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日本政府は、国内で生産される半導体の売上高を2040年に40兆円まで増やす目標を立てる方針だ。人工知能(AI)やデータセンターの需要拡大に備え、最先端半導体の研究・開発拠点を整備する。国が方向性を示し、民間企業が投資しやすい環境をつくるものだ。

 

英調査会社グローバルデータによると、世界のEV販売は30年に2776万台と25年に比べほぼ倍増する。米IDCによれば、半導体市場は30年に1兆2000億ドルと、25年の1.5倍になる見通しだ。EVの販売台数の伸びが、半導体市場の成長を上回る予測も出ており、将来は半導体の調達競争が激しくなると見込まれている。日本政府は、こうした急激な半導体需要増に備えて、日本企業が後手に回らないように、企業の設備投資を後押しする。

 

『日本経済新聞 電子版』(3月7日付)は、「国産半導体の売上高目標『2040年に40兆円』 政府、最先端研究へ拠点」と題する記事を掲載した。

 

政府は、10日にも日本成長戦略会議(議長・高市早苗首相)を開き、官民連携した「危機管理・成長投資」の行程表の素案を示す。半導体の売上高目標も盛り込む。今夏にまとめる日本成長戦略に反映する。20年時点で国産の半導体関連の売上高は5兆円だった。これまで30年に15兆円超の目標を掲げていた。今回はその10年後に25兆円ほど増やすと定める。

 

(1)「世界の半導体市場は、20年の50兆円から35年には190兆円規模に拡大する見込みだ。AIの普及で膨大なデータを高速で処理できる半導体の需要が急増している。政府が重点支援するのはAIでロボットや機械を動かす「フィジカルAI」の基盤となる半導体だ。フィジカルAIは日本が強みを持つ。40年に世界市場で米中両国に並ぶ3割超のシェアを想定する」

 

フィジカルAIは、ラピダスが開発途上である。生成AIは、クラウドAIによる中央処理だが、次世代は分散処理AI(フィジカルAI=現場AI)へ進化する見込みである。ラピダスが、この分野で最先端の位置にある。40年に世界市場で米中両国に並ぶ3割超のシェアを想定する、としている。これは、控え目のもので世界制覇の可能性が指摘されているほどだ。

 

(2)「素案には、「最先端の半導体研究開発・設計拠点を整備していく」と記す。次世代の自動運転車などに使う半導体を安価で供給できるようにする構想がある。半導体工場の新設・拡張に必要な産業用地の取得支援や、水・電力などのインフラ整備も盛り込む。補助金を積むほか規制改革を想定する。今国会には産業競争力強化法などの改正案を提出した。半導体を置くデータセンターを誘致しやすくするための工業用水に関する規制を緩和する」

 

ラピダスの強みは,世界の半導体研究機関と提携していることだ。その意味では、世界最先端の研究成果を取り入れられるメリットを享受している。この事実は、意外に知られていない点だ。次世代の自動運転車などに使う半導体が、安価で供給できるようになるのは、ラピダスがフィジカルAIをCPU(中央演算装置)にアクセラレーターを接続するという技術開発の成果を土台にしている。これは、エヌヴィディアのGPU(画像処理装置)を使用するフィジカルAIよりも100分の1のコストで生産可能とされている。日本が、絶対優位とされる理由だ。

 

(3)「岸田文雄政権下で、熊本県の台湾積体電路製造(TSMC)や北海道のラピダスを中心に国内半導体への投資が進んできた。政府は24年11月に「AI・半導体産業基盤強化フレーム」を策定した。7年間で10兆円超の公的支援を決めた。高市政権では40年まで見据えた政策パッケージを示し、企業の投資計画を立てやすくする。首相は会議で官民投資による経済効果を可視化するよう城内実経済財政相ら関係閣僚に指示する意向だ。高市政権は「危機管理・成長投資」でAI・半導体や量子、造船、創薬・先端医療などを戦略17分野と決めた。素案ではこれを細分化し、61の製品・技術に整理する」

 

戦略17分野は、これを細分化して61の製品・技術に整理するとう。計画が、より具体化する結果である。

 

(4)「このうち27製品・技術について、先行して行程表を策定する。フィジカルAIやその基盤となる半導体も含む。ほかにアンモニアや水素などを燃料にする次世代造船、製造過程で二酸化炭素の排出量を大幅削減したグリーン鉄、永久磁石、ゲームなどが並ぶ。量子分野ではスーパーコンピューターを組み合わせた日本独自の量子コンピューターの開発を目指す。核融合発電は国が主導して30年代までに発電に向けた研究開発を進める」

 

量子コンピューターも核融合発電も、日本の素材や部品精密工業が実用化に当って,大きな力を発揮しているという。日本が、一番乗りできる分野とも期待されている。

 

(5)「海洋無人機(ドローン)は、30年に世界市場の規模が100億ドル(1兆5700億円)を超えると見込み、その3割の獲得を目標に据えた。レアアースなどの資源開発や安全保障で重要性が高まっている。危機管理・成長投資は首相が掲げる「責任ある積極財政」を支える成長戦略の肝だ。供給力を強化し、潜在成長力を向上させる。成長によって国内総生産(GDP)比の債務残高を引き下げる流れを想定する」

 

南鳥島の深海6000メートルのレアアース採掘では、海洋無人機が活躍している。この技術をさらに発展させていくのであろう。こうして、技術開発が新しい産業活動に貢献する。技術が新し時代を開くのだ。