米国とイランは2週間の停戦で合意した。イランによるホルムズ海峡の通航再開と引き換えに、米国とイスラエルが軍事作戦を停止する。イランは停戦条件に、「イランが今後2週間、同国軍との調整の下でホルムズ海峡の通航を認める」としている。これは、無条件通航ではない。イランは、ホルムズ海峡をイエメンとの共同で管理し、恒久的に通航料を徴収しようという「野望」である。停戦は歓迎すべきだが、その後に引き起される難題を認識しておくべきだろう。
『ブルームバーグ』(4月8日付)は、「米・イラン2週間停戦で合意、海峡再開が条件-最終合意へ10日交渉開始」と題する記事を掲載した。
トランプ米大統領は7日、SNSでイランとの2週間の停戦に合意したことを明らかにした。これに先立ち、仲介国のパキスタンが、イランにホルムズ海峡の再開を求める期限について2週間の延長を要請していた。
(1)「トランプ氏は7日、SNSへの投稿で、「イランがホルムズ海峡の完全かつ即時、安全な再開に同意することを条件に、イランへの爆撃と攻撃を2週間停止することに同意する。これは双方による停戦となる!」と明らかにした。イランのアラグチ外相も声明で「2週間の期間にわたり、ホルムズ海峡における安全な航行は、イラン軍との調整および技術的制約への十分な配慮の下で可能となる」と指摘。「イランに対する攻撃が停止されれば、われわれの強力な軍は防衛作戦を停止する」とした」
イランは、「ホルムズ海峡における安全な航行は、イラン軍との調整および技術的制約への十分な配慮の下で可能となる」としている。これは、今後も通航管理を継続するための既定事実化を狙った危険な条項である。公海の自由通航という原則を歪めるものである。米国は今後、これを認めるとなれば「大失敗」という非難を浴びるはずだ。
(2)「米国とイランはともに今回の停戦を「勝利」と位置付けているが、戦争の完全終結に向けた要求には大きな隔たりが残ると、戦略国際問題研究所(CSIS)の中東プログラムシニアアドバイザー、モナ・ヤクービアン氏は指摘。ブルームバーグテレビジョンで「イランが今後2週間、同国軍との調整の下でホルムズ海峡の通航を認めるとする点について、米国が受け入れればイランにとって大きな譲歩になる」と述べた。もっともエスカレーション緩和への道筋が直ちに築かれるかは不透明だ」
イラン軍は、ホルムズ海峡通航を管理することで、既定事実化を狙っている。米国は、イラン攻撃の「代償」として、イランへホルムズ海峡通航管理権を与えるとすれば、米国は何と言って弁解すのだろうか。トランプ外交の失敗は明白である。
(3)「トランプ氏は、「イランからは10項目の提案を受け取っており、交渉の基盤として機能する」と説明。また「過去のさまざまな争点のほぼ全てについて、米国とイランの間で合意に達しているが、2週間の期間によって合意の最終化と履行が可能になる」とした。その後、AFP通信に対し、中国がイランに交渉を促したとの見方を示し、イランのウラン備蓄は適切に管理されるとの認識を示した」
イランが、交渉を受け入れたのは中国の示唆であったと明らかになった。中国は、失地回復に動いている。中国は、イランのホルムズ海峡通航管理を支持しているのであろう。これに、中国も一枚乗ろうとしている。
(4)「イランの最高国家安全保障会議が、国営メディアを通じて発表した声明によると、イランはホルムズ海峡の管理継続、核濃縮活動の容認、あらゆる一次・二次制裁の解除、米軍戦闘部隊の地域から撤退などを求めている。また、AP通信は交渉に直接関与した当局者の話として、2週間の停戦合意にはイランとオマーンがホルムズ海峡を通過する船舶に対して通航料を課すことを認める内容が含まれると報じた。イランは通航料を復興に充てる見通しだが、オマーンの用途については不明という」
イランは、ホルムズ海峡の管理継続、核濃縮活動の容認、あらゆる一次・二次制裁の解除、米軍戦闘部隊の地域から撤退などを求めている。これが実現すれば、「イラン勝利」である。米国は敗北となる。
(5)「停戦合意の詳細や履行の持続性にはなお不明点が多い。2週間の期間は双方の合意で延長可能だが、イランは「完全な不信感」を抱いたまま交渉に臨むとイラン国営メディアは伝えている。ジョージ・W・ブッシュ政権時代にホワイトハウスで中東政策を担当したマイケル・シン氏は今回の合意について「エスカレーションの流れから一定の猶予をもたらすものだが、紛争の解決や紛争の根底にある諸問題の解消にはなお程遠い」と話した」
マイケル・シン氏は、紛争の解決や紛争の根底にある諸問題の解消に程遠いとしている。休戦交渉の結末は、楽観できないのだ。


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