中国が、今年の経済成長率目標値を事実上、歴代最低水準に下方修正した。国際情勢などの対外変数を考慮した戦略変更である。過去40年間にわたり、中国の高速成長を牽引してきた低価格攻勢型の輸出モデルが、ついに限界にぶつかった。
『中央日報』(3月6日付)は、「中国の成長率目標、35年ぶり低水準…40年の成長モデルが限界に」と題する記事を掲載した。
5日に開かれた全人代開幕式で、李強国務院総理は今年の国内総生産(GDP)成長率目標を4.5〜5%と発表した。心理的防衛線とされてきた「5%前後」のラインが崩れた形だ。これは新型コロナウイルスの感染拡大で目標設定を省略した2020年を除けば、1991年の天安門事件直後(4.5%)以来、最も低い数値となる。
(1)「中国が目標成長率を下げた表面的な理由は、質的成長への転換だ。不動産景気の低迷や消費の冷え込みなど経済成長が鈍化する中で、内需を活性化し経済構造を再編することで、内実を固めたいという趣旨だ。李首相は「内需を継続して拡大し、供給を最適化する」とし、「効果的なマクロ政策を実施し、実際にはより良い結果を出せるよう努力する」と強調した」
成長の限界点にぶつかっていることを認識した結果であろう。これ以上の輸出依存が不可能と悟ったとみるべきだろう。
(2)「実際に昨年下半期から、経済実績の不振により成長率目標が例年より低い区間で提示される可能性が指摘されていた。昨年1~3月期(5.4%)と4-6月期(5.2%)には5%を上回ったが、7~9月期(4.8%)と10~12月期(4.5%)は下落傾向にあった。1〜2月に全国31の省・市で開催された地方両会で発表された政府活動報告でも、21カ所が今年の成長率目標値を引き下げている」
昨年の四半期別成長率をみても、下半期からハッキリと5%台を割っている。10~12月期は4.5%である。この趨勢から読むと、26年1~3月期は4%すれすれまで低下するはずだ。製造業景況感指数(PMI)も悪化している。
(3)「この裏には、政府が中国の経済成長モデルが限界点を認めたという分析がある。速度と規模を優先し、製造業・輸出に大きく依存してきた「世界の工場」としての役割から脱却し、生産と消費のバランスなど、新たな経済構造に転換しようという趣旨だ。ブルームバーグ通信は「過去40年間、中国の急速な成長を主導したモデルに制約が生じたことを暗黙に認めたもの」と評価した」
ダンピング輸出が、限界点にぶつかっていることだ。一帯一路関係国からEUまでと、無差別な「無法輸出」であった。経済摩擦を引き起しているのだ。
(4)「ブルームバーグ通信によると、昨年の中国の成長率約5%のうち、輸出の寄与度は3分の1に達し、1997年以降で最高値を記録した。貿易黒字も前年比20%増の約1兆2000億ドル(約189兆円)で過去最大水準となった。しかし、内需景気は低迷の沼から抜け出せず、景気の下押し圧力は日に日に強まっている。梨花(イファ)女子大学経済学科の石秉勲(ソク・ビョンフン)教授は「製造業と輸出に依存する経済構造を内需中心に変えなければ、これ以上の成長は難しいと判断したのだろう」と分析した」
昨年の貿易黒字のGDP寄与度は、2%ポイントである。5%成長のうち、純輸出が4割を占めている。中国が、製造業と輸出に依存する経済構造を変えなければならない理由だ。
(5)「米国との技術・貿易戦争などグローバル覇権争いも激化し、対外圧力も強まっている状態だ。この日、李首相も「一方主義と保護貿易主義の激化により、対外貿易の圧力が相当なものになる」とし、「生産・輸出に偏った構造的矛盾、青年雇用問題、不動産市場と地方債務問題などに直面している」と吐露した。中国政府としては目標を保守的に設定することで、景気浮揚への負担を軽減する必要があったという解釈である」
李首相自身が、「生産・輸出に偏った構造的矛盾、青年雇用問題、不動産市場と地方債務問題などに直面」と発言せざるを得ないほど追い込まれている。こうした矛盾は、国防重視=台湾侵攻を国家目標に掲げている結果だ。戦争目的を第一義とする国家の経済が、円滑に回るはずがない。しかも、不動産バブル崩壊後遺症に押し潰されているのだ。
(6)「中国が、輸出主導型モデルへの依存度を下げれば、世界経済や産業界にも大きな変化が予想される。専門家は、韓国のように中国に半製品・部品を供給する国々が大きな影響を受けると見通している。中国企業が生き残りのために自国製部品の採用を増やす「サプライチェーンの内製化」が進めば、鉄鋼・石油化学・機械などの産業が打撃を受けるのは避けられない」
中国経済が回復軌道に乗る唯一の条件は、戦争準備を止めて融和策に転じることである。習近平氏が、自らの終身国家主席の夢を捨てなければならないであろう。


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