(3)「2点目の「経済」について、記事は「日本政府は2027年の商業採掘開始という青写真を描いている(※実際には27年2月に大規模採掘の検証、28年3月までに採算性などの検討)ものの、経済的な実現可能性という問題は避けて通れない」と指摘。「野村総合研究所の試算によると、深海レアアースの採掘コストは陸上採掘の10倍以上に上り、輸送費だけでも総コストの30%以上を占める」とした」
南鳥島のレアアースの品位は、中国陸上鉱山の20倍以上とされている。採掘コストと精錬コストの合計は、品位換算でトン当たり400~600ドルとされている。野村総研の想定する「深海レアアースの採掘コストは陸上採掘の10倍以上」の仮定は、品位を計算に入れていない単純計算であろう。判定のポイントは、南鳥島のレアアースの「高品位」にある。これが、採算点のカギを握るのだ。
(4)「そして、「南鳥島は本土から約2000キロ離れており、数千トンから数万トン規模のレアアース泥を海底から採掘し、本土へ輸送して精錬するには、天文学的な資金が必要となる。高騰する採掘コストは、日本のレアアース製品が国際市場で競争力を持ち得ないことを意味する」と主張。「採掘自体は比較的単純であるものの、設備投資には少なくとも750億円が必要だとされており、理想的な条件下でも投資回収までに16年を要する。コストと時間という二重の圧力の下でより冒険に近いチャレンジになっている」と論じた」
南鳥島の海底レアアースは、南鳥島で脱水してから日本本土を送ることになっている。「水分」を含んだ泥のままで送るはずがない。27年2月までに脱水施設が完成予定である。「理想的な条件下でも投資回収までに16年を要する」としているが、これは全くの「想定問答」である。日本には、経済安全保障という大義がある。日本がレアアースで、中国から威圧されるという屈辱を受け続ける訳にはいかないのだ。
(5)「3点目の「生態系」について、記事は「深海採掘は海洋生態系に不可逆的な破壊をもたらす」と指摘。「技術面や経済面の困難がまだ数値で評価できるとすれば、深海採掘が生態系に与える影響は、もはや計り知れない災厄と言える。23年にはすでに国連の国際海底機構(ISA)に50を超える国々および環境保護団体からすべての深海採鉱許可を一時停止するよう求める署名が出されていた」とした」
海洋鉱物資源の商業開発に関する国際ルールはまだない。開発を進めるには国際的な理解を得る必要もある。そこで、国連組織の国際海底機構(ISA)は、資源や生態系の保護を踏まえて海底の開発に関わる規則の策定を目指している。ISAのレティシア・レイス・デ・カルヴァーリョ事務局長は25年11月に来日し、外務省などを公式訪問した。ISAは今回の調査について、探査船「ちきゅう」を「最高水準の装備だ。日本の基礎的な科学研究と技術は、南鳥島沖の試験を確実に進めるだろう」(『日本経済新聞 電子版』(2月2日付)と太鼓判を押したのだ。この点についての懸念は、完全に払拭されている。
(6)「その上で、「今回、日本が試掘を宣言した南鳥島の周辺海域は、太平洋の熱帯循環流の中核に位置し、サンゴ礁をはじめとする独特な生態系の生息域とされている。環境保護団体は、この採掘によって泥水が数万平方キロメートルに及びプランクトンや魚などの生物種を破壊し、連鎖的な生態系崩壊を引き起こすと警告している。深海生態系の回復には数千年を要するとされ、一度破壊されれば地球の生命ネットワークそのものが変質しかねない」と主張した。さらに、「深海採掘は海洋環境汚染を引き起こす可能性もある。採掘過程で発生する排水や廃棄物には重金属やその他の有害物質が含まれる恐れがあり、これらの有毒物質や放射性元素が海水を継続的に汚染し、海流によって世界中の海域へ拡散する危険性がある。その影響は、核汚染水がもたらす危険性と本質的に変わらない」と述べた」
ISAのレティシア・レイス・デ・カルヴァーリョ事務局長が、25年11月に来日して日本側の対応を完全に評価したことで、この問題はクリアされている。
(7)「記事は、以上の3点はいずれも日本の「レアアースの夢」を頓挫させるに十分な重さを持っていると指摘。「この大博打は、始まった時点ですでに勝ち目がない運命にある。日本の計画は本質的には資源不安と地政学的駆け引きの中で生じた非合理的な衝動にすぎない」と切り捨て、「高市政権が理解すべきは、レアアースを巡る駆け引きの核心は資源そのものの奪い合いではなく、科学技術、責任、そして未来に対する深い理解にあるという点だ。この小さな礼節と大きな大義を併せ持つ理解を欠いたままでは、日本の夢が実現することはない」と主張した。
記事は、「この大博打は、始まった時点ですでに勝ち目がない運命にある。日本の計画は本質的には資源不安と地政学的駆け引きの中で生じた非合理的な衝動にすぎない」と切り捨てている。ならば、なぜ日本へレアアース輸出規制をしているのか。地政学的駆け引きをしているのは中国である。こうして、この記事は完全に論理の一貫性が保てない点で破綻しているとみるほかない。日本の南鳥島のレアアース採掘は、確実に前進していくはずだ。中国のレアアース「主権」は、揺らぐはずである。この焦りが、この記事の裏側に見て取れるのだ。


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