あじさいのたまご
   

日本が、総力を挙げて取組んでいる南鳥島のレアアース採掘について、中国メディアは冷淡な報道を行っている。日本は、「中国のレアアース依存から脱却するための重要な一歩とまで喧伝しているが、実際には技術、経済、生態系という3点から大きな賭けと言える」と指摘する。最終的には、科学技術力が勝負を決めるもので、基礎研究力が高い日本に歩のあることは確実である。戦後、ノーベル科学賞授賞者26名を生み出した基盤が生きるであろう。ちなみに、中国のノーベル科学賞授賞者は1名である。日中では、科学研究層の厚みが全く異なるのである。

 

『レコードチャイナ』(2月6日付)は、「レアアース採掘で大ばくち、日本の願いはかなうのか?―中国メディア」と題する記事を掲載した。

 

中国のニュースサイト『観察者網』(2月6日付)は、「水深6000メートルの深海で泥を掘る大ばくち、日本の願いはかなうのか?」との記事が掲載された。

 

日本政府は2日、南鳥島周辺海域でレアアース(希土類)を含む海底泥の試掘に成功したと発表した。記事は、「このニュースは中国のレアアース依存から脱却するための重要な一歩とまで喧伝されたが、実際には技術、経済、生態系という3点から大きな賭けと言える」と指摘した

 

(1)「1点目の「技術」について、記事は「日本の試験採掘における技術的課題は、水深6000メートルという極限環境にある」とし、「探査船『ちきゅう』は数キロメートルに及ぶパイプを海底まで伸ばし、約550気圧に相当する極端な水圧に耐えながら、高粘度・低流動性のレアアース泥を正確に採取する必要がある」とした。その上で、「日本側は今回の試験採掘によって高圧環境下における設備の信頼性を検証できたと主張しているが、過去のデータはそれに冷や水を浴びせるものだ」とし、「日本は2012年にすでに深海レアアース採掘計画を打ち出していたが、技術的なボトルネックにより延期を繰り返してきた。22年には水深2500メートルでの技術検証を行ったにとどまり、商業化の目標には依然として程遠い状況にある」と主張した」

 

この記事は、日本側記事の出典を明らかにしていない点で、「ルール違反」である。批判する以上は、必ず明記すべきである。そういう意味で「歪曲」されている危険性がある。人類未到の深海での泥の吸い上げという難事業である。まず、2200メートルで実験するのは科学的事業では当然である。こういう慎重な過程を経て6000メートルへ到達した。中国でも同種の実験を行って失敗しているのだ。自国が不可能であったから、日本も失敗するという前提は、科学の進歩を否定するものであろう。


成功の要因は、日本製の高張力鋼がその機能を発揮したことだ。日本製鉄の高張力鋼は、世界一の性能を誇っている。中国では、この技術がないのだ。かつて日鉄から特許違反で提訴されたほどだ。

 

(2)「また、「日本の海洋研究開発機構(JAMSTEC)の関係者は、サンプル採取に成功することと1日350トンの安定的な採掘を実現することには大きな技術的ギャップがあると認めている」としたほか、「さらに重要なのは、日本にはジスプロシウムやテルビウムといった重レアアースを高効率で分離・精錬する技術が欠けていることだ」と指摘。「不純物を大量に含む深海のレアアース泥から高純度のレアアースを効率的に抽出することは、絵空事に等しい」と断じた」

 

日本が、1日350トンの安定的な採掘を実現には大きな技術的ギャップがある指摘しているが、そういう技術的な詰めを行っているのが今回の実験である。ここから多くのヒントが得られているはずだ。科学というものは、こういう実験の積み重ねである。27年2月から1日350トンの実証実験が始まるのだ。部外者の中国が、実験データも見ずに安易な結論を出すのは、科学実験への否定に繋がる。基礎研究力の弱い中国では、こういう慎重な取組みを理解できないのだろうか。

 

日本の精錬法は、中国の物理的精錬法と異なり、「化学的精錬法」と言われるものだ。常温・常圧で小規模で精錬ができる点で、中国とは180度も異なっている。環境破壊も起こさないのだ。これも日本の基礎研究力が生み出した成果である。精錬コストも、中国より安いのだ。(つづく)