中国は、26年のGDP成長率目標を4.5〜5%と発表した。心理的防衛線とされてきた「5%前後」のラインが崩れた形である。これは、新型コロナウイルスの感染拡大で目標設定を省略した2020年を除けば、1991年の天安門事件直後(4.5%)以来、最も低い数値である。こうした一般的評価に対して、自発的な「速度制限」であるという強気主張が出ているので取り上げた。
『レコードチャイナ』(3月6日付)は、「中国が『低成長』目標を設定、経済力の弱まりを意味するのか?―香港メディア」と題する記事を掲載した。
中国メディア『香港01』(3月5日付)は、中国政府が2026年の経済成長目標を「4.5%~5%」と1990年代初頭以来の最低水準に設定した背景とその戦略的意図を報じた。
(1)「記事は、この低成長目標が景気減速の表れではなく、政府が「速度崇拝」から自発的に脱却するシグナルだと指摘。不動産バブルの終わりと世界的な貿易環境の悪化を受け、「質の高い発展」への全面的な移行を図る戦略的転換であるとの見方を示した。また、4.5%という下限は、35年までに1人当たりGDPを中等先進国レベルに引き上げるという長期目標から逆算した数字であると解説。北京大学の蘇剣(スー・ジエン)教授が、この目標設定は中長期目標の達成を支えつつ、過度な高成長追求がもたらす資源の誤配分や債務リスクの蓄積を回避する狙いがあると分析したことを伝えている」
質の高い成長とは、GDP成長率の寄与度で消費が3%ポイント程度の寄与度が必要だ。つまり、消費リード型経済への転換である。26年は、相変わらず製造業・輸出リード型経済である。
(2)「今回の目標設定には「構造調整、リスク防止、改革促進のための余地を残す」という深い政策的意図があるとも解説。とりわけ、「内巻式競争(過当な悪性価格競争)の是正」が初めて政府活動報告に盛り込まれた点に注目し、企業が利益なき価格競争に追われ、収入と消費が低迷する悪循環を断ち切るため、「モノへの投資」から「人への投資」へ転換する方針が打ち出されたと紹介した」
「内巻式競争」を止めるには、補助金政策の廃止が前提だ。地方政府が、一斉に補助金を出すから過剰投資→過剰生産→価格下落となる。「国民総貧乏」の舞台装置が補助金である。
(3)「このほか、消費者物価指数(CPI)上昇率目標を「2%前後」に維持しつつ、「物価をマイナスからプラスに転換させる」ことが政策課題に明記された点にも言及。これは政府が「供給過剰・需要不足」という経済の構造的課題を公に認めたことを意味すると分析した上で、具体策として「都市・農村住民所得増加計画」の策定が掲げられたことを伝えている」
補助金政策継続で、CPIの2%上昇は期待外れに終る。過剰生産を止めるには、補助金を止めて真の市場競争に委ねることだ。現状は、補助金という「ゲタ」を履いている。
(4)「記事は、ロイター通信がエコノミスト・インテリジェンス・ユニットの徐天成(シュー・ティエンチョン)氏の見解として、「中国政府が高成長率を必ずしも歓迎しないのは、地方政府による実績の水増しやデータ偽装を助長しかねないためだ」と報じたことを紹介。この目標が不動産時代の終わりを認め、AIや新エネルギー車が主導する次の10年へ向けた転換の余地を確保する「生き方を変える」選択だと結論付けている」
中国人民銀行(中央銀行)の黄益平貨幣政策委員は6日、自国の経済を消費主導へ転換する取り組みには長い時間を要するとの考えを示した。北京大学国家発展研究院の院長も務める黄氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、次のように語った。
政府は北京で前日開幕した全人代で公表した年次の活動報告で、低迷する消費の喚起を優先課題として重視。ただ、これまでに打ち出された具体策は、より強力な対応を期待していた投資家を失望させている。黄氏は忍耐が必要だとし、「消費は段階的なプロセスを通じてのみ押し上げることができる。政府がマクロ政策で何かをすれば、消費が劇的に回復すると期待することはできない」と指摘した。その上で、「日本のように成功した国では、GDPに占める消費の比率が30~40年といった非常に長い期間をかけて上昇してきた」と語った。『ブルームバーグ』(3月6日付)が伝えた。
中国経済が、量から質への転換には気の遠くなるような期間が必要である。中国は、「短期速成型」経済運営である。成功するはずがないのだ。


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