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 (3)「中国の成長率は、本来の潜在成長力を下回る状態が長く続いており、非効率さも目立つ。中国は供給の要衝が遮断される事態に備えてきた。戦略石油備蓄を13億バレルと数カ月分に積み増し、発電も原子力や再生可能エネルギーへと多様化する一方、国産石炭の利用も続けている。また、実利的な観点からイランの石油取引を支えてもいる」

 

中国の原油備蓄量は、消費量に比べて日本の半分以下である。14億人も生活している以上、13億バレルの備蓄があっても最大限4ヶ月に過ぎない。日本は、8ヶ月月分も備蓄している。

 

(4)「中国は、イランでの戦争で米国が弱体化したとみており、交渉で優位に立てると考えている。トランプ氏は5月に訪中し、習氏と首脳会談を行う予定で、中国側は関税や輸出規制の抑制につながる枠組みの構築を目指すとともに、中国企業の対米投資の環境整備も期待している。中国側は、米国が台湾独立に反対し、平和的統一を支持する立場を明確にすることを望んでいる。そうなれば、キッシンジャー元国務長官時代から続く「戦略的曖昧」という立場のされたものだ。

 

このパラグラフは、典型的な中国過信論である。米国が、ベネズエラとイランを攻撃した理由は、中国の影響力を削ぐ目的である。その意味で、米国の外交目的は達成に向っているのだ。中国は、ベネズエラとイランへ自国防空網を設置したが、無惨にも一撃の下に粉砕されている。中国が台湾侵攻すれば、台湾から逆襲されて北京は大被害を受けうるであろう。中国の軍備は、ベネズエラとイランでその弱体ぶりが証明されたのだ。

 

(5)「もっとも、中国の楽観の裏には不安がにじむ。米軍が人工知能(AI)を用いて軍事作戦を統合していることに、中国の専門家は強い衝撃を受けている。こうした認識は、習氏が台湾侵攻を急がない理由の一つともみられる。イラン情勢が示す通り、戦争は予測が難しい。米国が衰退しているのであれば、あえて(台湾と)戦う必要はない。(中国は)経済面での不安も否定できない。戦闘が長期化すれば、中国やその輸出への打撃は拡大する。他国の被害がより大きくても、中国にとっても打撃となる」

 

中国の情勢分析能力は、ここまで低下していることに驚くほかない。戦前の日本軍部が、米国の経済力を見誤っていた同様に、中国も自己過信に満ちている。「米国が衰退しているのであれば、あえて(台湾と)戦う必要はない」とみているのは、イデオロギーで目が眩んでいる証拠だ。