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マクロンの決心変えた高市

世界の技術革新「第6波」

技術覇権握った日本の底力

日本の技術へ依存する中国

 

中国は今、大きな衝撃を受けている。6月上旬、フランス開催のG7サミットで、習近平国家主席の招待案が消えたからだ。マクロン大統領は4月初めに訪日した際、高市首相が「同じ価値観を持たない」ことを理由に反対した結果である。中国は、こうしてG7が日本の意向に従って動き始めている現実を認識させられた。中国が、日本を批判する「軍国主義論」は、G7で一笑に付せられていたのだ。中国の日本非難は、天に唾する形になった。

 

中国の招待案が消えた経緯は、中国紙『看看新聞網』が理性的に報じて明るみにされた。看看新聞網は、上海の大手メディアグループである上海広播電視台(SMG)のオンライン媒体だ。中央メディアより「分析的・理性的」な記事が多いと評価されている。その看看新聞網が、次のように伝えたのである。

 

「マクロン大統領は、2025年12月に中国を訪問した時期を中心に、G7首脳会議に中国を招待することを検討し、ドイツなどとも相談していたとされる。多くの人が、このことで中仏、ひいては中国と欧州関係が好転する見込みがあると考えた。しかし、日本は「中国はG7が提唱する自由、民主、法の支配などの価値観を共有していない」ことを理由に、フランスに対して中国招待に対する懸念を示した」

 

G7は、中国を外すことにより日本の立場を尊重した。その意味は、G7が日本を戦略軸に据える意思表示をしたことである。つまり、単にフランスだけの意思でなく、G7の共通意識であることを示すことになった。中国にとってショックなのは、日本を国連の場で「軍国主義国」として罵倒しても効果がなかったことだ。第二次世界大戦の敗戦国であり、それから80年経った現在も反省していないとしたのである。国連加盟国へは、二度も日本非難の手紙を送った。それが今、G7サミットで招待を外される事態を招いている。

 

マクロンの決心変えた高市

『看看新聞網』の記事では、フランスが中国招待を取消したことへの感情的な反発がないことや、日本批判と欧州批判を避け、極めて理性的に報道されていることだ。逆に言えば、「今回の件を非常に深刻に受け止めている」というサインであろう。その理由は3つ考えられる。

 

1)日本の反対で、「G7の判断が変わった」という事実が明るみに出たこと。

2)欧州が、日本を「戦略的支点」にし始めた現実を認識させられたこと。

3)マクロン氏が、最終的に「日本の意向を尊重した」こと。

 

看看新聞網の所在地は、ビジネス・センターの上海である。政治の中心地の北京であれば、こういう冷静な記事を書くことはなかったであろう。経済という視点でみると、今回のG7における中国招待取消しは、中国経済後退への一歩と判断した結果であろう。日本は「静かな外交」であり、中国のようなけたたましい動きをしないが、「技術的実力」に裏づけられた余裕を持って対応したことにより、逆に日本の強みが認識されたのだ。

 

フランスが、G7で中国招待案を取消したのは、相当な決断を要したはずである。現在のEUの貿易構造において、中国のウエイトが極めて高いからだ。その中国を、G7へ招待すると内々に伝えたのは理由がある。マクロン氏は、高市首相との面談で日本の「反対意思」を確認した結果、「中国よりも日本を取る」形になった。これは、当面の対中関係がギクシャクしても、日本との長い安定した関係が極めて有益との判断を固めた結果だ。日本には、習氏招待を取り消しても得られる大きなメリットがあるのだろう。

 

注目のEU(欧州連合)と中国との貿易構造はどうなっているのか。2025年上半期での貿易(輸出入)相手国の上位5ヶ国では、中国のウエイトが極めて高くなっている。日本は、EUの貿易相手国上位5ヶ国にも入っていないのだ。フランスは、その日本の意思を尊重して中国のG7招待案を取消した。その裏には、日本技術の世界的発展性という大きな「伸び代」を見て取っているのであろう。

 

EUの貿易構造(輸出入)

1位 米国        21.4%

2位 中国(香港を除く) 15.6%

3位 英国         9.8%

4位 スイス        7.0%

5位 トルコ        4.9%

注:2025年上半期

 

EUの輸入に限れば、中国が21%1位、米国は14で%2位だ。輸出では、1位が米国21%2位英国13%3位中国8%である。EU輸出入構造における中国の位置は、輸入が1位、輸出は3位である。このことから推測できるのは、EUの大幅入超(輸入超過)である。EUが、必死になって対中貿易構造のバランスを取ろうとしても、中国のダンピング輸出の「餌食」になっている現状は全く変わらないのである。こういう状況から判断できることは、EUが日本を「戦略支点」に変えて貿易構造を変える以外にないとの結論になっても不思議はないのだ。

 

世界の技術革新「第6波」

ここで重要なのは、日本が相次いで世界を変える技術開発を行っていることである。現在、世界の技術革新は産業革命以降で「第6波」に入ろうとしている。これは、既存技術体系を陳腐化させる点で、大変革期を迎えるという意味だ。これまでの貿易構造は、新たな技術体系によって再編成されるとなれば、中国はもはや「世界の工場」でなくなるであろう。現在は、こういう分水嶺にある。この点が、極めて重要だ。中国は、過去の存在になる。(つづく)

 

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