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IMF(国際通貨基金)は、中国の経済政策にサジを投げている。理屈に合った経済政策を行わないからだ。中国が現在、最も急ぐべき政策は不動産バブル崩壊後遺症の処理である。3年間で、GDPの約5%約1兆ドルの資金)で不良在庫などの整理が可能としている。中国は、こういう提案に見向きもせず「我が道」を進んでいる。

 

中国は、年間GDPの4%もの補助金を企業へ支給しているのだ。これが、過剰生産をもたらしており、国内物価を押下げ不況の原因を作っている。補助金が不況の原因とは、何とも矛盾した話だが、こうせざるを得ない切羽詰まった事情がある。外貨準備高に、短期債務1兆4000億ドルも抱え込んでいるからだ。

 

こうした過剰補助金は、過剰生産=過剰輸出=過剰貿易黒字(25年1兆1900億ドル)という一連の事態によって、経済破綻を免れている。外部からどれだけ批判されても、企業補助金を止めたら、中国経済はひっくりかえるのであろう。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(3月2日付)は、「中国の病んだ成長モデルへの処方箋」と題する記事を掲載した。

 

中国は事実上、過剰生産のサイクルに閉じ込められており、世界の他の国々が自国の産業を不安定化させることなくしては吸収できないほどの財を生産している。私は最近、国際通貨基金(IMF)の専門家らと話をしたが、彼らは問題を率直に指摘した――中国は単純に大きすぎて、国内の問題を輸出によって解消し続けることができないと。

 

(1)「IMFのアジア太平洋局副局長であるトーマス・ヘルブリング氏は、「中国は、われわれが言うように、非常に大規模な経済だ。純輸出は主要な需要源であるべきではない。さもなければ、世界の他の国々に過度の負担をかけることになる」と述べた。IMFによる同国の最新の「健康診断」である4条協議報告書は、緊急かつ痛みを伴う処方箋を提示している。工場に頼るのではなく、人に頼るようにせよということだ」

 

IMFが、中国へ悲痛な叫びを上げている。工場(設備投資)に頼るのでなく、人(消費)に頼れと。この幾度となく指摘されてきた呼びかけはその都度、無視されている。

 

(2)「前進する道は、消費主導型モデルへの強力な転換だ。これは、大規模な産業補助金の代わりにより強固な社会的セーフティーネットを構築し、家計が貯蓄するのではなく、消費する自信を与えることを意味する。これがなければ、IMFは中国が「マクロ金融のフィードバックループ」に陥る可能性があると警告している。これは要するに、崩壊する不動産市場と山積する債務が互いに影響し合い、物価下落の恒久的な冷え込みを生み出す下降スパイラルだ」

 

家計が、貯蓄先行でなく、喜んで消費できるように、政府は国民へ先行きへの自信を与えることが、最も重要である。

 

(3)「IMFの工程表の重要な要素は、不動産部門に対する中央政府の一時的な支援パッケージだ。IMFは、これが3年間でGDPの約5%かかると推定している。これは大規模なコミットメントであり、約7兆元(約1兆ドル相当)に上る。これにより、中国各地の都市に幽霊のように存在する数百万戸の事前販売された建設途中の住宅を最終的に完成させることを目的としている。住宅購入者を保護し、ゾンビ開発業者の秩序ある退出を強いることで、中国政府は2019年以降、消費者信頼感が急落する事態を招いたまひ状態をついに打破できる可能性がある。ヘルブリング氏は、これらの措置がなければ調整は「より長くかかり、引き続き信頼感を圧迫し、引き続き家計支出を抑制することになる」と警告した」

 

IMFは、これから3年間でGDPの約5%(約1兆ドル)の予算によって、建設途中で放置されている建物を「資産へ生き返らせる」としている。これによって、凍結された不良債権が「解凍」されると指摘するのだ。貴重な助言であるが、聞く耳を持たないであろう。

 

(4)「調整に向けての努力は、「内巻化」にも取り組む必要がある。これは中国で使用される用語で、破壊的な価格競争が電気自動車のような分野を空洞化させる現象を表す。中国政府は反内巻化運動を開始したが、ロボット工学や人工知能といった花形産業への支援は依然として強化している。「反内巻化運動は歓迎すべきだが、他の分野における継続的な産業支援は、過剰生産能力のサイクルを永続させる」と、IMFの中国ミッションチーフであるソナリ・ジェイン―チャンドラ氏は語った。言い換えれば、過剰は消えずに、古い産業から新しい産業へと移行するだけだ。真の解決には、中国政府が勝者を選ぶことをやめ、敗者を失敗させることが必要だ。ジェイン―チャンドラ氏が述べたように、政府は最終的に「商業ベースで自立できない企業を手放す」必要がある」

 

中国政府は、値下げ競争反対の「反内巻化運動」を開始した以上、産業補助金も止めるべきである。そうでなければ、再び、過剰生産に伴う「反内巻化運動」を始める羽目に陥るであろう。

 

(5)「真にバランスの取れた経済を回復するには、中国政府は社会的セーフティーネットをコストとして扱うことをやめ、経済の成長エンジンとして扱い始める必要がある。IMFは、現在国内需要を枯渇させている「予備的貯蓄」を減らすため、農村部の社会支出を劇的に急増させることを推奨している。ジェイン―チャンドラ氏は、中国は「現在収益が逓減している過剰な投資を削減する」ことで、この取り組みに資金を提供できると述べた。中国政府の新しい5カ年計画は、需要を押し上げると主張しているが、IMF当局者らは、口だけでは十分ではないと述べている」

 

中国は、設備投資資金を減らして、農村部の社会支出を劇的に急増させることで、経済にバランスを取り戻せるのである。経済の安定には、投資と消費のバランス維持が必要である。中国はなぜ、この「分かりきった事実」を受入れないのであろうか。