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中国は、2026年のGDP成長率目標を4.5~5.0%へ設定した。中国が、成長鈍化の時代に入りつつあることを示唆している。1990年代以降で最も低い成長目標となる。先にIMF(国際通貨基金)は、26年GDP成長率予測を4.5%としていたので、ほぼ常識の線に収まった形である。

 

内実は、決してそんな生やさしいものではない。26年の財政赤字比率が、対GDPで4%と発表している。この財政赤字は、一般国債で賄う。このほかに、特別国債・特別債・超長期特別国債が対GDP比で4.5%もある。つまり、26年の国債発行合計額は対GDP比で8.5%にもなる。4.5~5%成長に対して8.5%の国債発行なのだ。「ザルで水を掬う」という危機状態である。中国経済は、長期停滞でなく長期縮小過程へ向っていることは間違いない。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(3月5日付)は、「中国、成長鈍化の新時代を示唆」と題する記事を掲載した。

 

中国は、2026年のGDP成長率目標を4.5~5.0%に設定した。世界第2位の経済大国である同国が成長鈍化の時代に入りつつあることを示唆した。

 

(1)「これは少なくとも1990年代以降で最も低い成長目標となる。当局はこれまで3年間、「5.0%前後」の成長を掲げていた。26年の中国経済の成長が5%を下回るペースとなれば、新型コロナウイルス禍の時期を除き、同国が報告する成長率としては20年以上ぶりの低水準となる。中国は昨年、米国との貿易摩擦が再燃したにもかかわらずGDPが実質ベースで5%成長し、当局の目標を達成したと発表した」

 

25年の5%成長でも純輸出(輸出-輸入)=貿易黒字が、2%ポイントも寄与していることだ。内需(消費+投資)で稼ぎ出した経済ではない。ダンピング輸出による「近隣窮乏化政策」によるもの。26年GDP成長率目標が、引き下げられたのは当然である。

 

(2)「26年のGDP目標引き下げは、中国経済が低調な家計支出、投資の減退、低迷する不動産市場に直面する中で、成長鈍化をある程度容認することを示している。より控えめな成長目標は、中国指導部のかじ取りにある程度の余地を与えることにもなる。中東での紛争やドナルド・トランプ米大統領からのさらなる貿易圧力の脅威といった複雑な地政学的環境を切り抜けつつ、技術的自立や先進製造業という中国政府の戦略目標を追求し続けられるようにする狙いがある」

 

内需脆弱化を補う抜本策は、講じられていない。相変わらず、補助金による技術的自立や先進製造業という戦略目標を追求し続ける。従来路線の継続だ。これでは、経済体質の一変(消費重視)という政策転換は不可能である。

 

(3)「李強首相は、5日に公表された年次政府活動報告で、中国は「外的課題に対処するため自国の能力を磨く」必要があると述べた。25年の貿易黒字が過去最高の1兆2000億ドル(約189兆円)に達し、中国の成長は輸出への依存度を高めており、世界的な不均衡を生み出している。このことは貿易相手国や国際通貨基金(IMF)などの国際機関からの批判を浴びている。政府のデータによると、25年の中国の経済拡大で輸出の果たした役割は、1997年以降見られなかった程度にまで大きくなった」

 

25年GDP成長率で純輸出の成長率寄与度は、2%にも達している。5%成長のうち4割は輸出黒字が稼ぎ出したものだ。これは、異常な構造である。26年に4.5~5%GDP成長率目標に下げたのは、これ以上の輸出依存が不可能とみている結果だ。

 

(4)「国内外のエコノミストは長い間、経済を消費主導型に転換し、圧倒的な製造業・輸出マシンへの依存を減らすよう中国に求めてきた。このような転換は、諸外国との緊張を緩和し、国民の購買力を高める可能性がある。だが、中国の成長モデルの大幅なリバランスを、技術と製造業で優位に立つという長年の目標と並行して達成するのは困難とみられる。中国は中期経済目標「第15次5カ年計画」の1年目を迎えている。当局者は、先進製造業での優位性を固め、米国主導の西側諸国からの技術的自立を達成するという現在の道筋を維持する意向を示している」

 

26年の経済運営は、従来路線の製造業中心であることを示唆している。「第15次5カ年計画」の初年目である。

 

(5)「中国の技術力は、世界の羨望の的となっているが、国内経済の大部分はデフレ環境で苦戦している。過剰生産と内需の不足が「底辺への競争」に拍車をかけ、利益を侵食している。消費者と企業のセンチメントは急落し、賃金の伸びは停滞し、若年失業率は歴史的な高水準に近づいている。李首相は、内需拡大を2年連続で26年の最優先政策課題に指定し、昨年予想外の減速に見舞われた投資の拡大に向けた取り組みを求めた」

 

習氏は、消費=浪費という認識である。これでは、消費重視の経済運営は不可能である。

 

(6)「政策目標を支援するため、中国は財政赤字目標を対GDP比約4%に設定した。これは昨年の過去最高の赤字目標と同水準で、必要に応じて政府支出を加速させる十分な余地を政策立案者に与えている。政府の財政赤字目標に加え、当局者には政府支出を増やすためのさまざまな手段がある。特筆すべきは、投資を促進するために8000億元(約18兆3000億円)規模の新たな資金調達ツールを政府が発表すると述べたことだ」

 

財政赤字目標が、対GDP比約4%に設定されている。一般には、これだけが財政赤字(一般国債)と見られがちだが、このほかに6兆元も別途の国債が発行される。これが、対GDP比4.5%に相当する。こうして、合計で対GDP比8.5%の国債が発行される。この結果が、GDP4.5~5%成長というのだ。「財政コスパ」から言えば、最悪事態である。財政破綻である。