息に向うほかない。


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