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英紙タイムズは6日、イランの最高指導者モジタバ・ハメネイ師が意識不明で、イスラム教シーア派の聖地コムで治療中だと報じた。湾岸諸国に共有された外交文書を入手したとしている。米国とイスラエルの情報機関の分析に基づく文書とみられる。「重篤な状態でありコムで治療を受けており、政権のいかなる意思決定にも関与できていない」と記されているという。『日本経済新聞 電子版』(4月7日付)が報じた。

 

『日本経済新聞 電子版』(4月7日付)は、「『不在』のモジタバ師に強まる不信 声明は矛盾、革命防衛隊が体制主導」と題する記事を掲載した。

 

イランの最高指導者モジタバ・ハメネイ師が米国とイスラエルの攻撃で殺害された父の跡を継いでから8日で1カ月となる。モジタバ師は公式の場に姿をみせず、肉声も伝えられていない。非常戦時下の指導者「不在」という事態が続いている。

 

(1)「イランでは最高指導者直轄の軍事組織、革命防衛隊が大きな力を持っているとの説が強まる。衝突拡大で被害がひろがるなか、民衆の体制への不信感がさらに膨らむ可能性がある。トランプ米大統領は3月末、モジタバ師について「死んでいるか、きわめて重体だ。彼からの連絡はまったくない」と述べた。ロシアのメディアRTVIは、同国のイラン駐在大使の発言として、モジタバ師はイラン国内にいるが「明白な理由から」公の場に姿を現すことを控えていると報じた」

 

革命防衛隊が、モジダバ氏を強引に最高指導者へ選出させたとされている。モジダバ氏は、「意識不明」としても生命がある限り、革命防衛隊のモジダバ氏を利用する価値が極めて大きい。

 

(2)「イランの国営メディアもモジタバ師の「戦傷」や「負傷」といった表現をつかい、なんらかの傷を負ったことを認めている。首都テヘランに新たに掲げられたモジタバ師の肖像は片手がみえず、傷を負った姿を描いたようにもみえる。これまでに出された限られた数の声明には多くの不審な点が指摘されている。新指導者として初めて公表した3月12日の声明でモジタバ師は父ハメネイ師の「殉教した遺体を目にする栄誉に恵まれた」と語る。だが直後に、「傷ついた手の拳が固く握りしめられていたと聞いた」と伝聞による描写になっている」

 

モジダバ氏が意識不明の重態とすれば、モジダバ氏に関わる報道は全て虚偽となる。

 

(3)「イスラエル軍事当局者によると爆発の激しさから、モジタバ師が述べたようなかたちでハメネイ師の遺体が残された可能性は小さいという。モジタバ師が集中治療室で長期の治療を受けているという説が本当であれば、父の遺体と対面したという話と整合性がとれない。声明には誤字や脱字がふくまれ、論理や言葉づかいの一貫性のなさも指摘されている。モジタバ師は最初の声明の後にみじかい職務継続の指示書を出している。このほか、暗殺された最高安全保障委員会(SNSC)のラリジャニ事務局長への追悼、革命防衛隊傘下の民兵組織バシジのソレイマニ司令官への追悼、革命防衛隊タングシリ海軍司令官への追悼声明が出されたことが確認されている。近隣のアラブ諸国への報復やホルムズ海峡封鎖、米国との交渉といった重大な政策決定についてモジタバ師は最初の声明以降、ほとんど説明していない」

 

モジダバ氏が発表したとされる声明は、誤字や脱字が含まれ、論理や言葉づかいの一貫性のなさも指摘されている。これは、革命防衛隊の「学力レベル」の低い層が、モジダバ氏を利用していることになろう。とすれば、革命防衛隊の組織は極めて脆弱ということになろう。

 

(4)「あらゆる権力を集中させた初代最高指導者ホメイニ師、カリスマ性に欠けるともいわれた父ハメネイ師に比べても存在感が薄い。モジタバ師の不在を利用して革命防衛隊が体制運営の主導権を握ろうとしているとの見方が強まっている。英王立国際問題研究所(チャタムハウス)の中東プログラム・ディレクター、サナム・バキル氏は、「経済と安全保障の双方で革命防衛隊の影響力が増している」と指摘する。「革命防衛隊は持続的な外圧のなかで抵抗力を強めてきた。米国との衝突は不安定化とリスクを伴うが、イランのシステムは圧力を吸収し適応するように設計されている」と分析し、体制は存続する可能性が大きいとみる」

 

革命防衛隊が、モジタバ師の不在を利用して体制運営の主導権を握ろうとしているとの見方が強まっている。革命防衛隊が、トランプ米大統領と交渉で張り合えるようなレベルにないことは危険この上もない。

 

(5)「米国との長期にわたる対立と経済的な孤立は、だれが最高指導者の地位に就こうとも構造的に存続が可能なシステムを強めた。革命防衛隊にとっては体制が存続する限り、それは勝利と位置づけられる。強硬路線の代償はインフレや失業、内部対立、社会不安といったかたちで一般の民衆に押しつけられる可能性が大きい」

 

革命防衛隊は、経済の利権に深く関わっている。それだけに、民衆の敵意は強い。利権集団化しているからだ。