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米国とイスラエルによるイラン爆撃は、米国の狙い通りの経過を辿っている。攻撃開始から数時間で指導部を失ったイランは、中東地域の少なくとも9カ国を攻撃した。こうした国々を標的にすることで、緊張を緩和するよう米イスラエル側に圧力をかけられるとみていたからだ。

 

結果は,逆になっている。湾岸諸国は、この脅威に立ち向かわなければならないと決意。湾岸諸国が、解決策を模索する動きでなく、近隣諸国に対するイランの前例のない猛攻撃を許してはならないという雰囲気に支配されている。イランは、味方につけるべき湾岸諸国を敵に回すことになってきた。

 

『ブルームバーグ』(3月2日付)は、「トランプ大統領、全ての目標達成まで対イラン戦闘継続」と題する記事を掲載した。

 

トランプ米大統領は1日、米軍は目標が達成されるまでイランへの爆撃を継続するとし、イラン指導部に降伏するよう求めた。また米紙『ニューヨーク・タイムズ』(NYT)紙に対し、イランに対する攻撃が「45週間」続く可能性があると述べた。

 

(1)「トランプ氏は1日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に投稿した動画で、イランの最高指導者ハメネイ師の死亡を確認したほか、米国とイスラエルがイラン国内で革命防衛隊の施設や防空システムを含む数百の標的を攻撃したと明らかにした。トランプ氏は、イランの軍と警察に対し、「全面的な免責を得るために」降伏するよう求め、さもなければ「確実な死に直面する」と語った」

 

イランの軍事組織は、イラン軍と革命防衛隊(IRGC)に分けられる。イラン軍は、国境防衛が主たる任務で中立穏健な立場である。IRGCは、政権直属で過激である。周辺国の米軍施設へ攻撃しているのはIRGCである。トランプ氏は、中立的なイラン軍と警察に「全面降伏」を迫っている。イランの軍事組織の二分を狙っている。

 

(2)「こうした中、アトランティック誌はトランプ氏がイランの新たな指導部と協議することに同意したと述べたと伝えた。NYT紙とのインタビューでは、イランに対する攻撃が「45週間」続く可能性があると述べる一方、イランの将軍らに対し、国民に権力を委ねるか、マドゥロ氏拘束後に米国の要求に従っている新たな指導者の下にあるベネズエラのようなモデルを受け入れるかを迫った。トランプ氏は、NYT紙に対し「ベネズエラでわれわれが行ったことは完璧なシナリオだった」と言及。また、イランを率いるための「非常に良い選択肢が三つある」とも述べたが、詳細は明らかにしなかった」

 

米国は、イランへ4~5週間程度の空爆を行うとしている。米国は、空爆開始前にイラン軍と接触したとの報道があった。この関係は、今も続いているのであろう。イラン軍とIRGCを区別して対応している。

 

(3)「戦火は1日、中東全域に拡大した。イランは米軍施設を擁する複数国の標的にミサイルを連続発射。イランからの飛翔体がテルアビブの建物に着弾したほか、サウジアラビア、カタール、バーレーン、クウェートでは防空システムがミサイルを迎撃した。世界最大級の国際ハブ空港であるドバイの主要空港も被弾し、湾岸地域では民間航空のほぼ全てが運航停止となった」

 

IRGCは、サウジアラビア、カタール、バーレーン、クウェートなどへミサイル攻撃を仕掛けている。これが、湾岸諸国の反感を買う結果になった。米軍へ攻撃中止を求めるのでなく、逆効果になっている。

 

(4)「地域での紛争が数週間にわたって続けば、アラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビア、カタールなど湾岸の米同盟国にとって悪夢のシナリオとなる。これらの国々は、イランの核開発を巡り外交的解決で合意するよう米イラン双方に強く働きかけてきた。紛争を受けた混乱や航空便の停止が経済に打撃を与え、観光や外国投資に悪影響がおよぶことが懸念されている。サウジは、自国を標的とした「あからさまな」攻撃だとしてイラン大使を呼び出し抗議した」

 

紛争が、数週間も続けば湾岸諸国は、航空便の停止が経済に打撃を受けるので、イランへ同調する気配はない。

 

(5)「イスラエル軍当局者が匿名を条件に語ったところによると、攻撃によりイランの弾道ミサイル数百発が破壊されたほか、約200基の発射装置が破壊され、さらに数十基が使用不能になったという。トランプ米大統領は1日、トゥルース・ソーシャルへの投稿で「米国はイラン海軍の艦船9隻を破壊し、海に沈めたとの報告を先ほど受けた」と指摘。「残る海軍も標的にしていく」と述べ、米軍は別の攻撃でイラン海軍本部の「大半」を破壊したと続けた」

 

イラン海軍は、すでに壊滅的状態である。これでは、自力で海上封鎖は不可能になっている。

 

(6)「米中央軍は声明で、イランの数百発のミサイルや無人機(ドローン)を迎撃したと明らかにした。それによると、米国の標的にはイスラム革命防衛隊(IRGC)の指揮統制施設、イランの防空網、ミサイルおよび無人機の発射拠点、軍用飛行場が含まれていた。イスラエル国防軍は、IRGCのパクプール司令官や国家安全保障会議のアリ・シャムハニ書記ら、複数のイラン高官を殺害したと発表した。イランのメディアは、軍事施設や民間施設が攻撃されたと発表。ホルモズガーン州の学校も攻撃を受け140人超が死亡したという。首都テヘランでは複数の大規模爆発が伝えられている」

 

米国の標的には、イスラム革命防衛隊(IRGC)の指揮統制施設、イランの防空網、ミサイルおよび無人機の発射拠点、軍用飛行場が含まれていた。これらが,すべて機能不全である。米国のベネズエラ急襲作戦と全く同じで、まず反撃不可能な状況へ追い込んだ。トランプ氏が、「降伏要求」している背景にはこういう事態があるのだろう。