あじさいのたまご
   


中国の王毅外相は8日、高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁を念頭に日本を批判した。「台湾問題は中国の内政なのに、日本に干渉する資格はあるのか」と強調した。昨年11月の高市発言を巡っての非難である。

 

台湾有事は、アジアにとって大きな安全保障の危機である。これは、世界の常識である。日本が、この問題について無関心でいられないのは当然である。台湾侵攻は、中国の内政問題という認識自体が、清国時代の外交感覚と同じであろう。中国共産党は、清国の延長であることを内外に表明しているようなものだ。

 

『日本経済新聞 電子版』(3月8日付)は、「中国の王毅外相、台湾問題巡り批判 『日本に干渉の資格なし』」と題する記事を掲載した。

 

王氏は、高市首相を「日本の現職指導者」と呼んだうえで「中日関係の行方は日本側の選択にかかっている。日本はどこへ向かおうとしているのか」と述べた。中国側はかねて高市首相の答弁の撤回を求めている。

 

(1)「王氏は、北京で開催中の全人代の記者会見で次のように語った。「かつて日本の軍国主義が対外侵略したことを想起すれば、中国やアジアの人々が日本の行く末に高度な警戒と憂慮を抱かざるを得ない」との懸念を示した。中国側は高市政権発足後、日本の防衛政策などを「新型軍国主義」と論評している」

 

日本の国防予算の4倍強の中国が、なぜこれほどまでに日本を恐れているのか。1対4では、中国が日本を恐れる理由はないはずだ。実は、日米同盟が中国にとって越すに越せない障壁になっている。日本列島自体が、中国の軍事的膨脹には脅威である。日本が、中国にとって脅威であるのは次の点である。

 

1)世界最高レベルの潜水艦静粛性

2)イージス+早期警戒網の統合能力

3)島嶼防衛の地理的優位

4)米軍との完全な相互運用性

5)弾薬・レーダー・センサー技術の高さ

 

一方の中国は、ベネズエラとイランで中国製防空網が、いとも簡単に米空軍に打ち破られたように、極めて低レベルの電子戦装備とされている。科学技術の未発達が、こういう結末を招いた。日本と比べても、はるかに低レベルであるのだ。こういう日本が、米軍と共同戦線を張ることに本能的な恐怖感を持っているとされる。

 

(2)「王氏は歴史認識についても「日本が当然すべきは台湾の侵略・植民地化を含む過去の誤った道を深く反省することだ」と話した。2026年が極東国際軍事裁判(東京裁判)の開廷から80年にあたることに触れ「歴史は再び日本に自省の機会を与えている」と唱えた。台湾問題を巡っては「祖国の完全統一の歴史的プロセスは妨げられない。逆らう者は滅びる」と主張した」

 

中国が、台湾を平和的に統一することに反対する理由はない。だが、軍事力による暴力的な統一は、アジアの平和を乱す行為である。中国の武力による台湾統一の試みは、やがて日本領土へも触手を延ばす前兆になる。日本が、台湾侵攻を黙認することは、大きな災難を日本自らが背負い込むことになるだろう。

 

(3)「王氏は、米国とイスラエルによるイランへの攻撃やイランによる報復攻撃について、双方が直ちに軍事行動を停止するよう重ねて要求した。「戦火の外部への波及を回避すべきだ」と呼びかけた。そのうえで、イランや周辺の湾岸諸国の国家主権を支持するとの考えを示した。米国やイスラエルを念頭に、「(イランの)政権転換を画策することは人々の支持を得られない」と非難した」

 

王氏は、イラン問題で「戦火の外部への波及を回避すべきだ」と呼びかけた。台湾侵攻も同じで、戦火の外部への波及をもたらすのだ。王氏には、台湾侵攻が周辺国へどういう影響を与えるか、イラン問題から深く学ぶべきだろう。

 

(4)「台湾や通商問題を巡って溝がある米国との関係では、「いま必要なのは双方が相違点を管理し、不要な干渉を排除することだ」と提起した。「中国側は(米国との対話に)一貫して積極的でオープンだ。米国側も歩み寄るのが重要だ」と呼びかけた。トランプ米大統領は3月31日〜4月2日に訪中し、習近平国家主席と会談する」

 

中国は、米中関係の維持に積極的である。米国と対等と演出することで、国内の経済不満派を抑えられるからだ。

 

(5)「王氏は、「今年は中米関係にとって重要な年だ。ハイレベル交流の議題はすでに我々のテーブル上にある」と語った。トランプ氏の訪中を含め、26年は米中首脳会談を実施する機会が多ければ4回ある。習氏も年後半に訪米する見通しだ。11月に広東省深圳市で開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議でもトランプ氏と習氏が対面で会う可能性がある」

 

中国が、米国と対立できないのは輸出への悪影響を恐れているからだ。今や、輸出だけが頼みの綱となっている。米国と対立できない経済的な事情に陥っているのだ。